投資に興味を持ったきっかけ

そもそも私が投資に興味を強く持つようになったきっかけは、まだ学生だった2008年に起きたリーマンショックという金融危機です。リーマンショックは特に米国の住宅購入用途向けサブプライムローンの不良債権化に端を発し、大手投資銀行であったリーマン・ブラザーズが経営破綻を起こし、連鎖的に金融危機となったものです。

当時を思い起こすと、「サブプライム」とか「不良債権」など、理系の私にはチンプンカンプンではありましたが、目に見えて株価や為替が動いてただならぬ気配を感じたのを覚えています。

特に円ドル相場では急激な円高が進み、2007年に124円だったのが2011年10月31日に史上最高値の75円(オセアニア外国為替市場)に達し、結果的に50円も円高が進み、今では考えられないですが、当時は「基軸通貨のドルの信用崩落、円が基軸通貨になる」なんて記事も踊っていました。

ただ、株価や為替が急激に変動する一方で、私の生活自体は幸いにも変化なく、そういったギャップからも「金融市場と生活の関係とは何なのか」「投資とは何なのか」ということに興味を持ちました。

不動産投資開始前の投資

リーマンショックで「円の信頼性・安定性が高く為替市場では急激な円高が起こっている」というニュースを目にしたことで、「外貨投資」と「債券投資」に興味を持ち始めました。そして初めての投資は、勉強がてら「証拠金取引(FX)」と「投資信託(インデックス投資)」にチャレンジしました。

不動産投資開始前は、不動産投資の勉強をしていたわけではありません。不動産投資ローンの存在ももちろん知らず、仮に知っていたとしても当時学生だった自分は融資を受けられるはずもなく、しかしサブプライムローンのニュースや証拠金取引を行った経験から、不動産(不動産投資)の大前提が「個人や法人の信用をもとに銀行から融資を受けて、賃料をその返済に充てていく」手法であるという感覚は養われたと思います。

不動産投資取り組み当初の勉強法

不動産投資に関する勉強を始めたのは2016年です。クラウドファンディングという「共同で不動産を持ち、家賃収入から分配金を得る仕組み」、またソーシャルレンディングという「共同で不動産を担保に企業へ融資を行い、金利から分配金を得る仕組み」を知り、手元にある1万円単位で参加ができる小口投資という形でチャレンジしました。そして、このクラウドファンディングの提供元から「一棟アパートへの投資」を紹介されたことで、一棟アパートを持つとなるとどんな投資計画になるのかを考え始めました。

アパート一棟の購入については断念したのですが(詳細は以下の記事をご覧ください)、そのときの勉強方法は、「1. 人に聞く」「2. 本を読む」「3. ネット記事を読む」の3つでした。

【関連リンク】
【実体験】新築アパート一棟投資を断念した5つの理由

人に聞く

私の周辺には、アパート一棟やマンション一室への不動産投資をしている人がいなかったので、「不動産会社の人から話を聞く」ことで勉強を始めました。

アパート一棟の不動産投資を提供している会社と2回、1回につき数時間という長丁場。不動産を売りたい会社の担当に話を聞くので、「いいこと」しか言わないだろうという前提で臨みました。私自身の工夫としては、「不動産投資の仕組みやローンの金利、リスク」など、聞き出したいことをあらかじめ準備したうえで話を聞きました。また2回目の打ち合わせには、1回目と異なる担当者の同席をお願いすることで、話の抜け漏れや整合性の確認をしました。

この当時は1社しか話を聞かなかったのですが、今考えると1社としか話をしなかったことは反省点であり、少なくとも2社以上、また投資の実践者に打ち合わせをお願いすることで、より解像度を高めるべきであったと考えています。

本を読む

不動産投資に興味を持った2016年当時は、リーマンショック後に価格が下落した不動産を購入・売却(キャピタルゲイン)することで成功された方の本がたくさん発行され始めていました。

そういった成功本の類いを3冊ほど読みましたが、どれも不動産投資は「楽して稼げる」といった視点のものが多く、あまりピンとこなかったことを覚えています。むしろ、本田 健(著)『ユダヤ人大富豪の教え』に書かれていた、「お金」は「豊かに暮らすため」のあくまで一つの指標であって、「如何に豊かに暮らすかが最も重要である」と説く内容に影響を受けました。

もちろんお金を安全に増やしたいことは事実ですが、「豊かに暮らす」視点は常に忘れないようにしようと思いました。

ネット記事を読む

日本全体の人口減に反して東京の人口増継続の予測が関係しているのか、都市部を中心にした不動産投資を提供する会社が増えたことで、ネットから情報を入手できるソースが多様化し始めた頃でした。

政府などが発表する人口動態統計や国勢調査などのデータに加え、不動産投資実践者がブログに綴る生の声を参考にしました。私もそうでしたが、身の回りに不動産投資実践者がいないケースもあると思うので、不動産会社に紹介をしてもらうほか、ブログや口コミで生の声を集めることは押さえておくべきポイントといえます。

