60年近い歴史を持つ「ヤクルトレディ」によるヤクルトの訪問販売は、地域により様々な乗りもので行われています。最近は“進化系”も登場しているようです。

ルーツは手押しカート? いろいろあるヤクルトの乗りもの

 2022年現在、「ヤクルト1000」が爆発的な人気で品薄状態が聞かれます。このヤクルト1000は、一部の自動販売機などで売られているのとは別に、「ヤクルトレディ」と呼ばれる女性による訪問販売も行われています。


ヤクルトレディの手押しカートは「シャトル」と呼ばれる。現在はこれを使った訪問は少数派となっている(画像:ヤクルト本社)。

 東京都内では、原付バイクにヤクルト商品を入れた冷蔵カートを積載したヤクルトレディの姿も見られますが、このヤクルトレディの乗り物、けっこうバリエーションに富んでいるようです。

 ヤクルト本社の広報担当者によると、「主な種類はクルマ、バイク、自転車、シャトル(手押しカート)」があり、選定理由については「地域性、走行距離を鑑みて上記車両から販売会社が選択しています」とのこと。配達する地域に合わせて乗り物が柔軟に決められているようです。

 その割合は2022年3月時点で、クルマ48%(約1万5360人)、バイク34%(約1万800人)、自転車15%(4880人)、シャトル(手押しカート)2%(約640人)、その他1%(約320人)なのだそう。全国の約3万2000人のヤクルトレディは、クルマとバイクが多数派であることがわかりました。

訪問販売のスタイルを続けるのはなぜ?

 前出の通り、今やスーパーや自動販売機といった流通網も形成されたなか、ヤクルトレディの訪問販売は60年近く続けられています。そして今後も継続する構えだとか。なぜなら、「商品をお客さまに直接お届けするヤクルトレディは当社の”顔”であると考えています」とのこと。

「ヤクルトは創業当時からお客さまに直接お会いして、乳酸菌の価値をお伝えし、ご愛飲していただく活動を行ってきました。また、ヤクルトレディは商品のお届けのみならず、お客さまや食生活に合わせた健康情報の提供も行っており、『地域の健康アドバイザー』として、お役立ちできる存在になることも目指しています。このようなことから、ヤクルトレディが直接お客さまを訪問してお届けすることが大切だと考えており、今後も感染対策を十分に行ったうえで、継続してまいります」(ヤクルト本社広報室)

 ちなみに近年、韓国のヤクルトが手押しカートの進化版として導入した、立って乗る電動カート型の乗りものが話題になりました。しかしこの車両、日本では公道走行が法的に認められてないため、日本での導入は検討していないとのことです。