Appleの新SoC「M1 Pro」「M1 Max」を分析した調査結果レビューが登場
Appleが2021年10月19日に発表した新型MacBook Proに搭載されるSoCの「M1 Pro」「M1 Max」について、ハードウェア関連のニュースサイトであるAnandTechがその性能を詳細に分析した結果を発表しました。
Apple's M1 Pro, M1 Max SoCs Investigated: New Performance and Efficiency Heights
◆M1 Pro
M1 Proは、高性能コア8と高効率コア2の合計10コアのCPUと16コアのGPU、337億個のトランジスタを搭載しています。このうち、CPUはA15で使用されている新世代のものではなく、M1と同世代のCPU IPが使用されているとのこと。
CPUコアのピーク時のクロック数は3228MHzですが、クラスタ内のアクティブなコア数に応じて周波数が変化し、2コアでは3132MHz、3〜4コアでは3036MHzになります。M1 ProとM1 Maxに搭載されている8つの高性能コアは2つの4コアクラスターで構成されており、それぞれが12MBのL2キャッシュと持っていて互いに独立して動作することができるため、「片方のクラスターが4つのコアを3036MHzで稼働させ、もう片方のクラスターで1つのアクティブなコアを3228MHzで動かす」といった芸当も可能とのことです。
また、高効率コアを4つ備えていたM1に比べて数は半分になりましたが、M1 Proに搭載された2つの高効率コアのピーククロック周波数は2064MHzで、M1やAシリーズと同様に4MBのL2キャッシュがフル活用できるとされています。
さらに、M1 Proはデータレートが6400MT/sで256bit幅のLPDDR5メモリを備え、総合的な帯域幅は204GB/sに達しています。これは、M1の68GB/sを大幅に上回っており、128bitインターフェースに依存している他社のノートPCと比較しても全体的に高い数値です。
一方、システムレベルキャッシュ(SLC)はM1 Proが24MB、M1 Maxが48MBで、AnandTechが当初予想していたサイズより小さいものの、「SRAMのダイエリアのスペースを考えると納得がいきます」とAnandTechは評価しています。
◆M1 Max
M1 Maxは、CPUのコア数こそM1 Proと同じですが、GPUは倍の32コアになり、トランジスタ数は570億個に達しています。AnandTechによるテストでは、M1 MaxのGPUは最大1296MHzで動作するとのこと。これは、最大約2.5GHzで動作することも珍しくないデスクトップPCやゲーム機のGPUに比べると遅めですが、モバイル向けとしてはかなり高速です。
一方、M1 MaxにはメモリインターフェースがM1 Proの2倍である512bit幅のLPDDR5メモリが採用されています。これについてAnandTechは「SoCとしては前例がなく、ディスクリートGPUの歴史の中でも大変珍しい設計です。これにより、このチップは408GB/sという膨大な帯域幅を確保することができました」と指摘しました。
また、M1 Maxのメモリコントローラキャッシュは48MBで、これによりチップはさまざまなSoCブロックのメモリ帯域幅を増幅させられるほか、オフチップのトラフィックを削減することもできるので、チップの消費電力も抑えることができます。
こうした点からAnandTechは、新型MacBook ProのSoCについて「M1 ProとM1 Maxは、AppleがM1を発表して以来1年以上も待ち望まれてきたチップです。M1はスマートフォン向けSoCからノートPC向けSoCへの正当進化系でしたが、熱的な限界もあって、低消費電力を念頭に置いたチップでした。そのため、シングルスレッド性能には優れるものの、全体的な性能では競合他社に明らかに遅れをとっていました。しかし、この状況はM1 ProとM1 Maxの登場により一変します。この2つのSoCはパワー志向のユーザー向けに作られたもののようで、あらゆるベクトルでパフォーマンス指標が向上しています。性能が上がることは予想していましたが、ここまでの驚異的な向上は予想外でした」とコメントしました。