iOS 15で大きく変わったSafariのユーザーインターフェースをさらに便利に使う方法をお伝えします(筆者撮影)

9月24日発売のiPhone 13シリーズに合わせ、既存のiPhoneにも21日にiOS 15の配信が始まった。シーンに合わせて通知や着信を制限する「集中モード」や、ビデオ会議アプリ風になったFaceTimeが注目を集めているが、iOS 14でウィジェットを導入したこともあり、ユーザーインターフェース自体の変化は少ない。こうした機能を使わなければ、アップデート前との違いに気づかない人もいるかもしれない。

一方で、利用頻度の高いアプリの1つが、大きくアップデートされた。Safariだ。これまでは画面上部にあったURL/検索窓や文字サイズを変更するボタンが画面下部に移ったほか、タブのグループ化に対応したり、拡張機能をインストールできるようになったりと、見た目から機能までを一新している。初めてiOS 15のSafariを開くと、その変化の大きに驚くかもしれない。

ただ、あまりにもiOS 14までのSafariとの違いが大きくなっているため、中には操作に戸惑ってしまう人もいるだろう。ユーザーインターフェースについては、“慣れ”もあるため、元に戻したい人もいるはずだ。タブのグループ化も、あまり明確な説明がなく、気づきにくいかもしれない。そこで今回は、そんな新Safariを便利に使うための技を紹介していこう。

大きく変わった「Safari」を元に戻す方法

iOS 15で、Safariのユーザーインターフェースが大きく変わった。これまでは画面上部に配置されていたURL/検索窓が画面下に移り、タブなどの呼び出しも含めてすべて操作が画面の下部をタッチするだけで完結する。Safariを採用するiPadOSにも新機能が加わっているが、ここまで大胆にデザインを変更したのはiOSだけ。iPhoneというハードウェアに合わせて設計を刷新したということだ。


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iPhone 13 miniなどの小型な端末が出ている一方で、スマートフォン自体は徐々に大型化している。標準的なサイズといえるiPhone 13やiPhone 13 Proですら、ディスプレーは6.1インチ。iPhone 13 Pro Maxに至っては6.7インチで、アスペクト比は異なるものの、インチ数はタブレットに近づいている。こうなると、片手で持ったときに親指が画面の反対や対角上に届きにくくなる。タッチしなければならないメニュー関係を画面下に配置するのは、必然だったと言えるだろう。

実際、iOS 15のSafariは、これまでのSafariと比べて操作がしやすい。特に検索やブックマークを呼び出しやすく、大型のiPhoneを使っていても、片手でスムーズに操作ができる。ブラウジングの際は、持つ位置を変えたり、もう一方の手を出したりする必要がなくなり、検索からサイトの閲覧までの流れがスムーズになった。ただ、画面下部にメニューがチラつくので、なかなか慣れないという人はいるかもしれない。操作方法が変わってしまったことをストレスに感じる人もいるだろう。


設定でURL/検索窓の位置を上に戻すことができる(筆者撮影)

そんな声を受け、iOS 15のSafariには、これまでどおり、メニューを画面上部に戻す設定が用意されている。この設定は、「設定」アプリ内の「Safari」で変更できる。「Safari」の中の「タブ」欄で、「タブバー」と「シングルタブ」を選択できる。標準では、これが「タブバー」になっているため、前に近いユーザーインターフェースに戻したいときには、「シングルタブ」を選択すればいい。

また、設定はSafariからも変更できる。Safari表示中にURL/検索窓の横にある「ぁあ」と書かれた部分をタップし、メニューから「上のアドレスバーを表示」をタップする。これで、URL/検索窓のタブバーが上に移る。簡単なカスタマイズなので、好みに合わせて選ぶといいだろう。

