サポート対象外MacにmacOS Montereyをインストールする方法
●サポート対象外MacにmacOS Montereyをインストールする方法
macOS Monterey 12登場
Appleは1年ごとに新しいバージョンのmacOSをリリースしている。本稿執筆時点での最新版はmacOS Monterey 12だ。毎回大半のユーザーが新しいバージョンへアップグレードしており、1年ごとに新しいバージョンが主流となる状況だ。
macOS Monterey 12がサポートしているMacは次のとおり(参考「macOS Monterey と互換性のあるコンピュータ - Apple サポート (日本)」)。
MacBook (2016年以降に発売されたモデル)
MacBook Air (2015年以降に発売されたモデル)
MacBook Pro (2015年以降に発売されたモデル)
Mac mini (2014年以降に発売されたモデル)
iMac (2015年後期以降に発売されたモデル)
iMac Pro (2017年以降に発売されたモデル)
Mac Pro (2013年以降に発売されたモデル)
macOS Monterey 12でサポート対象外となったMacは次のとおり。
MacBook (2015年)
MacBook Air (2013年、2014年)
MacBook Pro (2013年、2014年)
iMac (2014年)
アップグレードが提供されなくなった場合、サポートされている最後のmacOSを使い続けることになる。例えば、「MacBook Pro (Retina, 15-inch, Mid 2014)」を使っているのであれば、macOS Montereyはサポートされないので、macOS Big Surをセキュリティサポートが終了するまで使い続けることになる。
セキュリティサポートが終了する日程は発表されていないが、これまでのサポート状況を見ると、macOS Big Surは2024年9月頃まではセキュリティサポートが提供される可能性が高いということになる。
サポートが切れたMacも末永く使いたい
macOS Montereyで2015年のMacBookや2013年〜2014年のMacBook Pro/Airがサポート対象外となった。この時代のMacBookやMacBook Proは、使い方にもよるが、ヘビーな処理を行うのでなければmacOS Big Surを使うのに何ら不自由はない。性能も十分であり(もちろん使い方による)、キーボードやデザインも気に入っていて、このままあと数年間は使い続けたいと考えるユーザーもいる。
一方、メーカーからすると、古いハードウェアのサポートを切らなければ開発コストは膨れ上がっていく。どこかの段階で古いハードウェアのサポートを終了しなければならないのは、ある意味仕方ないことだ。けれども、毎日現役で使っているハードウェアがサポートされなくなるのは、悲しいものがある。
また、今後はIntel MacではなくM1 Macが出荷されるため、既存のIntel Macを使い続ける必要があるユーザーもいる。こちらは新しいIntel Macという選択肢がほとんど残っていないため、既存のIntel Macを使い続ける必要性が高い。
そんな場合、当然Appleのサポート範囲外であり、完全に個人の責任で行うことになるのだが、「OpenCore Legacy Patcher」を使ってサポート対象外となったMacにより新しいmacOSをインストールして利用するという方法もある。ただし、これはアドバンスドユーザー向けの方法だ。
ブート、パーティショニング、GPT、EFIなどの技術をよく理解しており、問題が発生しても対応できる経験とスキルがあるなら、リスクを理解した上で個人の責任において取り組む方法もあるというわけだ。実施するかどうかは別として、こうした選択肢があることを知っておいてもよいとは思う。
OpenCore Legacy Patcher
OpenCore Legacy PatcherはMacで使えるブートローダーだ。このブートローダーはメモリ上のデータにパッチをあて、Macをより新しいMacのように見せかけることができる。この機能を利用して、サポート対象外のMacにより新しいmacOSのインストールできるようにしている。
OpenCore Legacy Patcherを使ったmacOS Montereyのインストール手順は次のようになる。
16GB〜32GB程度のUSBメモリを用意する
USBメモリにmacOS Montereyのインストーラを作成する
USBメモリにOpenCoreをインストールする
USBメモリからMacを起動し、macOS Montereyをインストールする
macOSをインストールしたディスクにOpenCoreをインストールし、USBメモリなしでもmacOS Montereyが起動できるようにする
