「公明党は携帯電話料金にも着目」【各党に聞く福祉・若者政策】 - BLOGOS編集部

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※この記事は2016年03月24日にBLOGOSで公開されたものです

今年7月に実施される参院選。憲法改正の争点化や18歳選挙権などに注目が集まっているが、各党は福祉・若者世代向けの政策についてどのように考えているのだろうか。

BLOGOS編集部では参院選に向け、主だった党の担当者にインタビューを実施。今回は、公明党所属の中野洋昌衆議院議員に話を聞いた。【大谷広太(編集部)】

■奨学金制度、若者雇用の改善に注力

-公明党は、自民党と連立を組む与党です。第二次安倍政権になってから、どのような若者政策が実現したのでしょうか。

中野:奨学金を借りる大学生が増える一方で、卒業後の返済が負担になっている現状があります。私たちは、無利子の奨学金が基本でなければいけないのではないか、有利子であっても負担が少なく返しやすいようなものが良いのではないか、というスタンスで、その充実を訴えてきました。その結果、安倍政権下で、所得に連動して返済額が変わる制度の導入が決まりました。

また、給料が上がるという見通しがみえづらく、とくに非正規の方は結婚も難しいという状況があります。これまで、高齢者、障がい者、女性といった側面で雇用の促進、支援のための法律はありましたが、若い方々の就職・雇用に着目した法律は1本もなかったので、昨年の国会で「若者雇用促進法」を成立させました。

この法律については、報道の影響もあり、”ブラック企業をハローワークから締め出すためのもの”、といったイメージが強いのですが、本来の目的は若者を応援する企業を認定し支援したり、非正規の方がキャリアを積めるよう訓練を促進する、というものです。

■早い段階から「携帯電話」に着目して政策提言を行ってきた

もうひとつ、公明党が特徴的だと思うのは、かなり早い段階から「携帯電話」に着目して政策提言を行ってきたことです。まだ携帯電話が自動車電話だった頃から、レンタルは月額が高すぎるので販売に切り替えていくよう働きかけたり、料金引き下げ要請を行なったりしてきました。

2003年には、ナンバーポータビリティの導入を求める署名運動を1,000万人規模で実施し、実現させました。昨年も料金引き下げを安倍総理に要請し、総務大臣からの要請で月額5,000円以下のライトユーザ向けプランを各社に出してもらいました。

ただ、今回のプランにおけるライトユーザの基準(一ヶ月の通信料が1GB以下)からすると、若い人の大半はライトユーザではないでしょうから、「"料金が安くなって良かったですね"、とはならないぞ」と、国会で質問させていただきました。今、MVNOのようなものも出てきていますし、競争力が働いて全体の料金が下がるのがあるべき姿だと思いますので、多様な業者が参入しやすいような仕組みも整えていきたいですね。

以上のようなアイデアを、私が局長を務める青年委員会学生局で吸い上げて、これからも訴えていきたいと思っています。

ー参院選へ向け、公明党が雇用、少子化、子育て支援、女性、格差などの分野で、とくに解決しなければならないと考えている政策課題はなんでしょうか。

昨年、若い世代を対象に大規模なアンケートを実施し、出てきた要望を「Voice Action」として以下の5項目に集約しました。

これをもとに、参院選に向けさらにアンケートを実施し、マニフェストにも組み込んでいく考えで、ここに挙げた以外のことについても、サイトでアイデアを募集しています。

1.「楽しく、夢をもって働きたい!」でも、今の仕事じゃ…。そこで、非正規雇用の待遇改善や最低賃金1000円(時給)を推進します!

2.「若者に欠かせないスマホやタブレット!」でも、毎月の通信費が、結構高い…。そこで、パケット代を抑えるために無料で使える公衆無線LANの充実を推進します!

3.「子供がほしい!」「できれば、もう一人!」でも、なかなか…。そこで、さらに不妊治療の公費助成や幼児教育の無償化を推進します!

4.「結婚したい!」だけど、お金も出会いもない…。そこで、婚活や新婚世帯の支援を推進します!

5.「仕事も、休日も充実させたい!」けれど、日曜日の夜はどうしても憂鬱になる…。そこで、たとえば月曜午前半休の促進など、働き方・休み方改革を推進します!

現在、家族を持つための経済的な負担が非常に大きいことがハードルになってしまっていると思います。これら5つの政策を組み合わせることで、給料が上がっていくという見通しが立てられて、結婚も出来て、子どもも産み育てることが出来て…、という環境を整えていきたいと思っているんです。

例えば、(4)の「婚活や新婚世帯の支援」ですが、具体的には自治体が行っている「婚活」事業を広く展開するとともに、住居の問題も解決できればと考えています。若い世代にとっては、結婚式の費用だけでなく、新居の負担も大きいでしょう。URなどで若い夫婦向け、子育て家族向けの住まいをもっと増やした方がいいと思います。

また、「ローンを組んでマイホームを…」というのも、多くの方にとってはなかなか簡単なことではありません。人口減の時代ですから、住まいのストック自体は今後余ってくるはずなんです。これらを流通させてあげることで、中古であれば買い易くなるのではないでしょうか。

■公明党の具体策が「一億総活躍」にも繋がっていく

日本は今、人口が減るとか、なんとなく右肩上がりではない、という感じが若い人たちの気持ちの中にも溢れていると思います。政治が自分たちのために何かを実現してくれた、という記憶も無いので、不信感だけでなく、距離感もあると思います。ですから、ここで何か具体的に実現できたという事例を作っていきたいですね。

若い世代って、政治との接点がどうしても少ないんですよね。社会人になって、結婚して子どもが産まれて、出産一時金をもらって…まさにそこでやっと「行政サービスを受けた」という実感が出てきます。本当は行政側がもっと若い人たちのことも支えてあげられる部分もあるはずなんです。優秀な人であっても、親の所得によって進学できる・できないが決まってくるというデータも出てきています。そういう風に格差が固定されてはいけないわけですから、今まで以上に若い世代に対する手の差し伸べ方を充実させる必要があります。

政権与党として公明党がこうした具体策を進めていくことで、政府が推進している「一億総活躍」にも繋がっていくことになると思います。

(なかの・ひろまさ)1978年、京都府生まれ。国土交通省・課長補佐を経て、平成24年12月、衆院議員に初当選。東京大学教養学部卒。米コロンビア大学国際公共政策大学院修士号取得。家族は妻、長女(3歳)、次女(1歳)。

・中野ひろまさ
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