映画やドラマに登場する人物の年齢の変化は、特殊メイクやCG合成で表現されていますが、どちらも非常に手間がかかる上にクオリティもまちまちです。そうした状況を一変させるような、自動的に俳優の年齢を変化させることができるAI技術の「フェイス・リエイジング・ネットワーク(FRAN)」が、ディズニーにより発表されました。

Production-Ready Face Re-Aging for Visual Effects | Disney Research Studios

https://studios.disneyresearch.com/2022/11/30/production-ready-face-re-aging-for-visual-effects/

Disney’s new neural network can change an actor’s age with ease | Ars Technica

https://arstechnica.com/information-technology/2022/11/disney-creates-ai-fountain-of-youth-for-actors/

ディズニーが開発したAIが、俳優の顔を老けさせたり若返らせたりする様子は、以下から見ることができます。

Production Ready Face Re Aging for Visual Effects - YouTube

近年の映画やテレビ番組では、登場人物の顔の年齢を変化させる手法が一般的に使われるようになりましたが、修正にはフレーム単位の手作業が必要なので、熟練のアーティストが数日間、あるいは数週間かけて映像を加工しなければなりません。



そこでディズニーの研究チームは、敵対的生成ネットワーク(GAN)の一種であるStyleGAN-2を利用して18歳から85歳までの年齢の顔をランダムに数千個生成し、FRANをトレーニングしました。



こうして作られたFRANは、映像中の人物の顔を非常にリアルに老けさせることが可能です。



肌のくすみや、表情が変化した時のしわの入り方も自然です。



もちろん若返らせることも可能。デモムービーでは、青髯が目立つ男性の口元が子どものように透明感のある肌になっています。



ディズニーは今回の研究を、「Production-Ready Face Re-Aging for Visual Effects」というタイトルの論文にまとめて、2022年12月6日から開催される技術カンファレンスのACM SIGGRAPH Asiaで発表する予定です。

「Production-Ready(制作準備完了)」と名付けられている通り、すぐにでも映画やテレビ番組で使えそうなことから、IT系ニュースサイトのArs TechnicaはFRANについて「ディズニーがスターウォーズの映画やドラマでCGを使った俳優を出演させていることを考えると、今後はFRANのような技術がディズニー作品に広く利用されても不思議ではありません」とコメントしました。