作業の詳しい方法はすべて「OpenCore Legacy Patcher」にまとまっている。この方法を試したい場合は、サイトに書いてある内容にすべて目を通そう。OpenCore Legacy Patcherを使うことで利用できなくなる機能もあるし、古いモデルほど問題が出る。先のページにはそうしたことが詳しく説明されている。
ページの内容を確認して、書いてある説明の意味がわからない場合は、この作業は行わないほうがよい。リスクの高い方法であるため、問題が発生する可能性を理解した上で作業を行う必要がある。
また、作業の前には必ず必要なデータをすべてバックアップすることが望まれる。利用できなくなることや工場出荷時の状態に戻すことになる可能性にも備えておいたほうがよい(参考「Macを工場出荷時へ戻す方法【macOS Big Surの場合】 | TECH+」)。
●
USBメモリにmacOS Montereyのインストーラを作成
それでは、「OpenCore Legacy Patcher」の説明に従って作業を行っていこう。ここでは作業の要点を簡潔に取り上げる。まず、次のようにsystem_profilerコマンドを実行してモデル識別子を表示させ、動作の可否や問題点などを確認しておく。
モデル識別子を表示させ、サポート状況を確認
/Users/daichi% system_profiler SPHardwareDataType | grep 'Model Identifier'
Model Identifier: MacBookPro11,2
/Users/daichi%
次に、16GB〜32GBのUSBメモリを用意し、次の状態になるようにディスクユーティリティで消去を行う。
なお、USBメモリの内容はすべて削除されるので、作業する前に必要なデータはバックアップを取っておく必要がある。
ディスクユーティリティを起動しただけではスキーマを変更できない。左上の「表示」を選択し「すべてのデバイスを表示」を選ぶと、USBメモリのボリュームのさらに上の項目が表示されるので、そちらを選択する。
指定されている内容で消去を行う(対象を間違えると大変なことになるので、注意深く作業を行う必要がある)。
USBメモリの準備ができたら、USBメモリはMacに挿入したまま次の操作を実行する。
macOS Monterey
[ ! -d ~/macOS-installer/ ] && mkdir ~/macOS-installer; cd ~/macOS-installer; [ ! -f ~/macOS-installer/installinstallmacos.py ] && curl -O https://raw.githubusercontent.com/munki/macadmin-scripts/main/installinstallmacos.py ; sudo python installinstallmacos.py
途中でOSの選択を求められるので、Montereyを選択する。
実行が完了するとdmgファイルが生成される。次のようにdmgファイルと/Applicationsを開き、dmgファイルに含まれている「macOS Montereyインストール」というアプリケーションを/Applicationsへインストールしておく。
生成されたdmgファイルを開く
open Install_macOS_*.dmg
/Applicationsを開く
open /Applications
/Applicationsにインストールした「macOS Montereyインストール」を実行し、USBメモリへmacOS Montereyのインストーラを書き込む。
macOS MontereyインストーラをUSBメモリへ書き込み
sudo /Applications/Install\ macOS\ Monterey.app/Contents/Resources/createinstallmedia --volume /Volumes/MyVolume
●
OpenCoreとmacOS Montereyをインストール
次に、「Releases · dortania/OpenCore-Legacy-Patcher」からOpenCore Legacy PatcherのTUI版をダウンロードし、実行する。
「1. Build OpenCore」を実行する。
「2. Install OpenCore to USB/internal drive」を実行する。
システムをUSBメモリから再起動し、macOS Montereyをインストールする。USBメモリをMacに挿したままシステムを再起動し、すぐに「Option」キーを押し続けてMacブートピッカーを起動する。「EFI Boot」を選択し、OpenCore Legacy Patcherのブートピッカーが表示されたら2秒以内に「Install macOS Monterey」を選択する。
