「粘液嚢胞(口の中のできもの)」ができる原因はご存知ですか?医師が監修!

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口の中に水ぶくれができる時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
見立 英史(医師)

九州大学歯学部卒業。親知らずの抜歯をはじめ、口腔粘膜疾患、口腔がんの診療を行なっている。日本口腔外科学会指導医・専門医、日本口腔科学会認定医。

「口の中に水ぶくれができる」症状で考えられる病気と対処法

お口の中は、温かいものから冷たいものなど温度刺激が直接加わり、空気中のウイルスから食べ物など、様々な大きさ、硬さのものが入ってくる苛酷な環境です。さらに、髪の毛一本あっても気づくくらい感覚が繊細で敏感な部位です。
また、鏡を使ったり、歯科医師など他人に見てもらって確認ができる部位でもあります。その部位に、水ぶくれ(水疱)のようなものができた時には、どういう病気が考えられ、どのようにすればいいのでしょうか?考えられる病気について見ていきます。

口の中を傷つけたり、やけどをして口の中に水ぶくれができた症状で考えられる原因と対処法

温かい食べ物や、揚げたての天ぷらなどを頬張ると、思った以上に熱くてびっくりした経験があるかと思います。この時に、やけどをしたという方も多いでしょう。やけどにより、粘膜には水ぶくれができます。この水ぶくれが破けると、治りに時間がかかることがありますので、自己判断で触らないようにしましょう。
まずは、冷たい飲み物や氷水などで患部を冷やしましょう。氷だけだと粘膜が氷に貼り付いてしまうことがあるので、氷水がいいでしょう。そして、痛みなどが落ち着いたら、歯科医院で相談してください。

口の中に透明な水ぶくれができる症状で考えられる原因と対処法

透明な水ぶくれができる場合、最も多いのは「粘液のう胞」というものです。粘液とは唾液のことで、のう胞とは、袋状になったものを指します。つまり、唾液が溜まって膨れたふくろです。大きさは数mm程度で、放置すると1cmくらいまでなることがあります。
お口の粘膜には、粘膜表面に潤いを与える小唾液腺という唾液を作る組織が無数にあります。壁や家具に顔をぶつけたり、転倒するなどして歯で誤ってお口の粘膜を噛むことで、唾液の出口が塞がってしまうことがきっかけで発生します。そのため、小児の下唇によく見られ、成人でも見られることがあります。
治療法は粘液囊胞を取ることや、縫合して縛ってしまう方法(微小開窓療法)などがあります。まず歯科医院で相談しましょう。小児でも処置に耐えられないくらい幼い場合は経過観察することがあります。また、噛んで潰してしまうこともあれば、再発をすることもあります。

口の中に水ぶくれができて痛くない症状で考えられる原因と対処法

先ほどの粘液囊胞と血腫にはほとんど痛みはありません。また、手足口病というウイルス感染症でも口の中に水ぶくれができますが、痛みが無い時があります。

口の中に水ぶくれができて痛い症状で考えられる原因と対処法

痛みを伴う水ぶくれの場合は、ヘルペスを考えます。これはヘルペスウイルスによるもので、普段は体の免疫力のために症状は出ませんが、多忙や疲労、ストレスなどで免疫力が低下した場合には発症します。
ヘルペスでお口の中が痛いと、食事を摂ることだけでなく、水を飲むことも難しくなります。また、ヘルペスの治療後の後遺症として焼けるような・もしくは電気が走るような神経痛(帯状疱疹後神経痛)が出る場合もあります。この予防のためには早期の治療介入が必要です。
早めに歯科医院、耳鼻咽喉科、内科を受診して、ヘルペスかどうか確認してもらいましょう。休養、栄養補給、抗ウイルス薬が基本的な治療になります。

