Vol.06 朝日新聞社〜少人数で最大の効果を出すシネマカメラを求めて[シネマカメラの新しいカタチ DJI Ronin 4D]

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新聞社発、横断的な広告制作動画チームが求めたカメラとは?

――新聞社で映像部署、非常に興味があります。どういう部署なのかお聞かせください?

山本氏:

主に企業のWeb CM制作などを行うクリエイティブを担う、比較的新しい部署です。我々は映像クリエイションチームとして活動しています。社内の映像が得意な人たちが集合し、企業CMを制作する部署と思っていただければ、わかりやすいと思います。
時代の変化とともに、新聞社ですが、動画のクリエイティブ含めデジタル施策が多くなりました。映像制作は業務の一環としてそれまでも行っていましたが、事業としてスタートしたのは2021年からです。僕と吉岡でスタートしました。途中からは佐藤が加わり3名体制となりました。
新聞社として紙面の広告を出す紙面クリエイティブやデジタル広告のタイアップコンテンツを制作するチームはすでに存在しますが、広告映像を全て社内で制作する専門のチームは存在していませんでした。
また特色として40以上ある社内運営のWebメディアに来た案件でも横断的に対応可能なクリエイティブチームになっています。まもなく4人目がチームに加わるのですが、この4人目がDJI Ronin 4Dを導入したことにも繋がります。

ビジネス開発センターアライアンス事業部次長 山本哲也氏

――みなさんは、もともと映像制作を行っていたのですか?

山本氏:

僕はシステムエンジニアでした。2015年から休職して、ニューヨークで映画を学んで2018年に復職しました。

ビジネス開発センターアライアンス事業部 吉岡資氏

吉岡氏:

私は、映画美学校で学び、自主映画を制作していました。記者として新聞社に入りました。が、映像制作の経験があるので、この部署に参加しました。

ビジネス開発センターアライアンス事業部 佐藤正人氏

佐藤氏:

私は30年くらい記者経験があり、50歳過ぎてからの参加となります。映像の部署のマネジメントもありますが、実際に撮影もこなします。

――DJI Ronin 4D導入のきっかけをお聞かせください

佐藤氏:

映像制作の業界といえば多くのスタッフが集い、照明や撮影などの各専門家集団が集まっています。しかしながら我々は少人数で、それぞれがカメラも監督も兼任し、かつクオリティの高いものに仕上げるチームコンセプトがあります。Web CMの予算規模、管理も3〜4人でやるのがちょうど良いのです。
このメンバーで最大限有効活用できるカメラの選択が、Ronin 4Dだと思います。導入前は、様々なカメラを使用していました。主にEOS C300 Mark IIIをRoninに載せ、運用していました。しかしセットアップに時間がかかり、演者さんを待たせるなど、制作現場で結構、課題がありました。
このような経験を重ねるうちに、小規模なプロダクションかつワンオペだと使いづらいという悩みがあったところにRonin 4Dが登場しました。現場の取り回しを考えつつ、レンズ、カメラ、ジンバル性能に加え、しかも当初はRAW撮影も可能ということで導入に至りました。4人チームで、一人で色々なタスクをこなす我々には、最適な機材となります。

――DJI Ronin 4Dの使用感はいかがですか?

山本氏:

実際にRonin 4Dに電源を入れ、4Dボタンを押せば即使用可能と、簡単にセットアップできるのが嬉しいですね。3カメ体制で、「今スタビライザー使って!」という時に、機動力も高いです。オートフォーカス性能もばっちりですので、重宝しています。Ronin 4Dの意外なメリット部分では出演者やクライアントが喜ぶんですね。カメラですが特機でもありますし、そのボディーデザインも目につきます。これは現場投入したメリットの一つかなと思っています。
Ronin 4Dは、現在案件毎に稼働しています。Ronin 4Dを地面に置いて、オートトラッキング機能でバスケット選手を自動追尾撮影するとか、低いアングルでも確実に良い画が撮れます。また目線上の映像は三脚で追いかけて、低いアングルを自動で追いかけるなど、思いついたアイデアが実現することはいいですね。

山本氏:

導入後すぐは、4Dボタンを押し忘れることもありました。電源を入れる時に必ず4Dボタンも押す。あとロックの外し忘れも要注意ですね。カメラマンとフォーカスマンを分けて二人組で撮影するのがベストですが、ディレクター用モニターとして使っているのみで実現はしていません。やはり人数が少ないため、現状その使い方は厳しいかなというところです。

――今回のメルセデス・ベンツ日本の案件について教えて下さい

「ラウドネス・高崎 晃、メルセデスAMGと共鳴する」

山本氏:

メルセデス・ベンツ日本のWebタイアップ広告映像の制作を行いました。今回は、営業部から動画を提案したいという打診があり、我々に話が来て、絵コンテや構成図など提案し、実行に至りました。
今回1番の肝は、もちろん商品となる自動車をいかにリッチに見せるかです。その部分でRonin 4Dはクリアしていますし、固定カメラよりも機動力があるので、大変役立ちましたね。実は、この現場もワンオペでしたが、問題なく撮影完了しました。
さらに今回は、結構小さいスタジオの中でミュージシャンである高崎さんの演奏シーン撮影もありました。スライダーとかも駆使しようと検討しましたが、演奏中に臨機応変に動く可能性もあり、それらの対応に一番Ronin 4Dが適任だと判断しました。

適材適所な機材選択に満足

佐藤氏:

2021年10月頃に山本から、DJIがシネマカメラを発表するという情報をもらい、Inter BEE 2021に足を運び、実際に実機を触ってみました。ジンバルでオートフォーカスが簡単にできちゃう。これはまさにうちのチーム向けだなと確信しました。旧来のカメラでは画にあまり動きがなく、固定して撮られていた感じが多かったですが、Ronin 4D導入により画に動きがでたことが一番のメリットだと思います。寄ったり、引いたり、持ちながら手持ちで出来ます。

山本氏:

 

さらに使い方によっては、スライダー代わりに使えたり、ジブやクレーンみたいな特機としても使用できます。しかも三脚に載せての通常使いも出来るのはいいですよね。また、デザインがちょっと変わっているんですけど、実際使うと使いやすいです。その効果はメルセデス・ベンツ日本のCM作品の仕上がりを見ていただければわかるかと思います。

 

吉岡氏:

僕自身は、Ronin 4Dのオペレーションはやっていないのですが、先日別件で手持ち撮影を行い、動きのあるカメラワークには重宝しました。これまで自主映画で移動車を使って撮影していたのですが、それに近い効果が手軽に撮影できるだと感じました。ルックもシネマティックで非常に味があると、編集していて感じています。

――今後、Ronin 4Dをどのように使われますか?

山本氏:

シネマカメラでは当たり前ですが、レンズ交換式もポイントが高いですね。今後、レンズの種類を増やして色々と試してみたいです。長玉のズームレンズも使えたらな思っていますが、ペイロード的に搭載できるものは限定されますよね。

佐藤氏:

僕みたいな非力だと長時間ハンドル持つのも結構辛いんです。軽いとは言っても、結構重量あるじゃないですか。Easyrigを導入して長時間撮影でも楽に対応できれば良いなと思います。あれを使いこなすにはちょっと練習が必要となりますが。

――DJIにリクエストは、ありますか?

 

佐藤氏:

バッテリーに関してリクエストがあります。ドローンのInspireのバッテリーを採用していると思いますが、ぜひVマウントバッテリーにも対応して欲しいです。現状は純正バッテリー3つを運用してますが、数が必要な案件では汎用性の高いVマウントバッテリーで使えれば便利でありがたいですね。