重ねるだけで作れる「タブグループ」が便利

Safariで表示するサイトは1つのタブとして残しておくことができ、別のサイトとの行き来が簡単にできる。一方で、別のサイトやアプリからリンクをクリックした場合などにタブができすぎてしまい、収拾がつかなくなってしまうことも。タブの数が増えれば増えるほど、後から削除するのが面倒になる。まとめて消去することもできるが、そうすると必要なサイトまで消えてしまうのが難点だ。

iOS 15のSafariには、そんなタブを整理整頓する機能が搭載された。タブグループがそれだ。タブをグルーピングすることができるので、必要なページを開いたタブだけをまとめておいたり、サイト別にグループ分けしたり、ジャンルごとにタブを作ったりといったことが可能になる。後からタブを探してサイトを探すのが簡単になるというわけだ。

作り方はシンプル。Safariの右下にあるタブボタンをタップすると、開いているタブの一覧が表示される。ここで、画面下にある「〇個のタブ」をタップする。すると、タブグループのメニューが現れる。ここで「空の新規タブグループ」か「〇個のタブから新規タブグループを作成」を選ぶと、タブをグループ化することができる。逆に開いているタブからグループ化したいものを選択したいときには前者を、開いているタブすべてをひとまとめにしたいときには後者を選べばいい。


タブはグループ化しておくと、後から見返したいときに便利だ(筆者撮影)

ここでは、利用頻度が高そうな新規のタブグループを作る例を紹介する。「空の新規タブグループ」をタップすると、タブグループの名前を入力するウィンドウが現れる。ここで適当な名前を入力すれば、タブグループの出来上がり。ここでタブを追加していくと、そのタブグループに格納される形になる。すでに開いているタブをタブグループに入れたいときには、画面下に表示されているタブグループの名称をタップし、「〇個のタブ」を選ぶと、グループ化されていないタブが表示される。

この状態で移動させたいタブを長押しして、メニューから「タブグループへ移動」をタップすれば、グループに移動させることが可能になる。タブグループは、iPadやMacなどのSafariとも同期されるため、あたかもブックマークのような感覚で利用できて便利だ。これを機に、ゴチャゴチャになっていたタブを整理しておくことをお勧めしたい。

拡張機能を使えばSafariがもっと便利になる

iOS 15から、Safariは拡張機能に対応した。アプリをインストールすることで、Safariの機能を増やせるのが特徴。サードパーティの開発者に開放されているため、カスタマイズの幅が広がった格好だ。iOS 15が登場したばかりなので、まだアプリの数は限定的で、どちらかと言うと日本語化されていない海外のアプリも多いが、すでにApp StoreからSafariの拡張機能用アプリをダウンロードすることができるようになっている。

機能拡張を探すには、App Storeを直接開くより、「設定」の「Safari」から飛んだほうが早い。「Safari」の中にある「機能拡張」を選び、「機能拡張を追加」をタップすると、App Storeの機能拡張一覧が表示される。ここから必要なものを選んでインストールするだけだ。インストールの仕方はほかのアプリと同じ。ホーム画面にはアイコンも作成される。ただし、機能が少ない機能拡張は、説明が表示されるだけで、アプリを開く必要がないものもある。


「設定」の「Safari」にある「機能拡張」で「機能拡張を追加」をタップすると、App Storeに飛ぶことができる(筆者撮影)

次に、Safari側から機能拡張を有効にする必要がある。Safariの画面下にある「ぁあ」というボタンをタップして「機能拡張を管理」を選ぶと、メニューに先ほどインストールした機能拡張が表示される。ここで、有効にしたい機能拡張のスイッチをオンにしよう。あとは必要な権限を与えれば、機能拡張が利用できるようになる。

ここでは、試しに長押しした部分の文字が強調表示される機能拡張と、Safariのタブをゼスチャー操作するための機能拡張をインストールしてみた。前者はサイトの文字を読む際に、後者はタブの操作を素早くしたいときに便利だ。ほかにも、翻訳や広告ブロッカーなど、いくつかの機能拡張が公開されている。今後、徐々に数が増えていく可能性が高いため、定期的にチェックしておくといいだろう。