金澤 良樹・Olympicグループ会長CEO

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食品とノンフードの2本柱で

 ーー 1962年(昭和37年)に東京・立川に1号店を出店してから、Olympicグループは来年で60周年を迎えるわけですが、改めて、60年という節目の年を金澤さんはどのように受け止めていますか。

 金澤 わたしが大学を卒業して社会に出たのが1970年代です。日本の高度成長期で、多くの流通企業が出てきました。

例えば、長崎屋があって、ダイエーが売上高1兆円を目指そうという勢いになり、イトーヨーカ堂も伸びてきた。西友、ジャスコ、今のイオンもどんどん成長していったわけです。

 ところが、最近ではショッピングセンターが伸びてきて、三井不動産やイオンもデベロッパー部門の収益を増やし、JRのような鉄道会社も自らの地の利を生かして店舗展開をするような時代になりました。

 この間、社会的にも大きな変化があって、昔のように大家族で食事をするような時代ではなくなり、核家族化が進んで一人で食事をする人たちも増えるとともに、お店も郊外から都心部へどんどん出店してきました。

そうなると、都心部にいろいろな店ができるということで、わたしはこんなにお店を出すことは無いだろうと思うようになりました。

 ―― そして、オーバーストア状態、つまり店舗が過剰になった面もありますね。

 金澤 ええ。そういう中で、われわれは基本的に役者を変えず、出し物も変えず、演ずる場所も変えずにずっとビジネスを継続してきたわけですが、わたしは15年くらい前から今一度、既存のお店を整理し、売っていく商品を一旦整理したいと考えたんですね。

 ―― 規模の拡大はもう止めようと。

 金澤 いや、一定の規模は必要ですよ。規模をとりながら収入をどんどん取っていくというやり方は今後も必要ですが、そればかりに頼るわけにもいかない。要するに、最適規模はどれくらいなのか? 規模が落ち着いても生き残っていくためには何が必要かということを考えてきました。

 すでに持っている資産は、店で働いている従業員であり、店の数や商品の種類ということになってくるわけですが、世の中の変化や競争環境というものを考えて、自分たちができることは何だろうと。従業員に対する処遇と言いますか、利潤の配分の仕方に始まって、人の価値観や物差し、それから組織の機能や役割ということを分解し直して、全部整理し直したんです。

 わたしの能力が無かったから、整理整頓もかなり時間がかかっているんですが、とりあえず取り掛かっているのがノンフードの整理。つまり、非食品分野の整理です。

 ―― 自転車やペット事業の整理という意味ですか。

 金澤 はい。われわれは食品と消耗品関連を中心としたノンフードの2本柱で来ているわけですが、今のうちにノンフードをきちんと整理しておかないといけない。当社は食品から始まっている会社であり、食品はある程度安定している分野ですが、ノンフードはこれというのがない。そのために時間がかかっているんです。

 今考えているのは、例えば、過去のように自転車を安くどんどん販売して、売上をつくっている時代ではない。だから、1台、1台の違いを出したりして、独自商品の開発を進めていく。

その上で専門的な知識を持った、きちんと修理ができる人材を集めて、これから自転車に乗る人たちが安全に楽しんで乗ってもらえるよう、アフターケアの部分を強化していく必要があるだろうと。そうやって特徴を持った自転車屋にしようと考えています。