乃木坂46 『Actually...』(通常盤)

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29thシングル『Actually...』で初選抜入り、さらに冠ラジオ番組スタートするなど大躍進中の4期生・柴田柚菜。そんな彼女はどのようにして成長してきたのか。2つの要素から紐解き、その足取りを追った。

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29thシングルで初選抜入りを果たし、4月5日からはbayFM『乃木坂46 柴田柚菜のDreaming time』が始まるなど、柴田柚菜の勢いが止まらない。いまの柴田を語るうえで欠かせないのが『乃木坂スター誕生!』(日本テレビ系)と2期生の北野日奈子の存在だろう。

まず『乃木坂スター誕生!』から見ていこう。『青い珊瑚礁』や『揺れる想い』のソロ歌唱をはじめ、番組内で歌唱曲数がもっとも多いのが柴田だった(23曲)。ずっと「歌うこと」を愛してきた柴田にとって、『乃木坂スター誕生!』は自分をアピールできる絶好の機会となったのだ。

柴田は歌詞を調べて、自主練を欠かさず、1曲1曲に向き合った。母親の影響で幼い頃から聴いていたという安室奈美恵の『Chase the Chance』では、激しく踊りながらもブレることのない歌声を響かせて新境地を見せる。

『乃木坂スター誕生!』の成果もあって、柴田は歌番組で先輩や同期と2〜3人でカバー曲を歌う機会が増えていく。

21年10月4日に放送された『CDTVライブ! ライブ!』(TBS)では、久保史緒里と2人でプリンセスプリンセスの『M』を歌った。しかし、柴田は自分の歌に納得できず、家に帰ると号泣した。リハーサルこそ緊張を隠せなかったが、本番では見事な歌声を披露した久保のプロ意識に感心したという。

22年3月28日、リベンジの機会が訪れた。『CDTV ライブ!ライブ!4時間SP』で久保と賀喜遥香と柴田で松たか子の『明日、春が来たら』を披露することになったのだ。満開の桜の下、春風のように柴田の歌声が吹き抜けた。

加入してから自分の武器を探していた柴田は、20年12月の4期生ライブあたりから「自分の武器は歌なのかもしれない」と思い始めて努力を重ねてきたが、いよいよ確立したように見える。

しかし、他の同期も歌唱力が上がっているため、柴田はまだ自信を持てずにいるという。だから努力を継続する。飽くなき向上心こそ、柴田にとってもう1つの武器なのかもしれない。

柴田と北野が最初に会話したのは、『乃木坂工事中』(テレビ東京)の4期生紹介企画(19年1月21日放送)だった。同じ千葉県出身の北野と高山一実で、加入したばかりの柴田を紹介したのだ。ただ、北野は4期生のメンバーが決まった時から「千葉の子がいる!」と、柴田に注目していたという。

7thバースデーライブ (2月21日〜24日・京セラドーム大阪)で、柴田から「写真を撮りませんか?」と北野に声をかけて距離を縮めた。4期生による舞台『3人のプリンシパル』の期間(4月9日〜21日)、同じ役に何度も立候補して選ばれない日々が続いていた姿を見て、過去の自分を重ね合わせた北野は柴田に連絡する。
 
普段は誰かに相談せず自分の中に溜めこんでしまう柴田だが、北野と話したことで勇気をもらえたという。一方の北野も「何事も諦めずにやり遂げようと頑張るし、乃木坂46に対して一生懸命考えてくれる子なんです。私も乃木坂46が好きなので、『こんな後輩がいるなら自分も結果を出さなきゃいけない』と思うようになりました」(『月刊エンタメ』19年8月号)と、柴田から刺激を受けるのだった。
 
北野はまっすぐにブツかる柴田のことを「もうひとりの妹」のように思い、「何かあったら助けてあげたい」という気持ちで接してきた。自身が1期生の衛藤美彩に助けてもらったように。

柴田はそんな北野の近くで活動できる選抜メンバー入りを目指してきた。しかし、その機会は訪れず、推してくれているファン以外には、自分を出すことができずにいた。高校を卒業したことで、柴田の意識が変わっていく。

「初期は考え方が子供で、まわりの反応を見ながら行動することができなかった。今年(21年)の春に高校を卒業して、みんなが考えていたことを理解できるようになったんです」(『EX大衆』22年1月号)

そして、28thシングル(21年9月)で選抜入りを逃したあたりから「悔しさ」も表に出すようになる。

「思ってることがあっても心の中にしまっていたので、乃木坂ファンの方も私の中身を知らない人が多いと思うんです。『表に出さなきゃ届かないんだ』と反省して、最近は意識して伝えるようになりました」(『月刊エンタメ』21年11月号)

ファンの後押しもあり、柴田は今年3月23日にリリースされた29thシングルで選抜に入ることができた。だが、29thシングルでの卒業を発表した北野は選抜にもアンダーにも入らないことを選んだ。ようやく北野と一緒に活動できると思われたが、すれ違ってしまった。

悲しみにくれる柴田に、北野がかけた言葉は「このタイミングで入ってくれてよかった。もう心配ないね」だった。北野は、柴田の成長を見届けて後悔なく卒業できることに喜びを感じたのだろう。

この1年で躍進を遂げた柴田だが、ここからが勝負どころ。まずは選抜に定着することが目標になってくるだろう。

「応援してくださるファンの方たちの顔や言葉を思い浮かべると、『今回だけで終わっちゃいけない』という気持ちになるんです。次の選抜発表でも名前が呼ばれるように頑張ります」(『EX大衆』22年4月号)

そして、まっすぐに生きてきた先に、夢が叶う未来が待っているはずだ。

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