「復旧」が表示されるので、ここで「macOS Montereyインストール」を選択してインストール作業を行う。既存のシステムのアップグレードではなく、クリーンインストールしたい場合には、ここで「ディスクユーティリティ」を選択してMacintosh HDを一旦消去すればよい。当然、先に必要なデータはすべてバックアップを取っておく必要がある。
クリーンインストールではなくアップグレードする場合でもバックアップはとってから作業した方がよい。リスクの高い作業だからだ。インストール作業は通常のインストール作業と同じだ。数回システムの再起動が発生し、最終的に次のようにmacOS Montereyが起動してくる。
この状態ではUSBメモリを使わないとmacOS Montereyが起動しない。USBメモリなしでもシステムが起動してくるように、ディスクにOpenCore Legacy Patcherをインストールする必要がある。USBメモリへOpenCore Legacy Patcherをインストールしたのと同じ作業を行う。「Releases · dortania/OpenCore-Legacy-Patcher」からOpenCore Legacy PatcherのTUI版をダウンロードし、実行する。
「1. Build OpenCore」を選択して実行する。
「2. Install OpenCore to USB/internal drive」を選択して実行する。
これでUSBメモリを抜いた状態でmacOS Montereyが起動してくることを確認できれば、作業は完了だ。
ざっと説明したが、この作業はUSBメモリの消去やインストーラのインストール、ディスクへのインストールなどリスクの高い操作が多い。繰り返しになるが、「説明されている内容が理解できない」「問題が発生した場合に元に戻す方法がわからない」場合は、この作業は行わないほうがよい。基本的にはlAppleがサポートを提供しているハードウェアを使うことが推奨される。あくまでもこうした方法もあるとして参考にしてもらえればと思う。
問題が発生した場合や一通り試して動作確認が済んだ場合は、「Macを工場出荷時へ戻す方法【macOS Big Surの場合】 | TECH+」などを参考にして作業を行ってもらえれば工場出荷時へ戻すことができる。基本的にはサポートされている方法でMacを使うほうがよい。
おまけ:ちなみに、どこまで使い続けられる?
Macを使い続ける場合、オペレーティングシステムのみならず、ハードウェアの寿命も考える必要がある。
例えば、MacBookで使われているリチウムイオンバッテリーは消耗品だ。充電回数が決まっているし、条件によってはその回数に達するよりも前に充電できなくなる。充電回数の上限に達する前にバッテリーが膨れ上がってくることもある。そうした場合は、バッテリーの交換が必要だ。
ただし、バッテリー交換といったハードウェア的な修理サービスには期限がある。どの修理サービスをどこまで受けられるかというスケジュールは公開されていないため、都度Appleに確認を取る必要がある。通常は販売店への供給終了日から最低5年間、在庫状況などによっては最長7年間、バッテリー交換に関しては最長10年まで修理サービスが提供されている(参考「保証期限の切れた Apple 製品の修理サービスを受ける - Apple サポート (日本)」)。
macOS Montereyでサポート対象外になった「MacBook Pro (Retina, 15-inch, Mid 2014)」を例に考えてみよう。このモデルは本稿執筆時点で、既にAppleが販売店への供給を停止した日から5年以上7年未満の「ビンテージ製品」と位置づけられている。在庫によるが、そろそろ「オブソリート製品」となり修理できなくなる。バッテリーは在庫があればあと2、3年は交換できる可能性があるが、今が最後のタイミングとみてバッテリー交換をしたとしよう。使い方にもよるが、4年ほどでバッテリーがつかえなくなると考えると、2025年いっぱいでハードウェアの寿命を迎える可能性がある。
もちろん、これは他の部品が故障しないパターンだ。ディスプレイの保護膜ははがれる可能性が高いし、ポート、ファン、SSDなど、さまざまな故障が考えられる。そうした故障がなく、確実に消耗するバッテリーを基準として考えて2025年程度といったところだ(バッテリー交換の期限が10年まで伸びていればもっと延命もできる)。
そもそも、Intel Macに対してどこまで新しいmacOSが提供されるかはわからないが、Intel Macに新しいmacOSが提供されている間は、OpenCore Legacy Patcherを使ってMacBook Pro 2014も新しいバージョンを利用できる可能性はあるというのが現時点で想定できることだろう。うまくいけば、ハードウェアがどうにもならなくなるまで、使い続けることができるかもしれない。
