「私も生きる限りにおいては、国民の声を大事にして政治をやれと叫ぶ″」~村山元首相が国会前デモに期待 - BLOGOS編集部
※この記事は2015年07月29日にBLOGOSで公開されたものです
29日、村山富市・元内閣総理大臣が日本外国特派員協会(東京)で会見を開いた。村山元総理は、戦後70年に当たって安倍総理が8月に発表すると見られる談話について、「安倍さんはできれば歴史認識の問題には触れたくないのではないか」とし、改めて「村山談話」の継承を求めた。また、参議院での審議が始まった安全保障関連法案についても、「最高裁判決を待っていてはあまりに時間がかかる、この段階で止めなければならない」と述べた。「村山談話」の意義を強調
村山元総理は、就任後、中国、韓国を歴訪する中で、歴史認識について厳しい質問を受けたことや、経済協力を行っていたASEAN諸国においても、「腹の底では、"経済大国になった国は軍事大国になる"という歴史、過ちを繰り返すのではないかという懸念を持っていると感じた」経験から、「過去の歴史に対する認識をきちっと示して、悪かったことは悪かったは お詫びすべきことはお詫びをするする、そしてこういう過ちを二度と繰り返してはならんという思いを明確にして、これから進む方針というのを出していく、皆さん方に理解していただくとこうことがなければアジアで信頼されない、孤立する国になってしまう」と、談話の発表を決意したという。その結果、アジア諸国だけでなく、欧米からも「歴史問題に決着を付けた、新しい時代を作っていこう」、旧西ドイツのブラント首相による"ワルシャワの跪き"に匹敵するものだと評価されたと、国際社会における「村山談話」の意義を強調した。
一方で、国内では「アジア解放の戦争をしたんだ、何が悪いんだ、お前は売国奴だ」といった批判を浴びたこと、自民党議員の大多数が談話に反対の立場を取っていたことから「宣伝もあまりしていない。だから国民も内容を理解できないまま、忘れてしまった。私自身も忘れていました」と苦笑い。その上で、20年が経過した今、安倍総理が新談話の発表に意欲を見せていることが、結果として戦争を知らない世代が"村山談話とは何だったのか"を学ぶきっかけにもなっていると指摘、「安倍さんは反面教師でいいことをしている思う」と皮肉を込めた。
国会前デモに参加した理由
海外の記者からの「総理経験者が国会前のデモに参加したことに驚いた。なぜそこまでするのか」との質問に、村山元総理は「抵抗がなかったらね、国会は多数でもってスムーズに決まっていきますよね。それはやがて憲法改正にも繋がっていきます。何かあったら、自衛隊が戦争に参加することになりかねないと、危機感を覚えて立ち上がった」と説明。「日本の国は、"長いものに巻かれろ"、"強いものには従え"、という風習があるもんですからね、なかなか国民の声が素直に国政に反映されない。選挙もそういう形で投票するもんですからね、何遍選挙をやっても、自民党が政権を維持して、日本の政治というものは変わらない。」
「主人公である国民の声で政治を動かしていく。そういう状況を作っていく必要があると、若い人たちが立ち上がっている。これからこれが非常に大きな力になって行くと思いますね。"災い転じて福となす"ということで、これをもって本当に日本が民主的な国になっていく、そのいい機会だと思っていますから、この際、私ももうあと何年生きるかしらないけれども、生きる限りにおいては、国民の声を大事にして政治をやれ、と声を大にして叫ぶ必要があるんじゃないかと思い、街頭で演説した」と、国会前で連日行われている抗議行動にも期待感を表明した。