私が不動産投資をする理由

以前、私自身の資産ポートフォリオをご紹介した際に触れていますが、ワンルームマンション投資を行う理由は次の2つの理由からです。

金融資産以外の実物資産を持つことで分散投資できる 投資にかける原資に限りがあるなか、不動産投資によって老後資金がストレッチ可能になる

これらの理由を理解していただくために、金融資産との違い、また不動産投資特有の仕組みをご紹介します。

ワンルームマンション不動産投資の仕組みは

まず前提として、ワンルームマンション投資は「老後の資産形成の一環」として行うものであり、節税効果はあくまで副次的なものです。

それよりも重視するポイントとして、ワンルームマンション投資を行うことで期待できる「資産形成の効果」は、大きく次の2つが挙げられます。

ローン完済後、毎月家賃収入を得られるので年金+αの収入源をつくれる 金融資産とは違う実物資産としての資産価値がある

他人のお金で資産形成

ワンルームマンション投資は数千万円の物件を購入するので、通常はローンを組んで借入れをします。そのためワンルームマンション投資は2つのフェーズに分かれます。

1つ目のフェーズは「ローンの返済期間」です。ワンルームマンションという実物の不動産を購入するわけですが、自己の居住用物件ではないので、一般的な住宅ローンより少し金利の高いローンを組みます。そのローンは毎月コツコツ返済していくのですが、購入した物件は賃貸に出すので、月々のローンの支払いには「入居者が支払ってくれる毎月の家賃」を充てることができます。

投資物件を新築で購入した場合は、受け取る家賃より月々のローン支払いの方が少し多いことが多く、中古であれば逆に受取家賃が多くなることもあります。

ローンの支払期間中は、利益を出すことが目的ではなく、入居者が支払ってくれる家賃でローンの返済ができていることの方が重要です。なぜなら家賃収入でローンを支払い終える時には、投資商品(物件)を購入したオーナーの手元に無借金の物件が残るからです。入居者(他人)が支払ってくれたお金で自分の資産形成ができる、という仕組みをうまく活用できる方法というわけです。

ローン完済後、2つ目のフェーズに入ります。ローンを支払い終えたあとも毎月家賃収入が得られますので、これを老後の生活費の足しにできます。

家賃収入が得られるということは、持っているだけで現金収入を得られるということなので、以前私が別の記事でお話しした「資産=Asset」に該当します。つまり、ワンルームマンション投資物件には毎月生み出す家賃収入という資産価値がありますので、売却することももちろん可能です。

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金融資産とは異なる、実物資産としての価値

不動産は実物資産(Real estate)に該当しますので、一般的にはインフレ(物価上昇)局面に強い資産とされています。

例え話をご紹介しましょう。

第一次世界大戦後のドイツのある兄弟のお話です。実際にあった話かはわかりませんし、ジョークの類いだとは思いますが、例え話としてお読みください。

その兄弟の兄は大変勤勉で、一生懸命働いてはしっかり現金を貯金していました。一方弟の方は飲んだくれで、ろくに働かずに毎日お酒ばかり飲んで過ごしており、弟の家の庭には酒瓶が散乱していたそうです。

さて、第一次世界大戦が勃発し、ドイツは敗戦。ヴェルサイユ条約で多額の賠償金を課せられました。支払いのためマルク紙幣が尋常ではないペースで発行され、史上空前のハイパーインフレとなりマルク紙幣は紙くず同然になりました。

結果兄が一生懸命貯めた貯金はほとんど無価値になり、弟の家の庭に散乱していた酒瓶の方が値打ちが高くなってしまったという話です。

極端な例ですが、インフレ局面には不動産のような実物資産が強いといわれる理由がイメージいただけるかと思います。

世界中の中央銀行が基本的には毎年2%程度の緩やかな物価上昇を目指して動いているため、長期的にはインフレになるという前提で考えた方が賢明です。

投資信託でも物価の上昇のリスクヘッジはできますし、不動産だけでインフレ対策をする必要はありません。

しかし株式、投資信託も金融資産である以上、物価上昇の局面では相対的に価値が低下する側面はあるので、自身の資産形成の一部に不動産を組み込むことは一考の価値があると思います。酒瓶と違って不動産の場合少なくとも土地は壊れる心配もありません。

