KDDIが東北初の「音のVR」収録!東日本大震災から10年の福島県双葉町で中高生の吹奏楽演奏を収録。2022年春公開へ【レポート】
東北初の360°動画による音楽VRコンテンツ収録! |
KDDI東北総支社は28日、福島県双葉郡双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館にて、福島県立ふたば未来学園中学校・高等学校、福島県立原町高等学校吹奏楽部ならびに、猪苗代湖ズの渡辺俊美さんによる演奏を、360°8Kビデオ・360°3Dオーディオで撮影・収録する「音のVR」の収録を行いました。東北地方では初の収録となります。
KDDIは東日本大震災から10年が経過した今年、2月14日に合唱による「音のVR」収録を予定していましたが、前日に大規模な地震が東北地域を襲ったことから収録を断念していました。今回は無事に演奏収録が行われ、2022年2〜3月、専用アプリ(iOS対応機器のみ対応)によりコンテンツ配信されます。
今回は収録の様子をレポートします。
収録の行われた東日本大震災・原子力災害伝承館
2020年9月福島県双葉郡双葉町に開館した施設
今回は、2020年9月にオープンした東日本大震災・原子力災害伝承館のロビーで収録が行われました。東日本大震災や、その後の東京電力福島第一原発事故を後世に伝えていくための施設です。
サプライズゲストとして登場した猪苗代湖ズの渡辺俊美さん
今回福島県立ふたば未来学園中学校・高等学校、福島県立原町高等学校の吹奏楽部の生徒のみなさんが猪苗代湖ズの「I love you &I need you ふくしま」を演奏することになりましたが、サプライズゲストとして猪苗代湖ズの渡辺俊美さんが登場。渡辺さんのボーカルも加えての収録になりました。
演奏に取り組む中高生のみなさん(リハーサル風景)
緊張しながらも楽しんで演奏を行っていた(リハーサル風景)
熱唱する渡辺俊美さん(リハーサル風景)
リハーサルを何度か行った後、本番の演奏収録が行われました。ゲスト出演した渡辺さんは双葉郡富岡町出身で福島県立双葉高校(ふたば未来学園高校の開校に伴い休校)出身。「自分のふるさとの後輩と言ったら変ですが、同じ生まれ育った地域の人たちが世代を超えて集まって、福島の応援歌を演奏できて本当に嬉しいです」と語りました。ふたば未来学園中学校3年の南郷真帆さんは「震災があっても普通に部活をやっていて楽しんでいる姿を見ていただけたら」と震災から復興し楽しんでいる様子を見て欲しいとのことでした。原町高校2年の藤原茉央さんは「震災の時は小学生でしたが、いろんな機会で流れていた曲です。震災当時は大変でしたが、今は復興も進んでいて、こうして伝えることで震災を忘れないという意味でも意義あることだと思いました」と、震災復興の催しに携わることができたことを喜んでいました。
360°動画撮影のため、円形になって演奏を行う
今回360°VR技術開発に携わったKDDI総合研究所先端技術研究所メディアICT部門XR空間表現グループ研究マネージャー堀内俊治さんは「今と同じ技術レベルで収録できるようになったのは2018年3月くらいです。コロナがしんどくなってきた時期(2020年春)、卒業式を行えなかった学生向けに東京混声合唱団の演奏をアプリとして初めて提供しました」と360°VR開発の歴史を語りました。
360°動画ということで、円形で演奏を行い、中央に設置した全天球型8Kカメラで撮影を行い、マイクは中央のものと、各パートごとに設置したものをミックスして音声収録を行いました。アプリで視聴すると、近づいたパートの音が強調されて聞こえる仕組みです。「こうしたVR技術によって、音だけでなく、空気感も伝えることができて、思いがつながるようなことができていると思います。本当は2月14日に被災地での合唱収録を行う予定でしたが、13日の地震によって収録できず、約1年越しで実現し、学生の皆さんの演奏を聴いて元気がもらえる感じがしました」と堀内さんも無事収録できたことを喜んでいました。
今後に向けては「今は映像と音だけですが、他の五感と組み合わせる技術も、もう研究しています。映像と音に関しても、もっと体に響くようなウーファーみたいなものなど、体験をアップデートできないかどうかと思っています。できればゴーグルをかける形ではなく、身につける物無しで面白い物ができれば良いですね」と既にさまざまな研究を重ねているとのことでした。
演奏終了後、渡辺さんを囲んで記念撮影
今回の演奏は、2022年2月中旬以降〜3月中旬、専用アプリをスマートフォンやタブレットにダウンロードすることで視聴可能になるとのことです(対応機種はiOS 13.0以降のiPhone、iPadおよびiPod touch)。震災から10年を越え、元気に部活動に励む中高生の演奏を、ぜひ360°VRでご覧ください!
記事執筆:小林健志
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