2022年、家電・デジタルで何が流行る? プロが断言するネクストヒット8選
2020年に生まれた新しい生活様式や価値観が定着し、21年は制限のある暮らしのなかで心地良く過ごす方法を追求する年だった。続く22年はどんな一年になるのか。ここでは家電・デジタルのトレンドを、各ジャンルのプロが断言!
※こちらは「GetNavi」 2022年2月号に掲載された記事を再編集したものです
ネクストヒットその1【メタバース】 新しいインターネットがここから始まる
ジャーナリスト
西田宗千佳さん
得意ジャンルはパソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。
まだ始まったばかりで長い時間をかけて進化する
フェイスブックの社名変更で一気に注目されているワードが「メタバース」だ。これは、ネットワークの向こうにある仮想空間を生活の場として使えるよう、拡張していくもの。ウェブに続く「新しいインターネット」を生み出す試みだ。
「そのため、開発と基盤の整備には長い時間がかかり、1つの製品で出来上がるものではありません。いきなり大きく盛り上がるわけではなく、5年、10年かけて進化していくものなので、過大評価しないように」(西田さん)
では、いますぐできることは何か。
「ゲームや3Dでのチャット、オンライン会議など、メタバースを構築するサービスを、VR用の機器で使うことから始められます。そこからメタバースの始まりを体験できるのが、2022年と言えるでしょう」(西田さん)
個人レベルで言えば、しばらくはメタバースそのものではなく、メタバースが生まれる過程を楽しむ気持ちでいるのが良さそうだ。
【ヒットアナリティックス】 いまは「先駆け」だが進化の過程を楽しめる
まだまだ、ゲームやコミュニケーションなど「メタバースの先駆け」が楽しめる段階ではあるが、VR機器の進化は2022年も続きそうだ。サービス開発も加速していくので、変化の過程を楽しむつもりで、長い目で見ていきたい。
【メタバース関連アイテム01】
日々進化を続ける世界トップシェアVRデバイス
VRヘッドセット
2020年10月発売
Meta
Quest 2
実売価格3万7180円〜4万9280円
世界トップシェアのVR機器。Facebook改めMetaが本気で資金と技術者を投入し、機能も日々アップデートされている。Quest 2版「バイオハザード4」のような大規模なゲームに加えて、オンライン会議などビジネスツールとしても使用できる。
【メタバース関連アイテム02】
たった189gで使い勝手が良く動画配信サービスなどの視聴にも◎
VRグラス
2021年11月発売
HTC NIPPON株式会社
VIVE Flow
実売価格5万9990円
VR用機器としてはひときわ軽く、メガネのように着けられる。映像の解像感も高く、快適さが特徴。機能は映像視聴やリラクゼーションに特化している。スマホをコントローラーとして使用して楽しめるのも特徴のひとつだ。
【コレも再注目!】
PlayStationのVRゲームを存分に楽しめる!
VRヘッドセット
2016年10月発売
ソニー・インタラクティブエンタテインメント
PlayStation VR
実売価格2万7470円
発売当初、即完売で「買いたくても買えない」と話題に。2022年以降にはPS5にケーブル1本で接続できる次世代モデルの発売も発表され、より手軽に使えるようになることでさらなる普及が見込まれる。
(C) Sony Interactive Entertainment Inc. All rights reserved.
Design and specifications are subject to change without notice.
ネクストヒットその2【Miles】 通勤など日々の移動でマイルが貯まる!
