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 秩父の名物グルメの一つ、わらじかつ丼。カラッと揚げた豚肉を2枚ご飯の上に乗せたメニューで、観光シーズンには店によっては行列ができるほどの人気メニューとなっています。聞けば、秩父・小鹿野エリアに大小30弱あるという各飲食店の大半の店で出されているメニューなのだそうです。

 わらじかつ丼を考案した元祖となるお店は別にある一方、もともとが精肉店で、地元の焼肉店『東大門』では、独創的なわらじかつ丼を複数展開していることで人気です。

『東大門』の名物メニュー「メガわらじかつ丼」1600円(税込)

 特に人気なのが「メガわらじかつ丼」というメニューで、その総量はなんと1kgオーバーだとか。ハンパではない物量感の『東大門』の「メガわらじかつ丼」、筆者もいただいてみることにしました。

片方のわらじかつでも箸では持ち上げられないほどの重量感!

見た目のインパクト十分の「メガわらじかつ丼」

 オーダーから数分後、ごく当たり前のように店員さんが筆者の前にサーブしてくれた「メガわらじかつ丼」。その迫力にびっくり。わらじを模したかつが、筆者の足のサイズ(27.5cm)よりも大きいように見えます。

片方のかつを箸で持ち上げようとしても難しいほどの重量感です

 さっそくいただくべく、片方のかつを箸で持ち上げようとしましたが、なかなか難しいです。なんとかご飯の上でかじりつくと、これが実に旨い! カラッと揚げられた衣の中に、臭みがいっさいないジューシーな豚肉があります。弾力、味わいともに抜群で、甘辛いタレとも相まってご飯がとにかく進みます。

甘辛いタレはご飯との相性も抜群!(食楽web)

 その物量感におじけずく筆者でしたが、見た目よりもずっとアッサリしていることと、何よりかつ、タレ、ご飯いずれも美味しいため、アッという間に完食することができました。

秩父・小鹿野に根付くわらじかつ丼の知られざる秘密とは!?

『東大門』のマスター、藤元章好さん

 秩父・小鹿野エリアのわらじかつ丼を全て食べ歩いているわけではありませんが、精肉店の知見を持つ『東大門』のわらじかつ丼は、他店と比べても抜きんでた旨さを実現しているだろうと確信を持ちました。さらに、これだけの物量にして税別1600円というのもありがたいところです。地元はもちろん、多くの観光客が『東大門』の味を求めて訪れることにも納得する筆者でした。

 食べ終えたところで『東大門』のマスター、藤元章好さんに話を聞いてみました。

「もともと地元の秩父・小鹿野で精肉店を営んでおり、その流れで焼肉レストランとして48年前にオープンさせたのが当店『東大門』です。地元では、わらじかつ丼が名物グルメになっていますが、この由来は、小鹿野が宿場町で、草履を直す修理屋さんなどがあったことから、わらじにかつを見立てた丼メニューを地元の安田屋さんというお店が最初に考案し、地元に根付いていきました。

 当店は焼肉店ですが、精肉店でもあるため、鮮度の良い肉を自由にカットできるんですよ。そのため、この『メガわらじかつ丼』も大きめのサイズにカットし、お出ししているのですが、ここまで大きいわらじかつ丼は、地元では当店だけのものです。また『メガわらじかつ丼』以外にもバラエティに富んだわらじかつ丼をご提供しているのも当店ならではと思います」(『東大門』藤元章好さん)

「メガわらじかつ丼」のほか、わらじかつ丼をさらに飛躍させたメニューも豊富

 また、藤元さんによれば、「秩父・小鹿野のわらじかつ丼」と一口に言っても、その味付けは様々だそうです。

「原則的には新潟のソースかつ丼とは違い、ソースはいっさい使わないのが『秩父・小鹿野のわらじかつ丼』の特徴です。醤油、砂糖、みりんといった甘辛い味付けをするお店が多く、当店もそうしていますが、それぞれ甘さを強めたり、塩味を強めたりと実に様々です。そのため、食べ比べしてみるのも楽しいと思います。

 また、一般的なかつは生パン粉で揚げることが多いですが、当店のわらじかつ丼はあえてドライパン粉で揚げています。生パン粉だとどうしても時間が経つとベチャっとしてしまうのですが、そこをドライパン粉で揚げることでカリッとさせ、さらに揚げ上がったわらじかつをタレにくぐらせてご飯の上に乗せるという感じです。ですので、意外とあっさりいただけると思います」(『東大門』藤元章好さん)

もう一つの秩父名物・豚肉の味噌漬けも美味しい「東大門」

テイクアウトの「またぎ丼の素!!」。地元名物の「豚肉の味噌漬け」です

 また、「もともとが精肉店」ということで気になるのが、「豚肉の味噌漬け」。秩父ではわらじかつ丼と並ぶ名物グルメの一つですが、『東大門』では「またぎ丼ぶり」としてメニューに展開しており、テイクアウトの用意もあります。

テイクアウトの「またぎ丼の素!!」を持ち帰り焼いてご飯といただきました

「地元は野山が多く、かつては狩猟も盛んでした。冷蔵庫がない時代などに狩猟した肉を味噌に漬け込み保存したことで、地元に根付いた名物になっています。一般的には『味噌豚丼』といった名前で提供されることが多いですが、前述のようないわれから当店では『またぎ丼ぶり』として出させていただいています。味噌に漬け込むことでお肉も柔らかくなり、風味もより豊かになることから、わらじかつ丼と並ぶ人気メニューです。

 これから気候が良くなってきますが、都心部から観光やバイクのツーリングで秩父界隈に訪れる方も多くいらっしゃると思います。中にはすごい長蛇の列ができるお店もありますが、当店は新鮮な肉をできるだけ素早くご提供することをモットーにしています。当店の『早い』『安い』『美味しい』を是非味わっていただければありがたいですね」(『東大門』藤元章好さん)

『東大門』のわらじかつ丼、またぎ丼ぶりとも、甘塩っぱさが肉の旨みを殺しておらず、双方の良さを引き上げているような旨さでした。秩父エリアに行かれる方は、一度『東大門』に食べに行ってみてください。精肉店をルーツにするお店ならではの旨い肉に出会えるはずですよ!

(撮影・文◎松田義人)

●SHOP INFO

店名:東大門

住:埼玉県秩父郡小鹿野町小鹿野2806
TEL:0494-75-0424
営:11:00~21:00(※水曜・木曜を除く)、水曜11:00~15:00
休:木曜