インド、PSLVロケットの打ち上げに成功 シンガポール初のSAR小型衛星を搭載
インド宇宙研究機関(ISRO)は、日本時間2022年6月30日、「PSLV」ロケットの打ち上げを実施しました。同ロケットには、3機のシンガポールの人工衛星が搭載されました。ISROによると、打ち上げは成功し、衛星は予定した軌道に投入されたということです。
【▲ サティシュ・ダワン宇宙センターから打ち上げられるPSLVロケット(Credit: ISRO)】
3機の衛星を搭載したPSLVロケットは、日本時間6月30日21時32分、インド南部のシュリーハリコータにあるサティシュ・ダワン宇宙センターから打ち上げられました。今回のミッションは、ISROの商業部門であるニュースペースインディア(Newspace India Limited:NSIL)社による2回目の国際商業衛星ミッションとなります。
【▲ 運送中のPSLVロケット上段(Credit: ISRO)】
搭載された衛星は、「DS-EO」「NeuAR」「SCOOB-I」の3機です。DS-EOは、フルカラー画像を撮影する地球観測衛星として用いられます。ISROによると、同衛星は異なる地形の特徴を認識し、土地の分類のために高品質の地図を作成するということです。NeuARは、シンガポール初のSAR(合成開口レーダー)を搭載した小型商業衛星です。最後のSCOOB-Iは、シンガポールにある南洋理工大学(NTU)電気電子工学部の衛星研究センターによる学生実習プログラム初の衛星で、靴箱ほどの大きさがあります。太陽スペクトルセンサーや地球画像カメラ、姿勢決定システム、太陽電池パネルなどを搭載しているということです。
【▲ 組み立て中のPSLVロケット(Credit: ISRO)】
また、PSLVロケットの4段目には、軌道プラットフォーム実験モジュール(POEM)が初めて搭載されました。POEMは、衛星分離後に使用を終えたロケット上段を、科学実験装置のプラットフォームとして利用するモジュールです。POEMには科学実験機器や太陽光パネル、姿勢制御システムなどが搭載されていて、軌道上で試験を行います。
なお、このミッションで使用されたPSLVロケットは、Core-Alone形式と呼ばれています。固体燃料ブースターを装着していないPSLVロケットの形態です。今回の打ち上げ成功により、打ち上げ回数はPSLVとして55回目、Core-Alone形式として15回目となりました。
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Image credit: ISROISRO - PSLV-C53/DS-EO Mission BrochureSpaceflight Now - Indian rocket launches three satellites for Singaporesorae - インド、「PSLV」ロケットでシンガポールの人工衛星3機の打ち上げに成功
文/出口隼詩