macOS Monterey 12登場
Appleは1年ごとに新しいバージョンのmacOSをリリースしている。本稿執筆時点での最新版はmacOS Monterey 12だ。毎回大半のユーザーが新しいバージョンへアップグレードしており、1年ごとに新しいバージョンが主流となる状況だ。
macOS Monterey 12がサポートしているMacは次のとおり(参考「macOS Monterey と互換性のあるコンピュータ - Apple サポート (日本)」)。
MacBook Air (2015年以降に発売されたモデル)
MacBook Pro (2015年以降に発売されたモデル)
Mac mini (2014年以降に発売されたモデル)
iMac (2015年後期以降に発売されたモデル)
iMac Pro (2017年以降に発売されたモデル)
Mac Pro (2013年以降に発売されたモデル)
macOS Monterey 12でサポート対象外となったMacは次のとおり。
MacBook (2015年)
MacBook Air (2013年、2014年)
MacBook Pro (2013年、2014年)
iMac (2014年)
アップグレードが提供されなくなった場合、サポートされている最後のmacOSを使い続けることになる。例えば、「MacBook Pro (Retina, 15-inch, Mid 2014)」を使っているのであれば、macOS Montereyはサポートされないので、macOS Big Surをセキュリティサポートが終了するまで使い続けることになる。
セキュリティサポートが終了する日程は発表されていないが、これまでのサポート状況を見ると、macOS Big Surは2024年9月頃まではセキュリティサポートが提供される可能性が高いということになる。
サポートが切れたMacも末永く使いたい
macOS Montereyで2015年のMacBookや2013年〜2014年のMacBook Pro/Airがサポート対象外となった。この時代のMacBookやMacBook Proは、使い方にもよるが、ヘビーな処理を行うのでなければmacOS Big Surを使うのに何ら不自由はない。性能も十分であり(もちろん使い方による)、キーボードやデザインも気に入っていて、このままあと数年間は使い続けたいと考えるユーザーもいる。
一方、メーカーからすると、古いハードウェアのサポートを切らなければ開発コストは膨れ上がっていく。どこかの段階で古いハードウェアのサポートを終了しなければならないのは、ある意味仕方ないことだ。けれども、毎日現役で使っているハードウェアがサポートされなくなるのは、悲しいものがある。
また、今後はIntel MacではなくM1 Macが出荷されるため、既存のIntel Macを使い続ける必要があるユーザーもいる。こちらは新しいIntel Macという選択肢がほとんど残っていないため、既存のIntel Macを使い続ける必要性が高い。
そんな場合、当然Appleのサポート範囲外であり、完全に個人の責任で行うことになるのだが、「OpenCore Legacy Patcher」を使ってサポート対象外となったMacにより新しいmacOSをインストールして利用するという方法もある。ただし、これはアドバンスドユーザー向けの方法だ。
ブート、パーティショニング、GPT、EFIなどの技術をよく理解しており、問題が発生しても対応できる経験とスキルがあるなら、リスクを理解した上で個人の責任において取り組む方法もあるというわけだ。実施するかどうかは別として、こうした選択肢があることを知っておいてもよいとは思う。
OpenCore Legacy Patcher
OpenCore Legacy PatcherはMacで使えるブートローダーだ。このブートローダーはメモリ上のデータにパッチをあて、Macをより新しいMacのように見せかけることができる。この機能を利用して、サポート対象外のMacにより新しいmacOSのインストールできるようにしている。
OpenCore Legacy Patcherを使ったmacOS Montereyのインストール手順は次のようになる。
16GB〜32GB程度のUSBメモリを用意する
USBメモリにmacOS Montereyのインストーラを作成する
USBメモリにOpenCoreをインストールする
USBメモリからMacを起動し、macOS Montereyをインストールする
macOSをインストールしたディスクにOpenCoreをインストールし、USBメモリなしでもmacOS Montereyが起動できるようにする
