《M-1準々決勝ネタYouTube再生回数ダントツ1位》なんでみんな金属バットが好きなのか? たったひとつの揺るぎない理由【ノーカット掲載】
M-1準々決勝で一度は敗退するも、動画再生回数1位となり、ワイルドカードで復活。しかし、準決勝で惜しくも敗退。15年間のM-1挑戦が終わった金属バット。なぜテレビではほとんど見かけない二人が熱狂的な注目を集めるのか。(5回分の4回目)
高校時代の金属バットは…
――お二人はどんな高校生だったんですか?
友保 俺らでも、あれですよ、工業高校だったんで、ほんまに模範囚みたいな。ええ。みんな静かに、鉄板を切って、ええ。
――建築科ですか?
友保 建築は賢いんすよ。
小林 建築はもう、天才です。
友保 俺らは、あの、メッキとか作る、金属科かなんか言うたんやな、昔は。
小林 もともとそう、今は材料システム科っていう、
友保 金属科っちゅう名前が悪いから、材料システム科になった。横文字入れて。まぁ一番アホやったんですけどそれが。やっぱアホんとこの先生は一番怖い先生がきて。ほんまに、
一筆書きのヤクザみたいな人で、なぁ。
小林 あれは、きれいなヤクザやった。
友保 うん。きれいなヤクザ。警察落ちたから先生やってんねん、ていう。ほんまにおもろいぐらいでかいRayBanのグラサンかけて(笑)
小林 (笑)えぐいすよね、剣道部顧問ね。
――お二人は何部だったんですか?
小林 ぼくバスケ部です。
友保 わし陸上部。
――面白いもんですね、それで、コンビ組むって、
友保 うん、ねぇ。もうしょうがないっすよ、堺やから。
「川崎市は今T-Pablowが市長なんでしたっけ?」
――私(ライター西澤)は堺に似た雰囲気の(神奈川県・)川崎市出身なので、なんかわかります。
友保 えらいところで。今T-Pablow(BAD HOP)が市長なんでしたっけ?
――まだ市長ではないですね。
友保 ちなみにカメラマンさんどこですか?
カメラマン (大阪府・)此花です。
小林 大阪なん? あらあらあら。此花って成人式USJ行きません?
カメラマン あぁ行きます、行きます。
友保 ほえー。
小林 はー。あれは羨ましかった、
友保 あれは羨ましかったなぁ。
小林 すごいねんな、あれ。
友保 めっちゃええやん。俺らしょうもない、公民館みたいなとこで集まった。帰りGEO行ったもんな、俺。
小林 (笑)成人式にGEO行った?
友保 うん。レンタルビデオのGEO。そのGEOの上のマクドで小林がバイトしてたんですよ。
小林 もともとはブロックバスターやったな
――お二人とも成人式は行かれたんですか?
友保 いやぁねぇ、俺、家出てて、もう、いきなりフリーターしてて。で、へらへらしてたらバイトの店長が、急に休みにしてくれて。で、「なんですか?」言ったら、「いや、お前20歳やから行ってこい」言われて。
小林 なつかしいな。
――なんのバイトしてたんですか?
友保 俺、あの、難波のやよい軒でバイトしてたんすよ。そこで、お昼から夜まで鍋振ってましたわ。鈴木さんていう、ええ、元ヤンのおばちゃんと一緒に。(笑)
――調理されてたんですね。
友保 で、まかないないんすよあそこ。なんだかもう、唐揚げとかを1個、ポッケに入れてレジ打ってましたよ(笑)。
――成人式の後はどこか行ったんですか?
友保 あれ、つぼ八やないね?
小林 つぼ八行ったんか、
友保 うん。堺東の。
小林 つぼ八や。
――今あんまないですよね、つぼ八。
友保 ねぇ。
小林 ないっすねぇ。アメ村だけで生きてますね、大阪の。
友保 そうなぁ、なくなったな、ようけあったのに。つぼ八のレゲエパンチうまかったなぁ。
小林 レゲエパンチ(笑)
――ピーチとウーロン茶のやつですか?
友保 いや。ちゃう。ピーチウーロンじゃないねん。
小林 ちがうんかな。
友保 なんやったっけ、ワイルドターキー入れて、なんか割んのよ。でワイルドターキーがうまいってなって、俺ワイルドターキー買うたんよ。
小林 おお。
友保 一生懸命仕事して。で、ワイルドターキーだけ飲んで、「違う」ってなって。なんかで割らなあかんかって。
「わしもう10年ぐらい西成住んでんのに」
――そんなこんなでNSCに入られた。
友保 そうですねぇ(笑)。なんちゃありぃの、で。
小林 そうですね、成人式が1月で4月にNSC入ってて。
友保 しゃあしゃあしゃあしゃあ。
――その3か月間のうちに、二人で入ろうってなったんですか?
友保 しゃあったけえなぁ? なんかでも「行く?」みたいな話なってたよなぁ。
小林 あんとき俺めっちゃ金貯めてたと思うで。
友保 せや、で成人式で盛山(※見取り図)がおったんや。
小林 そう、盛山がおって。俺、俺は知らんけど。
友保 うん。わし地元一緒で。で盛山のことを、周りの奴が、「モーリー」っていうんですけどね、「モーリーが吉本行くらしいで」言うて。「あいつも行くんか」みたいな。いややなぁと思うたら、盛山が紋付袴で来てて。もう最悪や、思て。
小林 袴着そうやな、あいつ。
――すごい芸人密度の高い町ですね(笑)。さらば(青春の光)の森田さんもそうですよね。
友保 あ、森田も、そうですよね。
小林 森田はだいぶ年上よなぁ?
