「日本の成長を牽引する副首都大阪を目指したい」- 松井知事が万博誘致に向け決意語る - BLOGOS編集部
※この記事は2017年04月14日にBLOGOSで公開されたものです
4月14日、日本外国特派員協会で松井一郎大阪府知事が2025年の万博誘致に向け、会見を行った。冒頭のスピーチで松井氏は、「日本の成長を牽引する副首都大阪を目指したい」とその決意を語った。会見の様子を書き起こしでお伝えする。(質疑応答はこちら→「都民ファーストとの一番の違いは豊洲への早期移転推進」―松井大阪府知事が外国特派員協会で会見)
外国人特派員の皆さん、講演をさせていただく貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
本日私が皆さんにお伝えしたいことは3つあります。
1つ目は、大阪の魅力について。大阪はチャレンジ精神旺盛で、いま面白いことや楽しいことが、たくさん起こっているということをお伝えします。
2つ目は2025年、日本万博博覧会について。2025年の万博にかける私の思いや、日本の目指す万博の姿などをお話をいたします。
3つ目は大阪の未来についてです。
まずは、大阪の魅力からお話をいたします。大阪は関西と呼ばれるエリアにありまして、西日本の中心地であります。歴史的にもアジアの玄関口、外国の先進的な文化や制度の入り口としての役割を果たして参りました。
大阪人は昔から新しいことにチャレンジをしてきました。大阪の企業はたくさんの"世界初"を生み出しています。例えば、カップヌードル、インスタントラーメン、回転寿司などは大阪が発祥の地です。
"ものづくり"においても大阪は伝統があります。世界初の電卓は1964年に大阪で誕生いたしました。刃先を折ることが出来るカッターナイフも大阪が発祥の地であります。自動改札機は、高度経済成長期において、駅の混雑を解消するために発明をされました。創業100年を迎える大手の家電メーカー・パナソニックも大阪の企業です。
また、大阪の中小企業は世界に誇る技術力を有しています。新幹線にも使用されている緩まないネジ、JAXAにも納入する超精密バルブなどは大阪発です。
大阪では伝統にも新しい風を吹き込む取り組みを行ってきました。大阪の象徴でもある大阪城もご覧のように3Dマッピングで彩りました。
これだけの巨大な建造物に3Dマッピングを行うことで話題になりました。海外からの観光客の方々も喜んで写真を取られておりました。
こちらはモトクロスの世界大会を大阪城で行ったときの写真です。「大阪城でオートバイを走らせるなど荒唐無稽」と国から言われましたが、実現をさせました。世界中にこの大阪城が発信され、皆さんに知っていただく、よい機会になったと思います。日本でこのオートバイの大会をやったのは大阪だけです。
こちらは大阪のメインストリート御堂筋です。大阪の大動脈でもあり、最も交通量の多い道路の一つでもあります。また、イチョウ並木でも有名です。その御堂筋をサーキットに見立てまして、F1のフェラーリを走らせました。たくさんの方に喜んでいただきました。
文化の面でも新しい取り組みを行ってきました。大阪カンバス推進事業は、大阪の街をカンバスにみたてまして、いろんなアーティストに活躍してもらう試みです。
この大きなこけしは高さ13メートルに及びます。周りに高層ビルにも負けない存在感で話題になりました。大阪カンバスは毎年、大阪の各所で行われております。是非皆さんにも取材に来ていただきたいと思います。
大阪は食い倒れの街としても有名です。和食はユネスコの無形文化財にも登録され、世界から注目される食文化です。和食の味の決め手となるのは出汁でありまして、大阪が発祥です。日本が世界に誇るユネスコ無形文化遺産、人形浄瑠璃の文楽も大阪の魅力の一つです。
こうした魅力が海外の皆さんにも浸透して来ました。それを裏付けるのが、このグラフでありまして、私が知事に就任した2011年は158万人のインバウンドのお客様でしたが、2016年には941万人。6倍にまでのびてまいりました。今年1月には、ニューヨークタイムズ紙で、「今年行くべき世界の都市2017」にも選出をされました。
これまで大阪の魅力について紹介をしてきましたが、皆さんによりわかりやすく魅力をお伝えするために動画を作成いたしました。ご覧ください。
(動画が流れる)
このビデオの最後に映っていたのが、1970年の大阪万博のシンボル太陽の塔です。私も幼い頃に大阪万博に実際に行きましたが、あの活気、熱気というのは忘れられません。
日本が成長していくためには、東京一極では脆弱
それでは2025年日本万博博覧会について詳しくお話いたします。今月の11日に万博開催について閣議了解を得られ、正式に国のプロジェクトとなりました。
