「鎌倉殿の13人」宮澤エマ、三谷の脚本に号泣 全成&実衣は「似た者同士」
小栗旬主演の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(NHK総合ほか)で源頼朝の異母弟・阿野全成(あの・ぜんじょう)の妻・実衣を演じる宮澤エマが、7日放送の第30回の撮影後にコメントを寄せ、全成の運命について「台本を読んだ時点で号泣してしまった」と語った(※ネタバレあり。第30回の詳細に触れています)。
本作は、鎌倉時代を舞台に、野心とは無縁だった伊豆の若武者・北条義時(小栗)が鎌倉幕府初代将軍・源頼朝(大泉洋)にすべてを学び、武士の世を盤石にした二代執権に上り詰めていくさまを追う物語。第30回「全成の確率」では比企と北条の対立が激化するなか、全成(新納慎也)が源頼家金子大地)への呪詛を行った疑いが浮上。そこへ比企能員(佐藤二朗)の思惑が絡み、追い詰められていくさまが描かれた。
全成の妻・実衣は、義時の妹。頼朝に転がり込まれて右往左往する兄姉たちを面白がって観察し、姉・政子(小池栄子)や兄・義時にしばしばツッコミを入れる皮肉屋。頼朝が自身の脅威になる者を次々と抹殺していく血なまぐさい展開の中で、全成と実衣のユーモアあふれる掛け合いが視聴者の間で「癒やしのひととき」と人気を博していた。しかし、北条家が成り上がると実衣の人生も一変。前話・29回では、父・時政(坂東彌十郎)の妻りく(宮沢りえ)が北条の力を強める策として、頼家の跡継ぎを政子の次男・千幡とし、実衣と全成が乳母夫となることをひらめき、頼家に家督を譲らせるためにと全成に呪詛をかけるように頼んだ。一度は頼家に呪詛をかけたものの、頼家の身の上に起きたアクシデントをきっかけにとりやめる決意をする全成だったが、ラストは呪詛の証拠を残してしまったところで幕を閉じた。
演じる宮澤は、台本で全成の最期を知ったときの心境について「台本を読んだ時点で号泣してしまって。こういう結末が待っているというのはもちろん、分かってはいたんですけど、そこをどう三谷(幸喜)さんが描かれるのかが分からなかったのと、実衣が全成の死にどう関わって、何を感じてどう反応するのかというのはまったく予測できていなかったので、全成さんの死を聞いたときの実衣のたたずまいや、彼女が義時に聞く質問というのが、実衣らしいなとすごく感じました」とコメント。
宮澤は、全成の好きなところについて「いろいろあるんですけど、秘密にしておきたいところもあります。なんでかというと、二人にしか分からないことなんだと思うんですよね」と言い、実衣と全成は似た者同士だと指摘する。
「周りから見ていると『なんであの二人が』とか『あの人のどこが好きなんだろう』とか思うかもしれないけど、実衣と全成は似た者どうしというか、言い方は不思議ですけど“共犯者”のような感じなんです。それぞれ立派な一族の中でもふわっとした立ち位置で、ちょっと忘れられがちで、何をしているのかよく分からなくて、という、すごく共鳴する部分が二人にはあるんだと思うんです。実衣は全成さんが秘めている、中にあるパワーみたいなものを信じていて、そこが共鳴しあってひかれているのかなと思うので」
全成が初めて登場したのは2月20日放送の第7回。伊豆山権現に身を隠していた政子、りく、実衣が僧兵に取り囲まれた際、全成が修行で培った陰陽を駆使して助けようとするも“失敗”し周囲が困惑するなか、実衣が「何なのよ!」とツッコミを入れていた。そんな珍妙な出会いを経て全成の妻となった実衣の思いを、宮澤は以下のように分析している。
「実衣にとっては彼の魅力というのが、実衣にだけかかっている魔法じゃないですけど、誰にも分かってもらえなくてもいいし、たぶん、二人とも分かっているようで分かっていないのかも知れない。全成さんが最初のころ『生まれる前からほれていました』みたいなことを言っちゃうんですが、それを受けて実衣が『言っていることがよく分からないところにひかれました』と言えるって逆にすごいなと思って。ふつう、『この人の何が好きなの?』と聞かれたときに並べる形容詞って違う気がするんですけど、言葉では表現できないレベルでひかれ合っていたんだなというのを、占いの力も込みで感じました」
昨年は連続テレビ小説「おちょやん」も話題を呼んだ宮澤。「鎌倉殿の13人」の脚本を手掛けた三谷の数々の作品に出演。舞台「日本の歴史」、映画『記憶にございません!』、Amazonプライム・ビデオのシットコム「誰かが、見ている」などに出演している。(編集部・石井百合子)