野菜ソムリエ直伝。1ヶ月で完成する「凍み大根」の作り方
凍み大根とは
凍み大根とは、気温が氷点下になる地域で作られる伝統的な保存食。大根を煮てから軒先に吊るし、夜は凍らせて昼は溶かすという工程を繰り返して作られます。
氷点下の外気にさらされた大根は、夜から朝にかけてカチカチに凍り、日中は陽に当たって溶け水がぽたぽたと滴ります。これが繰り返されることで、大根はカラカラに乾燥し、素材本来の甘味や旨味が凝縮されるのです。
氷点下にならない地域では、冷凍庫を活用し作ることが可能で、通常よりも短い期間で仕上げられますよ。この記事では、ご自宅で作れる凍み大根の時短レシピをご紹介します。
野菜ソムリエが教える。凍み大根の時短レシピ
調理時間:約1ヶ月
保存期間:冷凍用ジッパー袋に入れ、冷凍庫で1年以上保存可能
凍み大根は、冷凍庫を利用すればご自宅でも作ることができます。梅雨時期を避け、乾燥した季節に挑戦してみましょう。時間はかかりますが、味わいは格別。おでんや煮物、スープなどさまざまな料理に活用できます。長期保管も可能なので、ぜひ作ってみてくださいね。
材料(4~5人分)
・大根……1本(約1kg)
作り方
1. 切る
大根は、厚さ1.5~2cm程度の輪切りにし、皮をむきます。
2. ゆでる
沸騰したお湯に大根を入れ、やわらかくなるまでゆでます。
ザルにあげて冷まします。
3. 大根に穴をあける
大根の中心部分に箸で穴をあけます。
穴はあまり大きすぎず、ナイロン紐が通る程度がおすすめです。
4. 冷凍庫で凍らせる
大根を冷凍用ジッパー袋に入れ、冷凍庫で1日ほどしっかり凍らせます。
5. 大根にナイロン紐を通す
大根にナイロン紐を通し、大根同士がくっ付かないように結び目を作ります。
ナイロン紐1本に5~6個程度の大根を通します。
6. 干す
凍ったままの大根を風通しのいい軒下に吊るして1日干します。溶けた水滴が落ちるので、新聞紙を敷いてください。
凍った大根が溶けると、崩れて紐から外れる場合があります。その場合はザルに並べて干すといいですよ。また、軒先や庭など干す場所がない場合も、ザルに並べて干してください。
7. 干した大根を凍らせる
1日干した大根を再び冷凍用ジッパー袋に入れてしっかり凍らせます。
8. 再度干して、凍らせる
凍った大根をザルに並べて干します。ナイロン紐に通して軒先に吊るしてもいいです。雨天の場合は、干さずにそのまま冷凍庫で凍らせておきましょう。
9. 8を繰り返す
干して乾燥させ、凍らせるという工程を繰り返します。3週間程度繰り返すと、大根はかなり小さくなります。触るとまだやわらかい場合は、干し足りません。晴天の日にしっかり乾燥させてください。
雨天を避け、合計4週間ほど乾燥と冷凍を繰り返すと、色が茶色に変わりカラカラに乾燥します。水分が抜けたらできあがりです。
できあがった凍み大根は、保存用ジッパー袋に入れ、直射日光や高温多湿を避けた場所で保管します。長期保存したい場合は、冷凍庫へ入れてください。
おいしく作るポイント
極寒の地域や季節に作らないと、大根にカビが生えるおそれがあります。必ず晴天の日に干すようにし、雨天や曇天の日は冷凍庫で凍らせておくのが失敗しないポイント。夜は冷凍庫に入れ、日中の陽が当たる時間に干すとスムーズに乾燥します。
大根の厚みはお好みで変えてください。厚ければ厚いほど食べたときのジューシーさが増しますが、乾燥するまでに時間がかかります。薄くすれば、その分時間を短縮できますよ。
大根をザルに並べて外に干す場合は、虫が寄ってくるため、ザルを被せるか干し網に入れて干すなどするといいでしょう。
