この記事をまとめると

■絶版バイクを暴走族風にカスタムして同好の士らとツーリングを楽しむ「旧車會」

■旧車會を構成員の多くは社会人でしかも中年以上のメンバーがほとんど

■海外では「BOSOZOKU」はトレンドカスタムの一員となって久しい

見た目で悪いヤツらだと判断すべからず

 旧車會については、なにかと不穏なニュースが多く伝えられています。チンピラのごとく、コンビニ店員を脅しただの、因縁をつけて誰かのバイクを倒しただの、およそ「社会のダニ」扱いされても不思議ではありません。

 そもそも、旧車會というのは絶版バイクなどを「暴走族風」にカスタムし、これまた「暴走族風」ウェアをまといつつ、同好の士らと仲良く過ごすグループのこと。旧車会というのもあって面倒なのですが、こちらは読んで字のごとく旧いバイク(やクルマ)に好んで乗っている同好の士であって「暴走族風味」は含まれないグループ。

※写真はイメージです

 旧車會を構成している人びとの多くは社会人で、しかも中年以上のメンバーがほとんどというデータもあります。以前、テレビのワイドショーで驚いたのは、旧車會のメンバーという女性が、自分の母親かと思うほど高齢だったこと。熟女を通り越して老女に近い彼女が、カメラに向かって「旧車會の何が悪い」と意気揚々と声を張っていたのは今でも忘れられません。

 そして、暴走族と違うのは、社会人ゆえに週末や休日の昼間に走ること。「真夜中のハイウェイ」なんて名曲がありましたが、お仕事をしている方々ゆえ「そんな時間はちょっと……」ということなんでしょう。日曜日、観光地の駐車場なんてシチュエーションに、何台もの「暴走族風」バイクが集まって、バリバリ鳴らしてたら、そりゃ悪目立ちしないほうがおかしいわけですよ。

海外でも「BOSOZOKU」スタイルとして認知されている

 もっとも、悪目立ちといってもなかには「目立ったもん勝ち」なんて不心得者もいることでしょう。バンバンバリバリとコールを切るのもそんな顕示欲、承認欲求の現われに過ぎないのかもしれません。こんな悠長なこと言ってると「騒音で迷惑する身にもなれ!」とお叱りを受けるかもしれませんが、これについては元暴走族の友人がこんなコメントをしていました。

「そりゃ、何十台も暴走車がいればうるさいだろうけど、同じところずっといるわけじゃあるまい」、なるほど、走り去ってしまえば元の環境も戻るというもの。また、うるさいまま居座ったりしたら、それこそ「迷惑行為」や「危険行為」として警察の出動案件。旧車會とて、いや社会人が中心の旧車會だからこそ警察なんて避けたいはずです。

※写真はイメージです

「だいたい、旧車會っていっても、本当に暴走族を経験していた人は少ないと思う」と元暴走族は口元を緩めていました。「中年になって憧れのバイクや、カスタムできる金ができたやつらが、嬉しくなってつるんでるように見えるし。それを羨むやつだっているわけで、そいつらがちょっとした悪ふざけを、さも反社会行為のようにあげつらってんじゃねーか」

 成績が信じられないくらい悪かった友人ですが、なるほどCBXでバリバリ鳴らしてただけのコメントではあります。

 つまりは、どんな趣味のグループにだっていえることですが「いいやつもいれば、悪いやつもいる」ということにほかならず、筆者などは暴走族風のコスプレを目にすると「ちょっとしたクール・ジャパン」くらいに感じているわけです。

 ところで、海外の反応というかワールドワイドなSNSを覗いてみると「BOSOZOKU」はバイクにせよクルマにせよ、トレンドカスタムの一員となって久しいようです。日章旗チックなペイントや、月光カウル(高くせりあがったフロントフェアリング)竹やりマフラーなどは、たしかにアイコニックであり、日本独自のテイストにあふれていますからね。

 もちろん、迷惑珍走、チンピラ行為はもってのほかですが、同じくクルマやバイクなど乗り物好き、カスタム好きとして、旧車會のことは無下にすることなく「お仲間」と認めるのもアリではないでしょうかね。