2台の5G自動配送ロボットが西新宿を快走!フードデリバリーと医薬品配送の自動化をめざす 川崎重工/KDDI/タケダ等6社が共同で
川崎重工業、ティアフォー、KDDI、損害保険ジャパン、menu、武田薬品工業の6社は、西新宿エリアで配送ロボットを使った食事と医薬品の自動配送サービスを提供するプロジェクト(実証実験)を実施することを発表した。実証実験の期間は2023年1月23日(月)から 2023年2月10日(金)まで。
フードデリバリーロボット。川崎重工製。
スマートフォンのアプリと連動して、荷室をオープンしたフードデリバリーロボット(自動配送ロボット)
医薬品の配送を担当する自動配送ロボット1月31日に報道関係者向け説明会を開催し、多くの報道陣が見守る中、2台のロボットが食事や医薬品を所定の場所で乗せ、新宿の歩道を走行し、交通法規を守って横断歩道を渡り、指定の場所まで自動搬送した。ロボットは遠隔監視が行われ、道交法に基づいて監視のスタッフが付き添った。
高層ビル街、西新宿の歩道を1列で走行する2台の配送ロボット。1台はフードデリバリー、1台は医薬品を配送しているこのプロジェクトは、東京都の「西新宿の課題解決に資する5G等先端技術サービスプロジェクト」の取り組みのひとつで、2021年度の公道配送実証に続く2回目の取り組みとなる(関連記事「ティアフォー/川崎重工/KDDI/損保ジャパン/小田急/公園財団 自動配送ロボットの公道配送実証 西新宿で5Gと高精度測位を活用」)。実用化を更に進める上で、事業面・運用面・技術面の課題を抽出し、西新宿エリアにおける継続的なサービス提供や東京都内の他エリアへのサービス拡大の早期実現を目指す。
向かって右より、武田薬品工業の古田未来乃氏、menuの清水裕氏、川崎重工の石田正俊氏、ティアフォーの岡崎慎一郎氏、KDDIの松田彗氏、損害保険ジャパンの新海正史氏
●各社の役割
川崎重工:
全体統括、配送ロボットの開発、自動配送サービス提供ティアフォー:
自動運転システムの開発・提供および配送ロボットへの自動運転システムの搭載、運行管理システム・遠隔監視システムの開発・提供KDDI:
5G通信環境の提供損害保険ジャパン:
自動配送ロボット運行にかかる自動運転リスクアセスメント、自動配送ロボット専用保険の提供menu:
ユースケースの提供(フードデリバリー)、利用者・参加店舗の募集と管理、タケダ:
ユースケース(医療関係物資の配送・回収)の提供支援、医療機関(病院・薬局)との連携支援
●「フードデリバリー」と「医薬品の配送」を担う
昨年度に引き続き、主に走行ロボットを川崎重工、自動走行システムをティアフォー、損保ジャパンとKDDIが保険や通信で自動配送サービスのパッケージを構成する。実証実験として、コロナ禍を経て、近年需要が急拡大している「フードデリバリー」のプラットフォームを提供するmenu社が加わった。また、更に活用範囲を拡大するため、品質や取扱いの管理徹底が求められる「医療関係の物資配送と回収」を武田薬品工業(タケダ)が協力、東京医科大学病院もサポートして実施された。
「フードデリバリー」と「医療・医薬品」という異なる分野において、それぞれのユースケースごとの課題を抽出することで、より幅広い領域での自動配送サービスの活用可能性を高めるとともに、利用者にとってより便利で満足度の高いサービスの社会実装に向けて取り組みを進めたい考えだ。
需要が急伸する「フードデリバリー」業界だが人員不足の課題を抱える。また、雨天や夜間などは特に需要があるにも関わらず人員が不足するため、ロボットの実用化に期待を寄せる
大量の医薬品とその廃棄物の運搬は患者にとって大きな負担となる。医薬品の配送の自動化にも視野を広げて実証を行う複数台のロボットは自律走行を行うとともに、5G通信を用いて遠隔監視で運行する。「フードデリバリー」と「医療・医薬品」は同様のシステムとプラットフォームで運用されるが、この記事ではフレッシュネスバーガーが協力する「フードデリバリー」を中心にその様子を紹介する。「医療・医薬品」では「遠隔診療」のデモも行われたので、別記事でまとめてお伝えしたい。
今回の食品輸送にはフレッシュネスバーガーが協力した(報道陣から質問に答えるフレッシュネスバーガーの担当者)
●配送ロボットを使ったフードデリバリーサービス
