ランナーを悩ませる「マメ」の原因と対処法!!予防策は「感謝と発見」
日々のランニングや大会でランナーを悩ませる「マメ」。その原因は、ランニングシューズが足に合っていない、ランニングフォーム、シューズ内の蒸れ、そしてソックスなどが想定されます。
「マメ」ができてしまうと、ランニングを続けることはもちろん、通勤・通学など日常生活にも支障が出てしまいます。
そんなランナーの敵「マメ」の原因と対処法をコーチングのプロに伺いました。そこで出てきた予防策の「感謝と発見」とはどういうことなのか。「マメ」に悩まされているランナー必読です。
下嶽(しもたけ)進一郎さん
日本体育大学院修了後、同大のスポーツトレーニングセンター助手、中京大学スポーツ科学部助教を経て現在はトレーニング科学、コーチング科学、体育科指導法を専門とする株式会社Future Logistics代表。実業団陸上部で専属コーチとして選手を指導するとともに順天堂大学後期博士課程に通い研究職として企業内でリサーチャーを行う。子どもの運動能力を中心にプログラムとの関係を追跡する研究プロジェクトに参加中。
マメとは?
多くのランナーを悩ませている「マメ」はどうしてできるのか。タコやイボとは違う「マメ」とはどういうものなのでしょうか。
「ランニングシューズ内と、足の裏や足の指の摩擦が強すぎて擦れたなどの理由の結果、水ぶくれになるのが『マメ』で、やけどの一種です。例えば、短距離走選手でも真夏にスパイクを裸足で履いて走っていると、足の裏の皮がペロっと剥けたりします。
それはまさしく摩擦熱での水ぶくれ。長距離やランニングでも、常に摩擦はシューズの中で起こっているので、それによって『マメ』ができることがあります。」(下嶽さん)
読者の皆さんも経験あると思いますが、やけどしたときにできる水ぶくれと原因は同じなのです。
ランニング中マメができる原因は?
「マメ」ができる原因は、自分の足に対してランニングシューズのサイズが大きかったり、小さかったりするのが主な原因ですが、ほかにも間違ったランニングフォームやシューズ内の環境、ソックスが原因になることもあるとのこと。また、履き慣れたシューズを買い替えた際にもマメができてしまうことも。
下嶽さんが言うには、一般的なランナーがマメを作ってしまう原因は以下の5つです。
では、それぞれ見ていきましょう。
■1つ目の原因:シューズ選び
「軽いのが良い、反発性があるのが良いなどさまざまあると思いますが、やはり自分の足のサイズに合っていないといけません。つま先部分が狭かったら足の指と指が重なり合い、縦が足りないと指が窮屈で『マメ』の原因になります。サイズ選びは慎重に、スポーツショップのスタッフのアドバイスもしっかり聞きましょう。」(下嶽さん)
■2つ目の原因:ソックス
「ランニングソックスは普通のソックスに比べ、クッション性やフィット感の高さが特徴。足にフィットしているランニングシューズを履いていても、ランニングソックスでないと足がシューズの中で安定せずに動いて擦れてしまいます。
また、ランニングソックスの縫い目が当たって擦れるというのも摩擦の原因の一つ。いろいろなランニングソックスを試し、自分に合うランニングソックスを探す価値はあると思います。」(下嶽さん)
ただランニングソックスを履いただけでは分からないため、実際に着用していつものコースを走って違和感がないかチェックするのが一番確実な方法でしょう。まだ走り慣れていない人はランニングシューズ同様、ショップスタッフに相談するのがベター。
■3つ目の原因:ランニングフォーム
「特に足の着地の仕方が悪くて擦れることがよくあります。ランニングはかかとから着地するのが基本ですが、つま先から着く、内側に蹴り上げる、または外側に蹴り上げることで、変なねじれや摩擦を起こします。足首を捻る原因にもなるので良くないです。走り方には注意しましょう。」(下嶽さん)
その解決法として、近年ではスポーツブランドのショップなどでランニングフォームをチェックすることもできたり、ランニングイベントでトレーナーがランニングフォームのチェックをしてくれたりもします。第三者の意見をもらえるサービスを利用するのが良いでしょう。
■4つ目の原因:シューズ内の通気性
「シューズ内に汗がたまればヌルヌルします。普段はシューズ内で足が動かなかったのに、汗で足がズレて摩擦が起きたりします。あとはシューズ内の通気性が悪くて汗がたまり、そのせいで足もふやけて白くなってしまう。そうなったときも擦れやすくなります。
また、夏は単純に擦れやすくなります。シューズ内が蒸れていることもありますが、コンクリートが熱くなっていることもあるので、シューズ内にも熱がこもり、皮膚が弱くなる。環境が原因で擦れることもあります。」(下嶽さん)
■5つの目の原因:新しいシューズ
「以前履いていたのと同じシューズでも、新しいと足になじむまで時間が必要です。新品だと硬さはありますから、踏んで柔らかさを出すことも必要です。古いのがまだ使えるうちに新品を購入して、兼用しながら慣らしていく。少しずつ少しずつ慣らして慣れてきたら、相棒は新品に履き替えましょう。」(下嶽さん)
マメができないようにする予防策
「マメ」ができる原因が分かれば、それらの要因に注意すれば良いのですが、「マメ」ができる前に異常を見つけて予防することが効果的な予防策になります。
足を動かないようにするためには、シューレース(靴ひも)でのフィッティングも大切。かかとをコツン・コツンと地面に当て、かかとがシューズと密着した状態でしっかりシューレースを結ぶことが「マメ」の予防の一つです。
ほかに、下嶽さんが教えてくれたのが「感謝と発見」です。
「走った後、ちゃんと足をボディーソープなどで、『ありがとう』の気持ちを込めて確認しながら洗ってあげてほしいです。そこで赤くなっているところなど、足の裏の気付きがあるので、足の裏もちゃんと見ながらケアします。
指と指の間をちゃんと全部擦ってあげると、ここ擦れてるね、など気付いたりするので、走り終わった後のケアで発見しましょう。つまり、『感謝と発見』です。選手には『全部触ってくれ』と言っています。僕も手で自分の筋肉を意識的に触って、ケアしています。」(下嶽さん)
マメができた場合の対処法
トップ選手もそうですが、一般の人にとっても「マメ」は大敵です。「マメ」はそのままにしていると、皮膚が剥がれてしまいます。せっかく毎日頑張っているランニングができなくなるかもしれません。
「以前は、水膨れになった部分を針で刺して体液を全部抜いたほうが治りが早い、そして乾燥させたほうが良いと言われていました。できるだけ乾燥させたほうが治りが早いという考えだったんですけど、今は体液のほうが治りを促進するとされています。ですので、傷口は守ったほうが良い。
トップランナーたちは、セカンドスキンという水でできたシートを患部に貼って、テーピングをして走ることもあります。が、一般のランナーはそこまでしなくても、患部にキズパワーパッドを貼って、ランニングは2~3日お休みすれば良いでしょう。」(下嶽さん)
さまざまな要因で起きてしまう「マメ」。放っておくと皮膚が破れて、ランニングはもちろん日常の歩行にも影響が出ます。
読者の皆さんも「感謝と発見」の気持ちで、日々足裏に感謝してケアすることで、ランニングライフを充実させましょう。
撮影/中田悟
イラスト/奈良裕己
文/マイヒーロー
編集/GetNavi web