ジャーナリスト
西田宗千佳さん
得意ジャンルはパソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。
ゲーム感覚で楽しみながら日々の行動をマイルに変換
日ごろから、色々な形でマイルを貯める「マイ活」に勤しんでいる人も少なくないはず。その新しい形が「Miles」のような、自身の“行動”に伴ってマイルが貯まる仕組みだ。
「通勤や通学など、日々の移動距離に応じてマイルが貯まり、ちょっとした位置ゲーム感覚でできるのが魅力。歩いたり自転車に乗ったりと、身体を動かす移動の方が貯まりやすいのが特徴です」(西田さん)
貯めたマイルはクーポンやギフトカードにして使うほか、寄付や毎週行われる抽選にも使える。
【ヒットアナリティックス】 思わず外へ出たくなり健康維持にもつながる
そろそろ屋外での活動が活発化してきた。「歩く」「動く」なら、それで少しでもお得になれるとうれしいもの。移動した情報をマイルに換算していくことで、旅行やショッピング以外でもマイルが貯められ、移動をより楽しくさせるアプリだ。
【紹介したのはコチラ!】
身体を動かすとより多く貯まる米国シリコンバレー発マイレージアプリ
スマホ用アプリ
2021年10月サービス開始
Miles Japan
Miles
スマートフォンのデータに基づきAIが移動手段を自動判定。徒歩やランニングなど環境に優しい移動には、より多くのマイルが付与される。マイルは商品やサービスがお得に使える特典などに交換できる。
【CHECK!】 ANAマイルも日常生活でたまる!
MilesはJALのマイルが対象だが、もう一つの国内大手航空会社、ANAでマイルを貯めている人は、ANAが運営する「ANA Pocket」がオススメ。仕組みとしてはMilesと同じだが、よりANAのマイレージとの連動性が高いのが特徴。
ネクストヒットその3【マイスペック家電】 シンプル機能のハードを購入後に“自分仕様”へ
白物・美容家電ライター
田中真紀子さん
白物家電、美容家電の専門知識を生かし、雑誌やウェブで執筆するほか、テレビやラジオなど幅広いメディアで活躍。
「シンプルだけど高性能」がこだわり派のニーズにマッチ
多機能な調理家電は、便利そうでも使いこなせない機能が多い。
「そのため、近年は単機能モデルに回帰する動きがあります。一方で、ユーザーの目も肥えているため『あくまで基本性能は高く、でも必要な機能だけ欲しい』という声も多く聞かれるように」(田中さん)
そこにマッチするのが、新コンセプトの「マイスペック」シリーズだ。ライス&クッカーは強力な泡の熱対流を生み出す独自の「おどり炊き」に対応。オーブンレンジは同社ブランド「ビストロ」の名に恥じぬセンサー技術が出色だ。30代前後の夫婦世帯に人気が出そう!!
【ヒットアナリティックス】 “持ちすぎない暮らし”にフィットする価値を提案
「フルスペックよりマイスペック」をコンセプトに、購入時はよく使う機能だけに絞ってあり「あとはご自身でアレンジを」という姿勢が実にいまっぽい。“持ちすぎない暮らし”を好む層を中心にヒットしそうだ。デザインもシンプルで万人ウケ確実。
【マイスペック家電01】
ほったらかし調理鍋としてのポテンシャルも十分!!
炊飯器
2021年9月発売
パナソニック
IoT対応IHジャー炊飯器「ライス&クッカー」SR-UNX101
実売価格5万600円
食材をセットしアプリからレシピを送信するだけで食材の温度変化を検知。適切な時間や火力でスープや煮込み料理、ケーキなどのメニューを調理できる。
【マイスペック家電02】
アタッチメントを足したら料理の幅がぐんと広がる
オーブンレンジ
2021年9月発売
パナソニック
IoT対応オーブンレンジ「ビストロ」NE-UBS5A
実売価格7万2600円
レンジとオーブンの基本機能を搭載。「キッチンポケット」アプリで、興味があるキーワードを選択すると1人ひとりに合ったメニューを提案してくれる。
ネクストヒットその4【Steam Deck】 パワフルすぎる携帯型ゲーミングデバイス
ジャーナリスト
西田宗千佳さん
得意ジャンルはパソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。
バリエーション豊かなPCゲームの世界が手の中に
日本でゲームといえばまだ家庭用の専用ハードを思い浮かべるが、最近はPC向けのゲームに勢いがある。
「大手製だけでなく、小規模なチームが作るユニークなゲームが魅力。幅の広さと進化の早さではPCゲームが優位です」(西田さん)