今回、プロジェクトに参加したmenuは、デリバリーアプリとして急成長を続けている企業。「求められるあらゆる物を、求めているあらゆる人に、最善の方法で届けていける未来」を目指すとしている。今回のロボットを活用した配送は、生活者・店舗・配達員がそれぞれベネフィットを感じる基盤を作り、需要を伸ばし、「供給を安定化」させる可能性を探るものとなった。
フレッシュネスバーガー 新宿三井ビル店から届いた商品を、京王プラザホテルの前で受け取る顧客(デモ)デリバリー業界もスタッフ不足が深刻化しているとともに、雨天や深夜などフードデリバリーの需要が増える一方で、スタッフの稼働は困難で、「安定化」に向けてロボットが補填することが期待されている。言わば、状況に応じて配達員と配送ロボットが分業・協働する世界への期待だ。
●フードデリバリーのデモ内容
この日は、配達員の代わりに配送ロボットが食品の配送を行う実証が公開された。京王プラザホテル前からmenuで顧客の注文を受けた(想定)フレッシュネスバーガー 新宿三井ビル店のスタッフが、スマートフォンのアプリでフードデリバリーロボットの荷室を開けて、商品を配送ロボットに積載する。
配送ロボットは自動で歩道を走行し、京王プラザホテルに向けて配送を開始する(走行距離 約4km)。なお、遠隔監視とロボットの付き添いが行われる。
■動画 フードデリバリーロボットに食品を載せて出発:
別の場所(東京医科大学病院)から医薬品の配送を行うロボットと途中のルートで合流。2台のロボットが高速ビル群の中、周囲に注意を促しながら歩道を走行する。
横断歩道では一時停止し、青信号に変わるのを待って出発、横断歩道を渡る。
実証では、駐車場に入れるために歩道を横切る車両や、他の歩行者や自転車などが近付くと停止し、2台のロボットとも危なげなく安定して走行して目的地に到着した。
目的地の京王プラザホテルの到着。デリバリーを注文したユーザーはスマートフォンを使ってロボットを開錠し、注文した商品を受けとった。
■動画 目的地に向かって走行する2台の自動配送ロボット:
配達員と共に自動配送ロボットがどう生活者に受け入れられるのか、人手が足りなくなる雨天時や夜間での配送ロボットの適応可能性などを検証するとともに、保温機能など配送ロボットならではの配送品質向上にも着眼して、配送サービスが行われる。
次回「オンライン遠隔診療と服薬指導、5G自動配送ロボットの医療関係物資の配送/回収サービス」編に続く。
フードデリバリーロボット。川崎重工製。
スマートフォンのアプリと連動して、荷室をオープンしたフードデリバリーロボット(自動配送ロボット)
医薬品の配送を担当する自動配送ロボット1月31日に報道関係者向け説明会を開催し、多くの報道陣が見守る中、2台のロボットが食事や医薬品を所定の場所で乗せ、新宿の歩道を走行し、交通法規を守って横断歩道を渡り、指定の場所まで自動搬送した。ロボットは遠隔監視が行われ、道交法に基づいて監視のスタッフが付き添った。
高層ビル街、西新宿の歩道を1列で走行する2台の配送ロボット。1台はフードデリバリー、1台は医薬品を配送しているこのプロジェクトは、東京都の「西新宿の課題解決に資する5G等先端技術サービスプロジェクト」の取り組みのひとつで、2021年度の公道配送実証に続く2回目の取り組みとなる(関連記事「ティアフォー/川崎重工/KDDI/損保ジャパン/小田急/公園財団 自動配送ロボットの公道配送実証 西新宿で5Gと高精度測位を活用」)。実用化を更に進める上で、事業面・運用面・技術面の課題を抽出し、西新宿エリアにおける継続的なサービス提供や東京都内の他エリアへのサービス拡大の早期実現を目指す。
向かって右より、武田薬品工業の古田未来乃氏、menuの清水裕氏、川崎重工の石田正俊氏、ティアフォーの岡崎慎一郎氏、KDDIの松田彗氏、損害保険ジャパンの新海正史氏
●各社の役割
川崎重工:
全体統括、配送ロボットの開発、自動配送サービス提供ティアフォー:
自動運転システムの開発・提供および配送ロボットへの自動運転システムの搭載、運行管理システム・遠隔監視システムの開発・提供KDDI:
5G通信環境の提供損害保険ジャパン:
自動配送ロボット運行にかかる自動運転リスクアセスメント、自動配送ロボット専用保険の提供menu:
ユースケースの提供(フードデリバリー)、利用者・参加店舗の募集と管理、タケダ:
ユースケース(医療関係物資の配送・回収)の提供支援、医療機関(病院・薬局)との連携支援
●「フードデリバリー」と「医薬品の配送」を担う
