USB-C iPhone
Kenny Pi

アップルがiPhoneにUSB-C端子を採用することを待ち望む声は聞こえてくるものの、今のところ実現する兆しはありません。そこで自らiPhone XのLightningポートをUSB-Cに交換し、夢を現実にしたユーザーが現れました。

iPhone XのLightningポートをUSB-Cに変更する作業は「ある部品のはんだを取り除いて別の部品を取り付ける」程度の簡単な作業ではありません。魔改造に取り組んだKenny Pi氏によると、アップルのC94コネクタ(純正のUSB-C-Lightningケーブルに含まれている部品)をリバースエンジニアリングして、USB-Cポートのメスを搭載したPCB(プリント配線板)を自ら設計したとのこと。

しかし設計図ができた後も、もう1つの難問は「PCBを小型化してiPhoneに取り付けること」でした。iPhoneをはじめスマートフォンの内部には限られたスペースしかないため必須の作業ですが、このプロセスに数カ月を要したと語っています。

魔改造iPhone Xは、USB-Cポート経由で充電できるばかりか、データ転送もスムーズに行えるそうです。もちろんアップルは何らかの改造を行った自社製品を保証対象外としているため、不具合が起こってもアップルストアや公式サービスプロバイダの修理に出すことはできません。

今回の報告は、逆にいえば個人ユーザーでも努力次第で可能だったUSB-Cポートの実装は、巨大メーカーであるアップルならば容易くできることを示したと言えるでしょう。

実際、iPad mini(第6世代)ほかiPadモデルでは次々とLightningポートからUSB-Cへと移行しています。iPhoneでそうしないのは、USB-Cが防水性能でLightningに劣ることや、サードパーティ製のLightning機器から得られるMFiプログラムの収益がなくなるからとの指摘もありました

その一方で、EUはスマートフォンの充電端子をUSB-Cに統一する法案を用意しており、可決されればLightningに存続危機が訪れると見られています。

かといってiPhoneがUSB-Cに移行するかといえば、iPhone 12以降はワイヤレス充電のMagSafeを採用したこともあり、今後は外部端子のないポートレスになるとの見方もあります。そうすればMFiのライセンス料ビジネスがLightningからMagSafeに切り替わり、アップルにとっては収入源は引き続き確保できそうです。

が、iPhone 13 ProモデルではProResコーデックでの撮影、すなわちプロ向けだがファイルサイズが巨大になりやすい機能も搭載され、そのためにストレージ1TBのオプションも導入されたと思われます。そうした巨大ファイルをワイヤレスで転送することには無理があり、USB-CなしにどうやってMacなど外部機器とやり取りするのか興味深いところです。

Source:Kenny Pi(YouTube)

via:Wccftech