XPS 13 Plus 2021

PC大手である米国デルが、米国で開催中のCES 2022に合わせて、高級モバイルノートPCの新モデル『XPS 13 Plus』を発表しました。現行の『XPS 13』と同様の13.4インチ、アスペクト比16:10画面を搭載する、直接的後継となるモデルです。

米国での発売予定時期は「2021年春」。価格は1199.99ドル(原稿執筆時点での単純換算で、約13万9360円)からを予定します。本体カラーは黒系の『グラファイト』と、シルバー系の『プラチナ』の2色構成です(上写真がプラチナで、下写真がグラファイトです)。

現行世代に比べての強化点は、CPUがインテルの第12世代Core i“Alder Lake”TDP 28W版となり、合わせて本体側の冷却能力も強化。合わせてRAMやSSDなども高速化が図られました。

またディスプレイオプションには、待望の有機ELパネル(解像度3456×2160)が追加。現行モデルから継承する1920×1200および3840x2400解像度の液晶と合わせ、より幅広い選択が可能となります。

もちろん、現行モデルの特徴である、4辺ナローベゼル設計も継承。「開くとほぼ画面」感覚で使えます。

本体重量は1.24kgと、ここは現行モデル(1.2kgより)から若干増……なれど、実際にはほぼ変わらないといったところ。本体サイズは295.3×199.04×15.28mm(幅×奥行き×厚さ)と、こちらも現行モデル(295.7×198.7×14.8mm)とほぼ同等。

重量的には、軽量化の進む昨今では準モバイルといったクラスです。

さて、モデル名にプラス(Plus)が付いたゆえんとなりそうなのが、現行モデルと比べ、シリーズのデザイン的なテーマ――シンプルかつミニマム路線――が追求された点。

といっても、画面側や天板の意匠は現行モデルの時点でほぼ完成されているため、大きく変更されたのはパームレストとキーボードの側、そして拡張端子。

特にキーボードとパームレスト面は、現行世代のみならず他社のノートPCと比べても一線を画した、ぱっと見ではコンセプトモデル的にも見えるほどの外観となりました。

まず、タッチパッドはパームレストとの段差のないフラット設計になり、外観上からはどこまでがタッチ領域なのかがわからないデザインを採用。機能的には、触覚フィードバックも採用されています。

またキーボードも、ほぼフラット、かつキー間の幅がギリギリまで狭くしたキートップを採用し、パームレスト面と合わせた“一枚板感”を追求しています。

さらにキーボードの最上段(メディアコントロールキーとFキー)に関しては(MacBook Proが採用していたTouch Barのように)タッチパネル方式を採用。現在の機能に関してはバックライトによりアイコンが表示されます(2つ上の写真がFキーモード、上の写真がメディアコントロールモード。なお消灯も可能な模様)。

そして拡張端子は、ついにThunderbolt 4(兼USB Type-C)が2基のみと、ほぼ最小構成に。現行モデルで搭載されていたマイクロSDカードスロットも省略された結果、良くも悪くもシンプルさが追求されています。

正直なところ、機能面や使いやすさという面からは、キーボード最上段の仕様やマイクロSDカードスロットまでを省略した点に関しては、意見が分かれるところかと思います。

しかし、写真や動画で見る限り、デザインに関してはオンリーワンの魅力を備えているのも確かです。

そして冒頭でも紹介したように、基幹パーツの世代交代により、処理速度が向上している点も特徴。とくにCPUには、インテルから発表されたばかりのモバイル向けAlder Lake(第12世代Core i)を採用した点がポイントです。

現状で選択可能なCPUは、『Core i7-1280P』をはじめ、i7-1270Pとi7-1260P、そしてi5-1240Pの4グレード。昨今のCPUで処理速度に大きく関わるTDP(消費電力と発熱の目安となる値)は、標準で28Wとなります。

とくに最上位のi7-1280Pでは、14コア20スレッドと、同時並列処理の規模が増している点が特徴的です。

なおGPUに関しては、CPU内蔵のインテルIris Xeグラフィックスを使用します。

合わせて、本体側の熱設計(放熱性能)は、CPU側のTDPである28Wに合わせて再設計されており、現行モデルに比べて強化されている点も特徴です。

RAMに関しては、8GB/16GB/32GBまでの3グレードから選択が可能。速度に関してはCPUのサポートする『LPDDR5-5200』(データレート5.2GHz相当)を搭載します。ただしこれだけの高速メモリを採用することもあって、増設は不可能な仕様です。

さらにストレージも、PCI Express 4.0に対応した高速SSDが選択可能に。容量も最大2TBまでが選択できます。

このように本機は、現行世代に比べ、CPUにRAM、ストレージといった基幹パーツの速度が軒並み向上している点も特徴。

とくにRAMやストレージは、状況によってはCPU以上に処理速度に関わるだけに、こうした点もしっかりと強化してくれるのは、ユーザー側からは頼もしいところでもあります。

このようにXPS 13 Plusは、現行モデルの魅力である4辺ナローベゼル液晶などを継承し、さらにデザインのミニマム化を推し進めたようなコンセプトのモデル。

上述したように、キーボード周りの仕様をはじめ、使い勝手よりもデザインを優先したのか? と疑問に思う箇所もありますが、それを差し引いても“刺さる”魅力を備えたデザインであることは間違いありません。

また、有機ELパネルのオプションなどは、まさに現行モデルのユーザーから求められていた点だけに、嬉しい強化と呼べそう。筆者個人としても、実際に触れられる日が楽しみなノートPCの1台です。

Source:デルテクノロジーズ(英語)