口の中に赤黒い水ぶくれができて、血豆のようになっている症状で考えられる原因と対処法

お口の中に血豆のような赤黒いものができた場合、内出血である「血腫」の可能性があります。舌の側面(舌縁部)や頰の粘膜に出来やすいです。
原因としては、粘膜にあるやや太い血管を細くて尖ったもの、もしくは硬い物が当たってしまい、出血をきたしたものです。
脳梗塞や心筋梗塞を起こした人が再発予防で抗凝固薬、抗血小板薬など、いわゆる「血液サラサラの薬」を飲んでいると、血腫ができやすくなり、また止血するのに時間がかかるため、やや大きめな血腫になりやすいと言われています。
この血腫の治療は、歯科医院で貯留した血液を排出してもらいます。なお、血液サラサラの薬を飲んでいる場合は、薬が効きすぎている可能性があります。歯科医院を受診する際はお薬手帳など内服薬がわかる資料も持参して、歯科医院で相談しましょう。

口の中に水ぶくれができて、何度も繰り返す症状で考えられる原因と対処法

水ぶくろが何度も繰り返す場合は、粘液囊胞か血腫を考えます。それぞれ、出来た部位の近くに歯の尖った部分、少し歯が張り出している部分などはありませんか?いわゆる八重歯(犬歯が唇側に生えている)があったり、新たに入れた被せ物があったりすると、その形の調整を歯科医院でしてもらいましょう。

子どもで口の中に水ぶくれができる症状で考えられる主な原因と対処法

子どもに多いのは粘液囊胞、そして手足口病です。それぞれの項目を参考にしてください。

すぐに病院へ行くべき「口の中に水ぶくれができる」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

血腫の数が多い場合や、透明から白みがかった大きな水ぶくれが複数・多数発生している場合は、歯科・口腔外科・内科へ

まず、血腫では、多数できる場合、かなり大きな血腫が出来た場合は、血液サラサラの薬の効能が効き過ぎていないかを確認しましょう。
痛みを伴う場合はヘルペスの可能性を考えます。
そして、透明から白みがかった大きな水ぶくれが複数・多数発生している場合は、自己免疫疾患の可能性があります。この仲間には水疱性天疱瘡などいくつかの病名があります。いずれにせよ、口腔外科や内科での精査が必要になりますので、早めに受診しましょう。

受診・予防の目安となる「口の中に水ぶくれができる」症状のセルフチェック法

・口の中に水ぶくれができる以外に痛みもある場合

・口の中に水ぶくれができる以外に歯に痛みがある場合

・口の中に水ぶくれができる以外に、皮膚にも水ぶくれがある場合

「口の中に水ぶくれができる」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「口の中に水ぶくれができる」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

歯肉膿瘍

歯肉膿瘍は、歯の周囲の膿が溜まったものです。黄色みがあります。虫歯の近く、神経を取って被せものをした歯の近くに出来やすいという特徴があります。

口唇ヘルペス

たいていの皆さんの神経系にヘルペスウイルスが潜んでいます。普段は自身の免疫力で抑え込まれていますが、体力低下で免疫力が低下した際にウイルスが活性化します。神経の走行に沿って発症しますので、症状のある範囲は診断の参考になります。治療は安静にして水分摂取と栄養補給が基本で、症状によって抗ウイルス薬を併用することがあります。

手足口病

手足口病は、ウイルスによる飛沫感染や接触感染です。お口の中だけでなく、手や足にも発赤や水疱などができることがあります。
治療薬はありませんが、拡大を防ぐために石けんでの手洗いを励行しましょう。
ただ、まれに神経系に症状をきたすことが報告されています。
高熱や発熱が2-3日以上続く、嘔吐、頭痛をはじめ、視線が合わない、ぐったりとしているなどの場合は、すぐに小児科や内科などの医療機関を受診しましょう。

「口の中に水ぶくれができる」ときの正しい対処法は?

