カタールW杯アジア2次予選が終了した。格下相手との試合が続き、U−24日本代表も同時進行で活動をしていたことから、「2次予選を勝ち抜いた」という感覚が浸透しにくい状況だった。
 
 さらに言えば、ユーロが開幕したことも影響しているだろう。ヨーロッパを舞台に行なわれている角逐は、「インテンシティ」とか「トランジション」といったワードの重みを、改めて問いかけてくる。

 それはともかく、日本代表は2次予選を8戦全勝で終えた。46得点はアジア2次予選最多だった。
 
 12チームによる最終予選は、9月にスタートする予定だ。年内は9月、10月、11月に2試合ずつを開催し、1月末から2月上旬にも2試合が予定されている。
 
 ヨーロッパ各国リーグのスケジュールを考えると、1、2月の国際試合開催は異例と言っていい。しかし、コロナ禍でどの大陸もW杯予選の消化が遅れている。4月にはファイナルドロー(組合せ抽選)が控えているので、1、2月にも組み込まざるを得なかったというわけだ。

 6月にはW杯2次予選とU−24日本代表戦のために7チームが来日したが、U−24ガーナ代表とキルギス代表から新型コロナウイルスの陽性反応者が出た。ジャマイカ代表は出発前検査の関係で、一部選手の来日が遅れた。

 日本代表の感染対策は徹底されている。しかし、日本代表が感染者を出さなくても、対戦相手から出たらどうなるのか。感染対策については国際サッカー連盟(FIFA)がガイドラインを策定するべきだと思うが、細かな部分は各国の努力義務になっている印象だ。

 日本から最終予選に参加するには、選手だけではない。日本人の主審と副審も、アジア各国で試合を担当する。同様に各国の主審と副審が、試合が行なわれるたびに国境をまたぐ。一個人がどれほど注意深く行動しても、ワクチンを接種しても、感染のリスクは忍び寄る。

 日本で集中開催された先のW杯2次予選では、キルギスがGK不在というアクシデントに見舞われた。コロナウイルスの検査で陽性反応を示した選手の濃厚接触者に、3人のGKが含まれていたのだ。

 これにより、モンゴル戦とミャンマー戦はGK不在で戦った。その結果、モンゴルに0対1で敗れ、グループ3位に終わった。モンゴル戦にレギュラーのGKが出場し、勝点3を奪っていたら、成績上位の2位チームとして最終予選に進出できたかもしれない。コロナ禍では公平性を担保するのが難しい、という一例と言える。

 キルギスのようなことがないように、アウェイゲームにはこれまでより多くの選手を連れていくとか、複数のグループに分けて移動するとか、色々な工夫が必要になりそうだ。どのような対策が取られるとしても、チームも個人も負担が増すだろう。

 Jリーグにも影響は及びそうだ。アウェイゲームから帰国した国内組の選手たちは、どれぐらいの隔離期間を経てチームに合流できるのか。新たな変異株の脅威が取り沙汰されているなかでは、早期の合流に不安を感じる選手がいてもおかしくない。

 たとえば9月の2試合は問題なく消化できたが、10月の2試合で感染者が出たら、11月はどうするのか。機動的で柔軟な対応ができるのか。

 これまでのようにホーム&アウェイで最終予選を争うのは、感染対策の観点からリスクが大きいと感じる。移動を減らすためには、セントラル方式やダブルセントラル方式がいいと思うのだが、その場合はまとまった期間が必要だ。ヨーロッパ各国リーグに、そのためのすき間はない。
最終予選の組み合わせは、7月1日に行なわれる予定だ。果たしてスケジュールどおりに進められるのかどうかが気になる。