作業の詳しい方法はすべて「OpenCore Legacy Patcher」にまとまっている。この方法を試したい場合は、サイトに書いてある内容にすべて目を通そう。OpenCore Legacy Patcherを使うことで利用できなくなる機能もあるし、古いモデルほど問題が出る。先のページにはそうしたことが詳しく説明されている。
ページの内容を確認して、書いてある説明の意味がわからない場合は、この作業は行わないほうがよい。リスクの高い方法であるため、問題が発生する可能性を理解した上で作業を行う必要がある。
また、作業の前には必ず必要なデータをすべてバックアップすることが望まれる。利用できなくなることや工場出荷時の状態に戻すことになる可能性にも備えておいたほうがよい(参考「Macを工場出荷時へ戻す方法【macOS Big Surの場合】 | TECH+」)。
●
USBメモリにmacOS Montereyのインストーラを作成
それでは、「OpenCore Legacy Patcher」の説明に従って作業を行っていこう。ここでは作業の要点を簡潔に取り上げる。まず、次のようにsystem_profilerコマンドを実行してモデル識別子を表示させ、動作の可否や問題点などを確認しておく。
モデル識別子を表示させ、サポート状況を確認
/Users/daichi% system_profiler SPHardwareDataType | grep 'Model Identifier'
Model Identifier: MacBookPro11,2
/Users/daichi%
次に、16GB〜32GBのUSBメモリを用意し、次の状態になるようにディスクユーティリティで消去を行う。
なお、USBメモリの内容はすべて削除されるので、作業する前に必要なデータはバックアップを取っておく必要がある。
ディスクユーティリティを起動しただけではスキーマを変更できない。左上の「表示」を選択し「すべてのデバイスを表示」を選ぶと、USBメモリのボリュームのさらに上の項目が表示されるので、そちらを選択する。
指定されている内容で消去を行う(対象を間違えると大変なことになるので、注意深く作業を行う必要がある)。
USBメモリの準備ができたら、USBメモリはMacに挿入したまま次の操作を実行する。
macOS Monterey
[ ! -d ~/macOS-installer/ ] && mkdir ~/macOS-installer; cd ~/macOS-installer; [ ! -f ~/macOS-installer/installinstallmacos.py ] && curl -O https://raw.githubusercontent.com/munki/macadmin-scripts/main/installinstallmacos.py ; sudo python installinstallmacos.py
途中でOSの選択を求められるので、Montereyを選択する。
実行が完了するとdmgファイルが生成される。次のようにdmgファイルと/Applicationsを開き、dmgファイルに含まれている「macOS Montereyインストール」というアプリケーションを/Applicationsへインストールしておく。
生成されたdmgファイルを開く
open Install_macOS_*.dmg
/Applicationsを開く
open /Applications
/Applicationsにインストールした「macOS Montereyインストール」を実行し、USBメモリへmacOS Montereyのインストーラを書き込む。
macOS MontereyインストーラをUSBメモリへ書き込み
sudo /Applications/Install\ macOS\ Monterey.app/Contents/Resources/createinstallmedia --volume /Volumes/MyVolume
●
OpenCoreとmacOS Montereyをインストール
次に、「Releases · dortania/OpenCore-Legacy-Patcher」からOpenCore Legacy PatcherのTUI版をダウンロードし、実行する。
「1. Build OpenCore」を実行する。
「2. Install OpenCore to USB/internal drive」を実行する。
システムをUSBメモリから再起動し、macOS Montereyをインストールする。USBメモリをMacに挿したままシステムを再起動し、すぐに「Option」キーを押し続けてMacブートピッカーを起動する。「EFI Boot」を選択し、OpenCore Legacy Patcherのブートピッカーが表示されたら2秒以内に「Install macOS Monterey」を選択する。