まず、早く治したい、応急処置をしたいと思うかもしれません。
早く治すためには、その水ぶくれに対する診断が必要です。参考までに、水ぶくれの色調で、おおよその診断がつくことがあります。透明感がある水ぶくれの場合は粘液囊胞ややけど、赤みを伴うような水ぶくれは口唇ヘルペスや手足口病、黄色味があるものは膿が溜まっていることが多いので、膿瘍と考えることがあります。これだけで判断することはできません、いつから症状があったか、気づいてからの経過なども合わせて判断します。
しかし、この判断によって症状を悪化させる可能性もあります。例えば、口内炎の塗り薬にはステロイド成分が入っていることが多いのですが、ウイルス疾患では症状を悪化させるため使用を避けます。口唇ヘルペスや手足口病の場合は接触感染、飛沫感染の危険性がありますので、ご家族の方は手洗いを励行しましょう。
また、水ぶくれを潰すと早く治ると思う方もおられます。水ぶくれを潰すと治りに時間がかかる場合や、再発する可能性も出てきますので、あえて潰そうとはしないほうがいいでしょう。ただし、水ぶくれが膨れてしまうと、場所によってはどうしても歯に当たりやすくなりますよね。できるだけ安静にすることと、もし歯科治療を受けていて、新しい被せ物、詰め物が近くにある場合は、その形を確認、修正してもらう必要があるかもしれません。歯科医院で相談してみてください。
早く歯科医院や内科に行ければいいのですが、なかなか時間が取れない時は、お口の中をうがいで清潔にしておくこと、そしてできるだけ栄養をバランスよく補給し、体を休めてください。

「口の中に水ぶくれができる」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「口の中に水ぶくれができる」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

口の中に水ぶくれができたとき、潰しても大丈夫ですか?

見立 英史(医師)

水ぶくれの種類によりますので、診断がついていないうちに自己判断で潰すのは避けましょう。医師、歯科医師に聞いてからがいいでしょう。

口の中にプチっとした水ぶくれができたら病院に行くべきですか?

見立 英史(医師)

この水ぶくれが1個なら、粘液囊胞の可能性がありますので、歯科医院で相談するか、経過観察が可能かもしれません。
水ぶくれが多数認める場合は、ヘルペスや手足口病などウイルス感染によるものが可能性として出てきますので、早めに歯科医院を受診しましょう。

唇の内側に水ぶくれがあるのは放置すると危険ですか?

見立 英史(医師)

透明な水ぶくれである粘液囊胞であれば、放置(経過観察)しても大丈夫です。ただし、大きくなってきたら、切開などの処置が必要になります。
それ以外の水ぶくれの場合は、診断をつけるためにも早めに歯科医院を受診しましょう。

歯茎に水ぶくれが繰り返しできるのは何かの病気ですか?

見立 英史(医師)

歯茎にできる水ぶくれは、まず膿が溜まったものを考えます。やや黄色い色調をしていることが多いです。これは、虫歯に関連する炎症や歯肉炎や歯周病に関連する炎症により、膿瘍を形成したために見られます。

子供の口の中に水ぶくれがあります。手足口病でしょうか?

見立 英史(医師)

手足口病は口の中、手や足などに水ぶくれ・発疹ができるウイルス感染症です。まず、その水ぶくれが1-2個だけか、多数あるかを確認しましょう。多数あれば、手足口病の可能性があります。また、手足に発疹があるかも確認してみましょう。なお、飛沫で感染しますので、見た後はしっかり手洗いをしてください。

まとめ

お口の中にできる水ぶくれには、粘液囊胞はそう急がなくても構いません。一方で、痛みを伴うもののうちヘルペスの可能性がある場合、痛みが無い場合は自己免疫疾患による可能性がありますので。これらは早めに歯科、耳鼻咽喉科、内科などを受診しましょう。

「口の中に水ぶくれができる」で考えられる病気と特徴

「口の中に水ぶくれができる」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科の病気

類天疱瘡(水疱性類天疱瘡,粘膜類天疱瘡および後天性表皮水疱症)

手足口病

ヘルペス

歯科・口腔外科の病気

粘液嚢胞

水ぶくれを自分で判断して潰したり治療をおこなってしまうのは悪化させる危険性がありますので、早く治したい場合には早めに歯科の受診をお勧めします。

「口の中に水ぶくれができる」と関連のある症状

「口の中に水ぶくれができる」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

唇 水ぶくれ口内炎が治らない

口の中のやけど

口の中にできものがある

口の中が痛い

口の中が荒れている

「口の中に水ぶくれができる」症状の他にこれらの症状がある場合も「類天疱瘡」「手足口病」「ヘルペス」「粘液嚢胞」などの疾患の可能性も考えられます。複数の症状が併発している場合には、なるべく早めの医療機関への受診をお勧めします。