私が万博を必要と考える理由は2つです。
1つ目は、万博には圧倒的な求心力、発信力があるということです。2つ目は世界が抱える共通の課題に対して、解決策を日本なら提示できると考えているからです。
1970年の日本万博の焼き直しではなくて、新しい万博を提示したいと考えています。日本の成長を牽引するために、必ず万博開催を実現させるという強い思いをもって取り組んでいきます。
テーマは「命輝く、未来社会のデザイン」です。一人ひとりの"命が輝く"生き方とそれを可能にする社会、経済の未来像を参加者全員で共に描く場としたいと思います。会場はベイエリアにある夢島です。万博を契機に日本経済成長の起爆剤にしたいと考えています。来場者数は3000万人程度を見込んでいます。
万博のアイデアは大きく三つあります。一つ目は"待ち時間ゼロ"の万博です。
AI搭載のロボットが清掃、飲食販売ガイド、来場者の荷物運搬など様々なサービスを担います。 例えば、ロボットが、来場者に空いているパビリオンを紹介したり、ロボットによるパレードなどを提供します。また、ドローンが荷物を運んでくれ、お土産などの荷物からの開放もされます。
さらにパビリオンごとに事前に観覧予約を受け付け、時間が近づくと来場者に知らせるシステムにより、"待たない博覧会"を実現したいと思います。
次に世界各地から参加できる万博です。参加者同士が未来のライフスタイル、社会、経済のシステムについて対話をすることが重要です。異なる価値観に触れて、新たな気付きを得られる場にしたいと思います。参加者の発信を促し、出展者からの一方通行にならないようにいたします。
また、会場に来ることのできない人に、VRの技術などを使って、実際に会場にいるような体験を提供いたします。
最後に「健康になる万博」です。来場者の行動パターンや食習慣をデータ化をし、個々にあったライフスタイルを提案いたします。また、最先端のライフサイエンス技術も体験してもらいます。ワクワクと万博を楽しんでいただきながら、来場前よりも元気になって帰っていただける万博を目指します。
iPS細胞の研究でノーベル賞を受賞された山中教授も万博を応援していただいており、心強く思います。大阪、関西には山中先生などの研究者や研究施設などのライフサイエンスに関する強みがあります。その強みを生かして、世界に貢献したいと思います。
途上国では、公衆衛生などの課題を抱えています。また、今後アジアでは高齢化が加速すると予想されます。世界で最も早く、超高齢化社会に突入した日本、関西から新たな技術やサービスを提供し、課題解決に貢献できると考えています。
健康関連産業は医療だけではなく、スポーツ、食、エンタテインメント、笑いなど広いすそ野があります。こうした健康関連産業の振興により、2020年東京オリンピック・パラリンピック後の日本の成長を牽引したいともいます。
これから世界を舞台にした本格的な誘致活動が始まります。ここからが正念場です。世界各国から多くの支持が得られるように地元・大阪府といたしましても、政府や経済界、関西自治体と一体となって、全力で誘致活動に取り組みます。さらに国内気運も盛り上げていきたいと思います。
既に立候補しているパリは強力なライバルではありますが、2025年国際博覧会を必ず、この日本で実現するという覚悟を持って全力を尽くしてまいります。
最後に大阪の未来についてお話いたします。
日本が成長していくためには、東京一極では脆弱であります。大阪が東京とは異なる個性を発揮して、東西の二極の一極として日本の発展を引っ張っていきたいと考えています。
そして、将来的には世界に存在感を示す都市・副首都大阪を作りたいと考えています。これから大阪は万博に向けて、ラグビーW杯やIRなど世界的プロジェクトが連続をします。今年、来年が勝負の年だと考えています。
大阪の中心地・梅田では、新しい街づくりが進んでいます。緑が豊かでイノベーションが次々起こる空間を目指しています。大阪の顔として、世界の方々に来ていただける街にしたいと思います。
さらにリニア中央新幹線の大阪開通が、最大で8年間の前倒しが決まりました。リニアの開通により東京と大阪が一時間で結ばれ、世界最大級の巨大都市圏が出来上がります。こうした取り組みを通じて、日本の成長を牽引する副首都大阪を目指したいと思っています。
これは私の部下であります、広報担当、副知事の「もずやん」です。大阪の鳥であるモズをモチーフとしたキャラクターです。熊本県のくまもんとは友達でありますが、知名度がまったく追いついていません。大阪をPRするために頑張っていますんで、是非皆さん取り上げてやってもらいたいと思います。
ご静聴ありがとうございました。