埼玉のご当地インスタントラーメンを試す

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 何かと旅行に行きづらいご時世に、ご当地インスタントラーメンを食べて、少しでも旅気分を味わおう、と立ち上げたこの企画。第7回は埼玉県のご当地ラーメン。詳しく紹介していこう。

●子どもに最適なラーメンだけど、大人には?



 まずいただいたのが「カピバララーメン」。もちろん、カピバラのエキスなどは入っておらず「埼玉県こども動物自然公園」が開発に携わったことで付けられたネーミング。愛知の小笠原製粉の商品だが、埼玉のご当地ラーメンになっているのも名前の由来だ。作り方は、一般的なインスタントラーメンと全く同じで、麺を茹でてそこに粉末調味料を入れるとあっという間に出来上がり。

 器を持つとゆずのいい香りがガツン。これはインスタントでは珍しいレベルの強さだ。では、茶色で若干濁っているスープからズズズといただくと「おう!」、やっぱりゆずが鼻にスコンとくる。だが、酸味があるわけではなく、あくまで風味。肝心な味はというと「うーん……」、何だかよく分からない。超マイルド、というか、うすい。醤油ベースに隠れて、初めて食べるような動物系の味は感じなくもない。ドキッとして、もう一度裏面を確認したが、もちろんカピバラは使われていない。

 麺をズルズルといただくと、想像通り。うすーい味が、さらにうすーくなった。ちぢれ系なのでスープはしっかり絡むが、当然スープよりも濃くなることはない。なので、お湯5:柚子3:醤油1:よく分からない動物系1、で構成されているような感じ。まあ、動物自然公園なので、子どもさんをターゲットにした結果、この優しい味にたどり着いたんだろう。そう考えると納得の薄味だ。

総評

ご当地感★★☆☆☆

汁の個性★★★☆☆

麺の個性★★☆☆☆

お土産度★★☆☆☆

 強烈なゆず感とお味の優しさで、汁の個性は及第点だが、カピバラに埼玉全域を背負うブランド力もないし、大人がお土産に貰ってもそれほど嬉しい味ではないので星は少なめ。だが、パッケージのイラストはかわいいので、アイテムとしては悪くないかもしれない。

●埼玉の実力店の味が楽しめるインスタント



 次は埼玉で名を馳せ、カップラーメンなどでも人気を博している「狼煙」のインスタント版。店舗はつけ麺が特に支持されている印象だが、通常のラーメン、さらにインスタントではどんな感じの仕上がりなのか。黒ベースに赤い文字で店名を記した、いかつい雰囲気のパッケージを開けると、平たい中太の個性的な麺と液体調味料、そして魚粉の小袋が登場。期待がどんどん高まってくる。

 出来上がったラーメンに魚粉をふりかけると、鰹だか煮干しだか、魚の香りが鼻をくすぐる。すでに、うまそう。では、スープをズズッといただくと「むふー!」、濃厚な醤油味。油分も程よくあってかなりうまい。最初に感じた魚粉の香りもマッチして、いい仕事をしている。濃すぎず薄すぎず、味のバランスもいい感じ。

 では、麺をいただこうと箸でつかむと、平たい中太麺がツルツル箸から逃げていく。おそらく、コシが強すぎるせいだろう。箸の圧力に負けない弾力がある。そのため、ツルツルしてなかなか食べれない。ぐっと端先に力を込めて、何とか口に入れてみると、うまい。麺の形状からスープはそれほど絡まないが、表面のツルツルした感じとコシの強さが相まって、どんどん食べたくなる。さすがつけ麺の王様店、濃厚な醤油味や魚粉との相性もバッチリだ。

総評

ご当地感★★☆☆☆

汁の個性★★★☆☆

麺の個性★★★★☆

お土産度★★★☆☆

 なかなかインスタントラーメンでは珍しい中太の平麺だし、おいしいことは間違いないが、ご当地ラーメンとして考えた時に際立った特徴がない。スープのクオリティも高いので土産度は及第点ではあるが、それほど多い星は獲得できなかった。

 と、二品だけの上になんだか渋い結果となってしまった今回のこの企画。やはりご当地グルメには、そのエリアならではの文化や歴史が寄り添っている必要がありそうだ。今後の埼玉ご当地ラーメンに期待したい。(エフェクト・山葉のぶゆき)