PC用ゲームがそのまま動くポータブル機が数年前から登場しているなかで、“決定版になりそうなのがSteam Deck”だ。
「PCとしては低価格でありながら、ポータブル機としては圧倒的な高性能。日本でPCゲームがよりメジャーになるきっかけになるかもしれません」(西田さん)
【ヒットアナリティックス】 日本でPCゲームを根付かせる第一歩に
海外で続くPCゲーム市場の成長が、携帯ゲーム機の世界に。「携帯」というには大柄だが、日本でPCゲームを根付かせるには、価格・サイズ両面で注目の存在。まずはヘビーなゲーマーから浸透していくことに。
【紹介したのはコチラ!】
PCより手軽&安価でゲームがサクサク楽しめる
携帯ゲーム機
2022年発売予定
Valve
Steam Deck
国内価格未定 ●海外では399ドル〜
PC用オンラインゲームストア「Steam」と連動する携帯型ゲーム機。Steamで買ったPC用のゲームがそのまま楽しめる。従来の携帯ゲーム機より圧倒的に高性能だが、価格的にはPCほど高くないのが特徴だ。
【そのほかのヒット候補01】
携帯ゲーム機
2021年12月発売
ハイビーム
AYA NEO 2021
実売価格13万5700円(1TB)
PCそのものを小型化し、ゲーム機として使えるようにしたもの。Steam Deckよりも高価ではあるが、購入してすぐに楽しめる。Windows OSを搭載しているので、普通のPCとして使えるのもポイント。
【そのほかのヒット候補02】
携帯ゲーム機
2021年9月発売
テックワン
ONEXPLAYER 1S(Super Edition)
実売価格17万3800円
2021年7月に発売した「ONEXPLAYER」の新モデル。発熱を抑えつつ、両手に持ってゲームができるサイズを実現した。また、本体背面には最大65度のキックスタンドを備えており、テーブルの上でゲームや映画を快適に楽しむことができる。
ネクストヒットその5【mini LED】 高コントラスト映像を実現する“液晶復権”の切り札
本誌編集長
川内一史
AV機器担当歴約9年。有機ELテレビ購入を検討していたが、mini LED液晶テレビの登場で迷いが生じている。
液晶テレビの課題だったコントラストの低さを克服
「高画質テレビ=有機EL」が定着するなかで、“液晶のシャープ”がmini LEDを用いた8Kテレビを投入して話題を呼んでいる。
「無数のLEDバックライトを高密度に敷き詰めて緻密に制御することで、液晶の弱点であるコントラストの低さを克服。有機ELで製造が難しい70V型以上の大画面も実現できるのが利点です」(川内)
また、最新のiPad ProやMacBook Proにもmini LEDが採用。有機ELのデメリットである“焼き付き”のリスクが低く、映像クリエイターなどからも高い信頼を得ている。
【ヒットアナリティックス】 大画面テレビのニーズ拡大で注目
おうち時間が長くなったことで、日本でも大画面テレビのニーズが拡大中。モバイル機器ではAppleが2021年に発売したハイエンドモデルの最新世代に採用したことで話題を呼んだ。
【mini LED搭載アイテム01】
85V型の超大画面で高コントラストな映像を堪能
8K液晶テレビ
2021年12月発売
シャープ
AQUOS XLED 8T-C85DX1
実売価格176万円
mini LEDバックライトを用いた85V型8Kテレビ。従来の液晶テレビと比べて約72倍もの数のバックライトを緻密に制御することで、圧倒的に高コントラストな映像を実現する。量子ドットの活用で色の再現性も格段に向上。
【mini LED搭載アイテム02】
画質と処理性能の高さに映像クリエイターも満足
ノートPC
2021年10月発売
Apple
MacBook Pro
実売価格23万9800円〜
ミニLEDバックライト搭載ディスプレイで高輝度・高コントラストな映像を楽しめる最新世代。新開発チップ「M1 Pro/Max」で処理性能が向上し、インターフェースも充実しており、動画編集などの高負荷な作業も快適だ。
ネクストヒットその6【換気機能付きエアコン】 窓を開けず空気が入れ替えられウイルス対策にも活躍
ダイキンのうるさらX(2021年モデル)に続き、他のメーカーも2022年モデルに「換気機能」を搭載。ダイキンはさらにその先を提示してきた。
【ヒットアナリティックス】 コロナ対策以上の恩恵を「換気+排気」で付与!