友保 え、1、2上じゃなかった?
小林 1、2上か。ほうなんか。
――あとバルチック艦隊も。
小林 あぁ、三島さんや。
友保 三島さん関西やったっけ?
小林 あぁ、え、南条さんか。どっちか堺やな。
友保 今は、すゑひろがりず すかね(笑)。あんまバルチック艦隊言わないっすよ。
小林 バルチック艦隊で覚えてんの?
友保 そんなやつおらんて。
――みなさん、堺の世界観がある。
友保 いやもう最悪すよ。
小林 世界観悪口です(笑)
友保 どっちもいややな、世界観も堺感も。
小林 どっちもいややんな(笑)
友保 恥ずかしい。わしもう10年ぐらい西成住んでんのに。
――私が前回、『芸人芸人芸人』という雑誌で取材させてもらったのは、たぶん3年前くらい。高円寺の串カツ屋でインタビューしました。
友保 よかったって、あれ。
小林 『芸人芸人芸人』。みんなでトイレでおしっこの音録音した。
友保 せやせやせや。ジャルジャルさんがえらい、褒めてくれはってあれ。
小林 (笑)言うてたわそれ。
友保 わーって来はって。「あれ面白かったなあ!」って言われて。わし二日酔いでつぶれてて、すかしてもうて。
小林 おまえ寝てたな(笑)
友保 うんー。
小林 ジャルジャルさんがその次の号出て、出たときに前の雑誌もらって読んだ。
友保 ああ、読んだわけか、うん。
――そのジャルジャルさんのインタビューも担当しましたが、確かに熱心に読まれていたかも。
友保 あ、やらはったんすね、へー。
――ちゃんと酒飲まないでインタビュー。当たり前ですけど(笑)。
小林 (笑)
友保 いやーそうっすね、酒飲まんから。
――ジャルジャルさんは、もう、テレビに出るのはやめたとその取材で話してました。
小林 うんうん。
――「情熱大陸」には出てましたけど。
友保 (笑)
小林 まぁ情熱大陸は、また、別ですよ。
――でも、テレビあきらめて気持ちが楽になったと。
小林 あぁ。職人すからねぇ(笑)
友保 まぁYouTubeおもしろいしなぁ。
テレビに出なくても注目される理由
――お二人はテレビには出ないですか?
友保 そうですね、あんまりテレビ向いてないっすね。
――結構断ってますか。
友保 芸能人無理っすわ(笑)。ようしらんわあれ。ほんまにえらいわ、みんな。ニューヨークも、見取り図もねぇ。えらいなぁほんまに。たいしたもんやわ。
――芸人と芸能人って違いますか?
友保 いや、でも、どっちもできるじゃないですかあいつら。ねぇ、たいしたもんすね。わし、できへんもんなぁ。だるいもんなぁ。
――こういう感じにやってくださいとかがいやですか?
友保 いや、だるいっすねぇちょっと。まぁ向いてないっすね、あっちは。
――でもテレビに出なくても、M-1に落ちたらネットが騒然とするくらい注目されてる。
友保 まぁまぁ、負けましたからね。M-1はそうです、勝ち負けですからね。
――なぜ金属バットのファンは熱狂的なんでしょうか。
友保 まぁ、俺のちんちんがでかいからですかねぇ。ちんちんがでっけえから。
――あ、カメラ構えなくて大丈夫!
小林 見れるかもしれんのにね(笑)。そらカメラ構えますよ。
――集英社オンラインはちんちんNGなんですよ。
友保 フランス書院ちゃうしな。
小林 (笑)由緒正しいよ、あっこ。
友保 エロしか出してへん。
――確かに準決勝と決勝発表の時のTwitterはすごかったです。金属バットが落ちたことを嘆くツイートがめちゃめちゃ多くて、それに対するアンチみたいな人も現れて、さらにまたトレンド入りするっていう、すごい現象になってました。
友保 うーん。いやぁねぇ。きしょいヤツっすけどね。ライブもけぇへんやっちゃ。金払えよ。
――金属バットにはみんななんらか複雑な思いを抱いているのかもしれないですね。
友保 やっぱちんちんでっけぇからすかね。カメラ構えて早く! 早く!
小林 (笑)
友保 なんすかね、まぁラッキーすけどねぇ。まぁねぇ。なんちゃ、言うてくれるのは。
――2021年M-1グランプリの敗者復活戦でかけたネタ「旗揚げゲーム」のつかみにみんなやられてしまったのでしょうか。あのおしゃれな。
友保 はいはい。やっぱ、バレちゃいましたか、俺らがおしゃれなんは。
――フランス映画みたいで。
友保 じゃあ面白くねぇなぁ。つまんねぇでおなじみやからな、フランス映画は。
小林 (笑)フランス映画? なに?
友保 わしなかなか見たけど、つまんねぇのよ。
小林 リュック・ベッソン?
友保 だらだらしてんのよあれ。
つづく
取材・文/西澤千央 撮影/高木陽春