不動産決定時の勉強とリサーチ

アパート一棟の購入は断念したものの、ワンルームマンションについては2戸購入しました(購入前後については下記2記事をご覧ください)。

【関連リンク】
・人生100年時代で不動産投資を始めるに至った経緯
・不動産投資開始後に起こり得る不安、その向き合い方

アパート一棟を検討した際に実践した勉強法は、ワンルームマンション購入検討時も同様に行いました。それに加え、ワンルームマンション購入の決定直前に行ったことがあります。それは「現地に見学に行く」ということでした。

勉強法とは少し異なりますが、現地に赴くことで物件の定量的な情報では知ることのなかったさまざまな情報にアクセスが可能になります。購入検討する物件周辺の土地勘があれば別ですが、土地勘のない場合は、例えば最寄り駅から物件までの高低差、治安、商店街やスーパーマーケットの充実度から、その付近に暮らす方々の雰囲気まで、より解像度を高める情報を得ることが可能になるといえます。

もし見学がどうしても難しい場合でも、街紹介の記事やGoogleマップなどを利用することで、ある程度は近い情報を補完できることと思います。

役立った勉強法

本やネット記事を読むことで多くの情報に触れられる環境にあったので、一般的な知識を入手することは簡単でした。ただ、情報量が多すぎて取捨選択が難しく、何が正しいかを見極めるのは大変でした。

世の中に溢れる情報の中で、私の場合、不動産投資取り組み当初の勉強方法は、「人に聞く」が重要だと感じました。当時は不動産投資会社の人に聞くことでリサーチを終えてしまったのですが、今考えると、不動産会社の人に加えて、不動産投資を実践している人からも話を聞いて、それぞれから学ぶことが重要だといえます。不動産会社の人のみだと、やはり相手は営業活動なので、どうしてもメリットを強調しがちになることが考えられます。ですので、実践者からフラットな話を聞くことをオススメしたいと思います。

私自身は当時実践者に聞く機会はありませんでしたが、リーマンショックの原因が、「自分の返済能力を超えた借入れを行えてしまう仕組み」から発生した危機だったという点については十分に理解していたこともあり、「アパートを一棟購入する」ことに対しては「自分は返済能力がない」と判断できたことで断念しました。

不動産投資後の勉強

私の始めたワンルームマンション投資は、基本的にオーナー業に専念する必要なく、マンションの管理業務の多くは不動産管理会社に任せています。そのため、普段はサラリーマン業に専念できてしまい、正直勉強の必要性を感じる機会は少ないといえます。

しかしながら、不動産投資後に勉強をやめてしまったかというと、全くもってそうではありません。なぜなら、不動産投資も買ったら終わりではなく、「売却をして売却益を得るのか。売却はせずに完済を目指し賃料収入を得るのか」、またローンの返済方法についても「繰上返済をするのか」など、投資商品としての運用については日々考える必要があるからです。

私の場合は、それらの運用を考えるうえでの勉強法は、「1. 人に聞く」「2. 金利をチェックする」「3. ネット記事で日本の住宅市場のトレンドを押さえる」を行っています。

人に聞く

1については、不動産投資会社とのお付き合いを継続的に続けていて、不動産市場やコロナによる影響など定期的に情報交換をしています。また、ワンルームマンション投資を行ったことがきっかけで知り合った実践者とも、部屋の稼働率などを聞いたり、情報交換をしています。

金利をチェックする

2については、金利が変化すると返済総額に直結するものなので、日本がいくら低金利の国といえども、直近で必要とする「現金と不動産投資ローンの返済計画、また金利」を比較しつつ、繰上返済も含めた最適な資産運用を考え実践しています。

ネット記事で日本の住宅市場のトレンドを押さえる

3は自分でコントロールできるものではありませんが、市場のニーズを把握することは非常に重要だと考えます。例えば今後、新型コロナの影響などで人口動態が大きく変わる可能性がゼロとはいえません。コロナ前までは、人口の都市一極集中が先進国の大きなトレンドというのが一般的見解ですが、それは過去の歴史が語るものであり、未来のニーズがその常識を変えることも十分あると考えています。

刻々と変化している市場のニーズについて、ネットの記事なども参照しつつ、興味を持って情報を入手し勉強するようにしています。例えば最近では、川口市への人口流入があったという記事が話題となりましたが、こういった記事へのアンテナを張り続けるということです。

参照:川口市へ、高収入の若者が続々移住 バブル以来の税収増|朝日新聞デジタル

継続は力なり

初めて投資に興味をもった大学時代から10年以上が経過しましたが、投資の勉強は継続しています。勉強を継続できたのは、新たな知識を吸収することでさらに未知の事柄への興味が湧いたからです。「興味→勉強→興味→勉強」のサイクルが、投資商品の決定に有機的につながっているなと改めて感じます。運用中の資産を振り返ることで、「最適な資産運用」には終わりがないことも痛感します。

この「興味→勉強」のサイクルは、不動産投資のみで完結するものでもなく、さまざまな商品の勉強過程でアップデートされるものであるので、学びを継続するためには、そもそも「未知の領域の勉強を楽しむこと、興味をもって投資を行うこと」が同時に肝要であるということをお伝えしたいと思います!