不動産投資になぜ節税効果があるのか

不動産投資には、考慮しておかなくてはならないこともたくさんあります。

その一つが経費です。

不動産投資は経費がかかる

不動産を購入する場合、初期費として登記費用やローン関連の手数料、火災保険料、販売業者に対する仲介手数料などがかかります。

そして不動産投資開始後は、家賃でほとんど賄えることが多いとはいえ、ローンですから利息の支払いもあります。さらに毎年の固定資産税の支払い、物件を管理してくれる管理業者への委託料などがかかります。

賃貸ですから入居者が入れ替わることもあります。また、経年劣化による修繕費なども購入したオーナーの負担です。このことは頭に入れておかなければなりません。

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課税所得の圧縮効果

一方でこれらは経費として確定申告で申請することができるため、課税所得を圧縮する効果があり、これが結果的に節税になります。

投資物件を持っている場合、毎月の家賃収入が給与とは別に入ってきますが、確定申告では不動産所得として計上し、給与所得と同じ「所得税」という税金がかかります。

これだけでは逆に収入が増えてしまいますが、ローンの支払利息、管理会社に支払う管理費、固定資産税、減価償却費を経費として計上できるため、家賃収入以上に経費がかさむと、不動産部分が赤字になります。

この赤字を損失として、給与所得から赤字部分を差し引くことができるので、結果的に課税所得を圧縮することができます。そうすると投資不動産を持っていないときより課税所得が低くなります。

所得税や住民税は課税所得に所定の税率をかけて算出しますから、課税所得が低くなると所得税と住民税も少なくなります。給与所得のサラリーマンの場合、所得税、住民税は給与から天引きされていますので、すでに払った所得税、住民税から差額の還付を受けることができます。

これが節税効果です。

ただ気をつけなくてはならないのは、「お得」な気がしますが、固定資産税や修繕費用、毎月のローン返済額と家賃収入の収支がマイナスだったりすると、還付金額が手元に残らない場合もあるので、期待したほどの効果は上がらないかもしれません。

不動産投資をやる理由は節税ではなく将来の資産形成だといったのは、そういう理由です。

ワンルームマンション投資物件を探す際に気をつけたい4つのこと

長期で保有すればメリットもいろいろある不動産投資ですが、購入を検討する際に気をつけないといけないことをいくつかご紹介します。

まず第1に、不動産の販売価格は売主と買主の2者間の合意で決めるため、金融商品のように誰が買っても同じ価格、同じ条件ではありません。不動産業界出身の方でもない限り、一般の方に相場観はわかりませんから、高い価格で買わされてしまう可能性もあります。そうなれば自然と収支が悪化します。

第2に空室リスクです。毎月のローンの支払いに入居者からの家賃を充てるスキームのため、入居者がいないとローンの支払いを自腹で続けないといけません。不動産投資がそれなりの年収水準の方でないとできない理由はまさにここです。空室リスクに耐えられる所得と資産がないといけません。

不動産会社によっては提供されている「家賃保証」を利用して、空室でも一定額の収入を補填する仕組みもありますが、家賃保証をつけるためには毎月費用負担がありますので、入居者がいるときは逆に負担になります。

このリスクを抑えるためには、入居者がいつでもつきそうな物件を選ぶことが一番大切です。一つのわかりやすい基準として、自分が住みたいと思える物件かどうかを検討してみましょう。

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不動産投資はリスクが高い? 9つの代表的なリスクと5つの回避策

第3に、不動産価値が将来下がる可能性があることです。それは環境要因や事故物件になってしまうなどによります。入居者がつきづらくなるうえに、そうなると売却も難しくなります。こういったリスクは保有期間が長くなればなるほど大きくなるものなので、不動産投資以外の資産形成もしっかり行って、リスク防衛すべきです。

第4に、投資用不動産とはいえ、購入のためにローンを組み借入れをするため、将来自分の居住用物件を購入する際の住宅ローンを組みにくくなります。なぜなら住宅ローンの審査の際、すでに借入れがあるとその分返済余力を低く見られてしまうからです。

住宅ローンの審査が通らなくなることはあまりないとは思いますが、住宅ローンを組める金額が低くなることは多々あるので、自分の今の年収や昇給の見通しをしっかり立ててから購入しましょう。

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失敗しないために

不動産投資に限ったことではないですが、やはり信頼できるプロに出会えるかどうかが一番重要です。私もワンルームマンション投資をしていますが、優秀でちゃんと連絡がつき、業界に居続けてくれる方が担当なのでうまくいっているのだと思います。

うまく活用すれば不動産ならではのメリットもありますが、失敗すると被害も大きいので、相談する相手は慎重に選ぶことを強くお勧めします。