Q.高いタイヤなら安全というのは違うと言われたのですが【教えてネモケン116】(教えてネモケン)
ところがベテランにツーリングするなら急ブレーキさえ、サーキット仕様は安心できない、と信じられないことを言われたのですが……
A.秋冬春はサーキット仕様のハイエンドタイヤだと、不意のブレーキなど確かにリスクはあります。
ハイグリップ仕様ほど真夏を除けばツーリングでは安心できませんご質問の方のように、万一のことを考えたらコストをかけて一番グリップするタイヤを選ばれるのは心情的によくわかります。
しかし、ハイエンドのサーキットでレーシングタイヤ並みにグリップできるカテゴリーが本領発揮するのは、タイヤにコーナリングフォースをたっぷり与え、体重もガッチリ載せてタイヤを潰せるライディングに限られます。
確かに超ソフトなトレッド・コンパウンドは、火傷しそうなほど高温になれば路面に貼りつくような粘りがあります。
しかしこれは柔軟に路面の凹凸に追従できるカーカスが、たっぷりデフして(凹んで)押し付けられた状態でのこと。低い荷重では呆気なく滑る場合も少なくありません。
モーターサイクルタイヤは路面追従性の次に、この押し潰す荷重でグリップが変わる面が大きく、クルマのタイヤと違ってライダー次第で性能が左右されます。
つまりサーキットで攻めるライディングができるライダーでなければ、ハイグリップ仕様ほどグリップできるとは言えないのです。
そうなると、ハイグリップ仕様はツーリングに向いていません。ましてや20℃を下回る秋から冬を挟んで春までの期間は、むしろリスクが高いと言わざるを得ません。
Diablo Super CorsaSP V3
Diablo Rosso Ⅳ Corsa
Diablo Rosso Ⅳ
まずこれは個人の意見であって、タイヤメーカーの公式コメントではないことをお断りしてアドバイスを続けていきます。
たとえばピレリでいえば、Diablo Super CorsaSP V3は実際のレースでも使われているハイグリップ仕様の頂点モデルです。
その次に控えしが、最近ラインナップされたDiablo Rosso Ⅳにサーキットでのグリップ性能も配慮したバリエーションのCorsaが加わりました。
そしてベースとなるDiablo Rosso Ⅳ とサーキット路面でのグリップ序列だとこのように並びます。
しかしそのサーキットでの使用でさえ、秋以降の気温が20℃を下回る季節だと、ベースモデルのDiablo Rosso Ⅳ のほうがリスクが下がります。ましてや10℃ちょっとだと、Rosso Ⅳ Corsa もSuper CorsaSP V3 は、タイヤウォーマーを巻いても走行したらすぐ温度が下がり冷めてしまうのでリスキーということになります。
ということで、安全のためにはコストを惜しまない方も、愛車がスーパーバイクでタイヤの仕様をグレードダウンするのは抵抗あるかも知れませんが、秋から冬を挟んで春までは、ライバルなき画期的な高次元バランスを達成したDiablo Rosso Ⅳ に交換しておくのが、何より安全のためにお奨めです。
春になって暖かくなってから、そしてサーキット走行をなさるのであれば、ハイグリップ仕様にまた履き替えてください。