昨年度に引き続き、主に走行ロボットを川崎重工、自動走行システムをティアフォー、損保ジャパンとKDDIが保険や通信で自動配送サービスのパッケージを構成する。実証実験として、コロナ禍を経て、近年需要が急拡大している「フードデリバリー」のプラットフォームを提供するmenu社が加わった。また、更に活用範囲を拡大するため、品質や取扱いの管理徹底が求められる「医療関係の物資配送と回収」を武田薬品工業(タケダ)が協力、東京医科大学病院もサポートして実施された。
「フードデリバリー」と「医療・医薬品」という異なる分野において、それぞれのユースケースごとの課題を抽出することで、より幅広い領域での自動配送サービスの活用可能性を高めるとともに、利用者にとってより便利で満足度の高いサービスの社会実装に向けて取り組みを進めたい考えだ。
需要が急伸する「フードデリバリー」業界だが人員不足の課題を抱える。また、雨天や夜間などは特に需要があるにも関わらず人員が不足するため、ロボットの実用化に期待を寄せる
大量の医薬品とその廃棄物の運搬は患者にとって大きな負担となる。医薬品の配送の自動化にも視野を広げて実証を行う複数台のロボットは自律走行を行うとともに、5G通信を用いて遠隔監視で運行する。「フードデリバリー」と「医療・医薬品」は同様のシステムとプラットフォームで運用されるが、この記事ではフレッシュネスバーガーが協力する「フードデリバリー」を中心にその様子を紹介する。「医療・医薬品」では「遠隔診療」のデモも行われたので、別記事でまとめてお伝えしたい。
今回の食品輸送にはフレッシュネスバーガーが協力した(報道陣から質問に答えるフレッシュネスバーガーの担当者)
●配送ロボットを使ったフードデリバリーサービス
今回、プロジェクトに参加したmenuは、デリバリーアプリとして急成長を続けている企業。「求められるあらゆる物を、求めているあらゆる人に、最善の方法で届けていける未来」を目指すとしている。今回のロボットを活用した配送は、生活者・店舗・配達員がそれぞれベネフィットを感じる基盤を作り、需要を伸ばし、「供給を安定化」させる可能性を探るものとなった。
フレッシュネスバーガー 新宿三井ビル店から届いた商品を、京王プラザホテルの前で受け取る顧客(デモ)デリバリー業界もスタッフ不足が深刻化しているとともに、雨天や深夜などフードデリバリーの需要が増える一方で、スタッフの稼働は困難で、「安定化」に向けてロボットが補填することが期待されている。言わば、状況に応じて配達員と配送ロボットが分業・協働する世界への期待だ。
●フードデリバリーのデモ内容
この日は、配達員の代わりに配送ロボットが食品の配送を行う実証が公開された。京王プラザホテル前からmenuで顧客の注文を受けた(想定)フレッシュネスバーガー 新宿三井ビル店のスタッフが、スマートフォンのアプリでフードデリバリーロボットの荷室を開けて、商品を配送ロボットに積載する。
配送ロボットは自動で歩道を走行し、京王プラザホテルに向けて配送を開始する(走行距離 約4km)。なお、遠隔監視とロボットの付き添いが行われる。
■動画 フードデリバリーロボットに食品を載せて出発:
別の場所(東京医科大学病院)から医薬品の配送を行うロボットと途中のルートで合流。2台のロボットが高速ビル群の中、周囲に注意を促しながら歩道を走行する。
横断歩道では一時停止し、青信号に変わるのを待って出発、横断歩道を渡る。
実証では、駐車場に入れるために歩道を横切る車両や、他の歩行者や自転車などが近付くと停止し、2台のロボットとも危なげなく安定して走行して目的地に到着した。
目的地の京王プラザホテルの到着。デリバリーを注文したユーザーはスマートフォンを使ってロボットを開錠し、注文した商品を受けとった。
■動画 目的地に向かって走行する2台の自動配送ロボット:
配達員と共に自動配送ロボットがどう生活者に受け入れられるのか、人手が足りなくなる雨天時や夜間での配送ロボットの適応可能性などを検証するとともに、保温機能など配送ロボットならではの配送品質向上にも着眼して、配送サービスが行われる。
次回「オンライン遠隔診療と服薬指導、5G自動配送ロボットの医療関係物資の配送/回収サービス」編に続く。
【フードデリバリープロジェクトの概要】:
期間: 2023年1月23日(月)から2月10日(金) ※1/25(水)、1/31(火)、2/8(水)を除く平日の実施走行エリア: 東京都新宿区西新宿周辺(総走行距離 約4km)協力店舗(食事の提供): 京鼎樓 新宿住友ビル店、フレッシュネスバーガー 新宿三井ビル店、AFURI 新宿住友ビル店配送物: 協力店舗の商品(食品)