「復旧」が表示されるので、ここで「macOS Montereyインストール」を選択してインストール作業を行う。既存のシステムのアップグレードではなく、クリーンインストールしたい場合には、ここで「ディスクユーティリティ」を選択してMacintosh HDを一旦消去すればよい。当然、先に必要なデータはすべてバックアップを取っておく必要がある。
クリーンインストールではなくアップグレードする場合でもバックアップはとってから作業した方がよい。リスクの高い作業だからだ。インストール作業は通常のインストール作業と同じだ。数回システムの再起動が発生し、最終的に次のようにmacOS Montereyが起動してくる。
この状態ではUSBメモリを使わないとmacOS Montereyが起動しない。USBメモリなしでもシステムが起動してくるように、ディスクにOpenCore Legacy Patcherをインストールする必要がある。USBメモリへOpenCore Legacy Patcherをインストールしたのと同じ作業を行う。「Releases · dortania/OpenCore-Legacy-Patcher」からOpenCore Legacy PatcherのTUI版をダウンロードし、実行する。
「1. Build OpenCore」を選択して実行する。
「2. Install OpenCore to USB/internal drive」を選択して実行する。
これでUSBメモリを抜いた状態でmacOS Montereyが起動してくることを確認できれば、作業は完了だ。
ざっと説明したが、この作業はUSBメモリの消去やインストーラのインストール、ディスクへのインストールなどリスクの高い操作が多い。繰り返しになるが、「説明されている内容が理解できない」「問題が発生した場合に元に戻す方法がわからない」場合は、この作業は行わないほうがよい。基本的にはlAppleがサポートを提供しているハードウェアを使うことが推奨される。あくまでもこうした方法もあるとして参考にしてもらえればと思う。
問題が発生した場合や一通り試して動作確認が済んだ場合は、「Macを工場出荷時へ戻す方法【macOS Big Surの場合】 | TECH+」などを参考にして作業を行ってもらえれば工場出荷時へ戻すことができる。基本的にはサポートされている方法でMacを使うほうがよい。
おまけ:ちなみに、どこまで使い続けられる?
Macを使い続ける場合、オペレーティングシステムのみならず、ハードウェアの寿命も考える必要がある。
例えば、MacBookで使われているリチウムイオンバッテリーは消耗品だ。充電回数が決まっているし、条件によってはその回数に達するよりも前に充電できなくなる。充電回数の上限に達する前にバッテリーが膨れ上がってくることもある。そうした場合は、バッテリーの交換が必要だ。
ただし、バッテリー交換といったハードウェア的な修理サービスには期限がある。どの修理サービスをどこまで受けられるかというスケジュールは公開されていないため、都度Appleに確認を取る必要がある。通常は販売店への供給終了日から最低5年間、在庫状況などによっては最長7年間、バッテリー交換に関しては最長10年まで修理サービスが提供されている(参考「保証期限の切れた Apple 製品の修理サービスを受ける - Apple サポート (日本)」)。
macOS Montereyでサポート対象外になった「MacBook Pro (Retina, 15-inch, Mid 2014)」を例に考えてみよう。このモデルは本稿執筆時点で、既にAppleが販売店への供給を停止した日から5年以上7年未満の「ビンテージ製品」と位置づけられている。在庫によるが、そろそろ「オブソリート製品」となり修理できなくなる。バッテリーは在庫があればあと2、3年は交換できる可能性があるが、今が最後のタイミングとみてバッテリー交換をしたとしよう。使い方にもよるが、4年ほどでバッテリーがつかえなくなると考えると、2025年いっぱいでハードウェアの寿命を迎える可能性がある。
もちろん、これは他の部品が故障しないパターンだ。ディスプレイの保護膜ははがれる可能性が高いし、ポート、ファン、SSDなど、さまざまな故障が考えられる。そうした故障がなく、確実に消耗するバッテリーを基準として考えて2025年程度といったところだ(バッテリー交換の期限が10年まで伸びていればもっと延命もできる)。
そもそも、Intel Macに対してどこまで新しいmacOSが提供されるかはわからないが、Intel Macに新しいmacOSが提供されている間は、OpenCore Legacy Patcherを使ってMacBook Pro 2014も新しいバージョンを利用できる可能性はあるというのが現時点で想定できることだろう。うまくいけば、ハードウェアがどうにもならなくなるまで、使い続けることができるかもしれない。