凍み大根の簡単活用レシピ3選
1. じんわり染み込む。凍み大根の煮物
調理時間:30分(※水で戻す時間は含みません)
凍み大根の定番メニューと言えば、煮物。じんわり煮汁が染み込み、食べるとじゅわっと甘味と旨味が広がります。凍み大根から甘味が出るため、砂糖は不要。大根そのものの奥深い甘さを楽しんでくださいね。凍み大根でぶり大根を作ったり、手羽先や豚バラ肉と煮込んだりしてもおいしいですよ。
材料(2人分)
・凍み大根……6個
・にんじん……1/2本(70g)
・しいたけ……6本
・こんにゃく……150g
・厚揚げ……120g
・昆布……10g
・しょうゆ……大さじ3杯
・サラダ油……小さじ1杯
作り方
1. 凍み大根は6時間ほど水で戻し、戻し汁は600ccとっておく(急ぐ場合は、ぬるま湯で2時間ほど戻す)
2. にんじんは乱切り、しいたけは半分に切り、厚揚げは4等分にする
3. 昆布は水で戻してから結び昆布にし、こんにゃくは手綱こんにゃくにして下ゆでする
4. 鍋にサラダ油をひき、中火でにんじん、しいたけ、こんにゃくを炒める
5. 油がまわったら、凍み大根の戻し汁を入れ、凍み大根と厚揚げを加える
6. しょうゆを入れて、弱火で20分ほど煮込む
7. 味が足りない場合は、しょうゆで調えてできあがり
2. 甘さ引き立つ。凍み大根のポトフ
調理時間:20分(※水で戻す時間は含みません)
凍み大根は、スープやおでんにすると絶品。大根からだしが出るため、コンソメやだし汁は必要ありません。凍み大根がスープを吸ってふわふわになりますよ。生の大根よりも火が通りやすいので、水で戻してしまえば煮る時間は短いです。
材料(2人分)
・凍み大根……6個
・キャベツ……1/4玉(300g)
・ウインナーソーセージ……2本
・にんじん……1/4本(50g)
・塩……小さじ1/2杯
・こしょう……適宜
作り方
1. 凍み大根は6時間ほど水で戻し、戻し汁は600ccとっておく(急ぐ場合はぬるま湯で2時間ほど戻す)
2. にんじんは乱切り、キャベツは半分に切る
3. 鍋に塩こしょう以外の材料をすべて入れ、凍み大根の戻し汁を加えて煮る
4. 15分ほど煮込み、塩こしょうで味を調えてできあがり
3. 噛み締めるおいしさ。凍み大根の漬物
調理時間:10分(※水で戻す時間は含みません)
凍み大根は、ゆでてから干すので、割り干し大根(※)のような歯ごたえはありません。そのかわり、噛み締めるほどにおいしい味わい深さがありますよ。凍み大根の漬物は、組み合わせる野菜を食感のいいものをチョイスするとGOOD。きゅうりで作ってもおいしいです。
※割り干し大根……生の大根を棒状に切って干したもの。
材料(2人分)
・凍み大根……6個
・にんじん……1/4本(50g)
・昆布(細切り)……3g
・塩……小さじ1/2杯
・米酢……大さじ1杯
・しょうゆ……大さじ1杯
・砂糖……大さじ1杯
・輪切り唐辛子……1/3本分
作り方
1. 凍み大根は2時間ほど水で戻してから1cm幅に切る
2. にんじんは細切りして塩もみをし、水で洗い水気を絞っておく
3. ボウルに凍み大根、にんじん、細切り昆布を入れ、米酢、しょうゆ、砂糖で和える
4. 輪切り唐辛子を入れ、好みで柚子の皮の細切りを和えてできあがり
凍み大根作りに挑戦してみよう
凍み大根作りは時間のかかる作業ですが、野菜ソムリエおすすめの方法なら、時短で作ることができます。乾燥と冷凍を繰り返して仕上げる凍み大根は、独特のふわっとした食感と甘味が絶品。一度食べるとクセになりますよ。冷凍庫を活用して、ぜひ一度凍み大根作りに挑戦してみてはいかがでしょうか?