医療痩身「クールスカルプティング(脂肪冷却)」で痩せられるのはどんな人? 効果はどのくらい持続する?
「余計な脂肪を落としたい」というニーズがある人に、最近、人気を集めている「クールスカルプティング」。脂肪を冷却して減少させるという画期的な施術ですが、本当に効果があるのでしょうか。また、デメリットや副作用も気になるところです。今回は「レナータクリニック」の館山先生に解説していただきました。
クールスカルプティングとは? 仕組みや効果を解説
編集部
クールスカルプティングとはなんですか?
館山先生
簡単に説明すると、皮下脂肪を冷却することで、外科的侵襲を伴わずに部分的に脂肪を減少させる装置のことです。クールスカルプティングは、日本で唯一製造販売承認を取得している冷却による非侵襲的脂肪減少治療(ボディ・コントゥアリング)の医療機器です。
編集部
なぜ、皮下脂肪を冷却することで脂肪が減少するのですか?
館山先生
冷却で脂肪細胞に寒冷損傷を与えることで、その部位の皮下脂肪の厚みを減少させるからです。1999年、ハーバード大学医学大学院付属マサチューセッツ総合病院ウェルマン光医学センターで開発され、脂肪細胞が皮膚などのほかの組織に比べて寒冷損傷を受けやすいことに着目し、研究が進められました。
編集部
具体的にどのように施術をおこなうのですか?
館山先生
吸引型アプリケータの圧力で皮膚や皮下脂肪を吸引しつつ、効率的に冷却をおこないます。一般的に、脂肪は4℃で凍り始めるとされています。それよりも低い温度で脂肪を凍らせることで、脂肪細胞を完全に破壊して体外へ排出していきます。また、施術は痩せたい部位に適したカップ状のアプリケータを使用して、カップの内側に脂肪を吸引するようにします。施術時間は35分ほど機器を当てて、その後にマッサージを2分間おこなうので、合計で40分くらいです。
編集部
痛みや違和感はありますか?
館山先生
カップで脂肪が吸引されるときに、引っ張られる感覚を覚える人は多いですね。また、冷たさを感じる人も多いようですが、施術を開始して5~10分すると感覚が麻痺して冷たさを感じなくなるようです。なお、直接皮膚を吸引するのではなく、皮膚の上にジェルパッドを貼り、その上から機器を当てて施術をおこないます。
編集部
効果はどれくらい持続するのですか?
館山先生
クールスカルプティングで脂肪を減少させた部位は、脂肪細胞を破壊して排出するため、基本的には再び脂肪がつくことはないとされています。そのため、一度施術した部位はリバウンドが少ないと言われています。
クールスカルプティングはどんな人におすすめ?
編集部
クールスカルプティングは、どんな人におすすめですか?
館山先生
例えば、「お腹周りの脂肪が気になる」「腰回りをすっきりさせたい」「二の腕だけを細くしたい」など、部分的に脂肪を落としたい人に向いていると思います。当院でとくにリクエストが多いのは、太ももの内側やお尻の付け根の部分です。この辺りの脂肪を取り除くと足が長く見える効果が期待できます。
編集部
部分的に痩せられる点は魅力的ですね。
館山先生
そうですね。ただし、注意していただきたいのが、クールスカルプティングは体重減少の効果を期待するものではないということです。あくまでも、脂肪を減少させる装置であることを理解したうえで、施術を受けていただきたいと思います。
編集部
本当に効果はあるのでしょうか?
館山先生
海外で実施された臨床試験によると、脂肪厚の減少量は超音波画像によって評価されています。また、実際に施術を受けた被験者たちの満足度も概ね高いという結果も出ています。脂肪を冷却する施術はクールスカルプティング以外にもありますが、日本において厚生労働省から認可されているのはクールスカルプティングのみです。安全性も確認されているので、ぜひ安心して受けてほしいと思います。なお、アメリカ、イギリス、インド、韓国、シンガポール、台湾、中国、ドイツなど、世界各国で使用されています。
クールスカルプティングを受ける際の注意点やリスクについて
編集部
クールスカルプティングを受ける際に注意することはありますか?
館山先生
体の部位によっては受けられないこともあります。例えば、顔周りや頭部、頸部などは吸引が難しかったり、冷却には適さなかったりするので、施術を受けることができません。また、あまりに脂肪が少ない場合も適応外です。一般に、施術を受けるには1cmくらい脂肪をつまめることが必要とされています。
編集部
一度の施術で効果が得られるのですか?
館山先生
そこまで脂肪がついていない場合は、1回でも効果を実感できるでしょう。また、一度で満足する効果が得られない場合は、繰り返し施術を受けていただくことも可能です。その場合、前回の施術から2カ月を目安として間隔を空けておこないます。
編集部
副作用やデメリットはありませんか?
館山先生
安全性が高いことは確認されていますが、施術を受けているときに疼痛が起きたり、施術後に内出血や赤みが生じたりすることがあります。また、稀ですが色素沈着や凍傷などが見られることもあります。ただし、多くの場合、内出血や赤みは施術後1週間程度で消えていくので、心配ないでしょう。
編集部
施術を受けられない人はいますか?
館山先生
クリオグロブリン血症、寒冷凝集素症、発作性寒冷血色素尿症のある人は、貧血などの症状が悪化する恐れがあるので施術を受けることができません。また、切り傷などの開放創や感染創がある人も、悪化する恐れがあるため受けられません。加えて、妊娠中の女性も胎児への影響を考え、施術を控えていただきます。
編集部
ほかにも受けられない人はいますか?
館山先生
病気の治療で血液をサラサラにする薬を服用している人は、内出血がおさまりにくい可能性もあります。施術を受けていただくことはできますが、必ず事前に医師とご相談ください。また、生理中でも受けていただくことはできますが、痛みを感じることがあるかもしれません。
編集部
ほかにクールスカルプティングを受けるうえでの注意点はありますか?
館山先生
厚生労働省が、「冷却による皮下脂肪の減少に関連する十分な知識を有する医師が、施術に伴う合併症等の知識を十分に習得した上で、使用目的及び使用方法を遵守して本品を用いるように」という指示を出しています。最近では、クールスカルプティングの施術をおこなうクリニックも増えていますが、きちんと内容を確認して施術を受けるようにしましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
館山先生
クールスカルプティングで大切なのは「痩せたい部位に当てるアプリケータの位置と数」だと考えます。効果を最大限発揮するには、どこに、いくつアプリケータを装着するか、入念に検討する必要があります。そのために大切なのは、施術の前におこなう診断です。したがって、ダイエットを専門で扱うクリニックなど、実績のある医療機関を選んで施術を受けるようにしましょう。
編集部まとめ
クールスカルプティング以外にも脂肪を冷却して排出する施術がありますが、なかには安全性が確認されておらず、施術後に凍傷などを引き起こすものもあるようです。必ず機器の安全性を確認し、また、事前カウンセリングで不明点や疑問点をしっかり解消してから施術をおこなうようにしましょう。
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