給気換気しながら冷暖房できるエアコンは新型コロナ対策としての訴求力が抜群。ダイキンはうるさらXの2022年モデルでさらに「排気機能」と「新たな除湿制御」を追加、場面に応じた換気効率だけでなく除湿効率もより高めた。
【換気機能付きエアコン01】
給気と排気を切り替える換気と新たな除湿制御で快適性アップ
エアコン
2021年11月発売
ダイキン
うるさらX Rシリーズ
実売価格32万9460円(14畳用AN40ZRS-W)
従来の給気換気に加え排気換気機能を新搭載。冬に屋外の空気を取り込みながら暖房できるほか、夏に室内の熱気を排出しながらの冷房、部屋干しの湿気の排出もできる。室内機に抗ウイルス作用のある集じんフィルターを採用。
【換気機能付きエアコン02】
換気機能に加え新「ナノイーX」や給水レス加湿も備えた多機能機種
エアコン
2021年11月発売
パナソニック
Eolia LXシリーズ
実売価格42万3500円(18畳用CS-LX562D2)
室外機に「換気・除加湿」ユニットを新搭載。冷暖房しながらの換気が可能なほか、外気の水分で加湿する「給水レス加湿」も行える。冷暖房を行わず換気だけ行うモードも搭載。新「ナノイーX」で室内空気の清潔さを維持する。
ネクストヒットその7【オーブン×料理キット】 調理家電とミールキットのセット利用でごちそう完成
コロナ禍で“おうちごはん”にこだわる家庭が増加。そんななか、プロの味を自宅で手軽に再現できる「家電とミールキットのコラボ」は、ますますヒットしそうだ。
【ヒットアナリティックス】 製品に紐づく食材宅配で家電の魅力がより鮮明に
2021年6月スタートのパナソニックのサブスク「Foodable」が計画比3倍のヒットを記録。シャープのサブスク「ヘルシオデリ」もコロナ以降登録者数が大幅に増えた。顧客とメーカーが直でつながる家電の新しいあり方を提示している。
【オーブン×料理キット01】
パン屋の焼きたてパンに劣らぬ味が自宅で楽しめる
サブスクサービス
2021年6月開始
パナソニック/foodable
風味豊かなパンで目覚めるお手軽ベイクアップ
定期購入価格月額3980円
オーブントースター「ビストロ」のレンタルと敷島製パンの冷凍パンの提供サービス。厳選した国産小麦を使い職人が丁寧に焼いたパンを急速冷凍、オープントースターで仕上げることでパン屋の焼きたてパンと遜色ない味を家庭で楽しめる。
【オーブン×料理キット02】
料理店監修の“プロの味”を自動調理機能で手軽に再現!
食材宅配サービス
2017年10月開始
シャープ/ヘルシオデリ
デイリーコース「肉厚あじ香味焼き」
2人前 1780円
同社のヘルシオとホットクック専用の料理キット宅配サービス。食材と調味料のセットを対応家電に入れてボタンを押すだけで料理が完成する。コロナ以降需要が伸び、登録者数は5万人を突破。
●メニューは毎月更新されるため商品が完了になっている可能性があります。
ネクストヒットその8【多芸ノンフライヤー】 複数料理の同時調理も可能! 油を使わずヘルシー料理が作れる
新進気鋭の家電ブランド「エペイオス」が手掛けるノンフライオーブンがInstagramで一躍話題に。インパクトあるビジュアルと、価格以上の多機能がウケて、現在も品薄状態が続いている。
【ヒットアナリティックス】 デザイン・機能の高さと圧倒的コスパで大ヒット
オシャレなキューブ型デザインに鶏の丸焼きなど多彩な機能を搭載して2万円台というコスパがヒットの要因。インスタ上でインフルエンサー達が自作レシピを公開するなどSNSでの人気の高さも製品の信頼度を押し上げている。
【紹介したのはコチラ!】
鶏の丸焼きなどの“ハレの料理”から日常使う調理まで多彩に使える
ノンフライオーブン
2021年6月発売
エペイオス
ノンフライオーブン CP247A
実売価格2万5999円
油を使わないヘルシーなノンフライヤー機能やオーブン機能、発酵機能などを搭載。食材をゆっくり回転させる機能を備え、チキンの丸焼きもムラなくジューシーに焼き上げる。3段構造で複数料理の同時調理も可能なため、調理時間を有効に使える。