ランキングのトップはトヨタ自動車でした(撮影:尾形文繁)

自動車関連企業を中心に電動化に向けた積極的な投資計画が報道されることが増えている。その規模は今後10年で○兆円という規模で、いずれも大きな数字が並ぶ。過去の投資規模からすると、それははたしてどのくらいの規模なのだろうか。東洋経済オンラインでは日本企業の過去10年の研究開発費と設備投資額の総額を有価証券報告書の注記から集計し、現状の投資の大きさを調べてみた。

投資が利益に結びつくには一定の時間がかかるものなので、現時点の利益額だけでその投資の善し悪しを判断はできないが、参考情報として過去10年の純利益の合計額もランキングに併載した。投資規模と利益が釣り合っているかも投資規模をみるうえでの参考になるだろう。データは2012年6月1日から2022年5月31日までの決算期の実績額を足し上げて作成した。10年以内の新規上場会社や変則決算などのためにデータがそろわない企業は原則として除いた。

投資に積極的な企業はどこか

トヨタ自動車が設備投資と研究開発費を合わせると過去10年で44兆円あまりとなり、ランキングのトップとなった。他の自動車大手も投資規模が大きく、ホンダが29兆5982億円で2位となった。日産自動車は9兆7772億円で5位、ざっとトヨタ自動車の5分の1程度の規模だった。

自動車関連企業では電動化投資を加速させていくと報道されているが、過去10年でみても巨額の投資を行ってきている。足元でその成果は利益額の大きさにも結びついているようにみえ、利益規模でも他の業界を引き離す規模となっている。自動車業界が日本の投資・リターンの面で主力産業であることを裏付ける。

このほか、通信インフラを担う日本電信電話(NTT)は3位、ソフトバンクグループは4位、KDDIも11位と投資規模が大きい。


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利益と投資のバランスを比較して投資効率をみてみると、電力会社で効率の悪さが確認できる。15位の関西電力は4兆7440億円の投資に対して、この期間の利益は3841億円。25位の九州電力は3兆2244億円の投資に対して、10年トータルでみると赤字だった。

また、業種別にみると、投資の積極性の違いもみえる。同じ製造業でも自動車関連のほか電機メーカーは投資に積極的。一方で、化学メーカーは利益と同程度の投資規模となっている。

ランキングを見る際には、同じ業種内での投資の積極性の違いにも注目したい。投資は先行投資だと考えれば、同業内で投資に積極的な企業こそ将来利益の拡大余地がある企業とみることもできるだろう。











(田中 久貴 : 東洋経済データ事業局)