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「CXハリアー」についてどう思う?

text:Kenji Momota(桃田健史)editor:Taro Ueno(上野太朗)

新型ホンダ・ヴェゼルの報道陣向け公道試乗会に参加した。これまでネット上などで話題となった様々な案件について、ホンダ本社関係者に直接聞いてみた。

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まずは、デザインについてだ。


ホンダ関係者は「確かに画像のみが公開された時点では、販売店を含めて賛否両論あった」と認める。実車が公開されると新型ヴェゼルのデザインに対するネガティブな声は市場から聞こえなくなったという。    ホンダ

ネット上では「CXハリアー」などと揶揄されることが多かった、新型ヴェゼル。

CXとはマツダのCX-3/CX-5/CX-8、そしてCX-30などクロスオーバーSUVで、またハリアーは2020年6月に発売された現行車を指す。

新型ヴェゼルのフロントグリルの雰囲気やリアビューなどが、マツダとトヨタのデザインテイストに大きく影響されているのではないか、ということで賛否両論が巻き起こった。

この点について、ホンダ本社の広報、営業、開発など各部門の関係者は「確かに(ティザーサイトなどで)画像のみが公開された時点では、販売店を含めて賛否両論あった」と認める。

いっぽう2021年2月のワールドプレミア後に各種メディアイベントで実車が公開されると新型ヴェゼルのデザインに対するネガティブな声は市場から聞こえなくなったという。

さらに、実車が販売店に届いてからは、デザインに対してポジティブな声が「大半を占めるようになった」ともいう。

筆者としても今回、各種ボディカラーの実車を見て、ヴェゼル固有のデザインテイストをしっかり感じることができた。

e:HEVが93% 1.5Lは15%前後?

次の質問は、ハイブリッド(e:HEV)の販売比率だ。

ネット上では「ほぼすべてがハイブリッド」といった記事や、それを受けて個人のSNSでの書き込みなどが目立つ。


新型ホンダ・ヴェゼルのe:HEV配置説明図。    ホンダ

今回、ホンダが公開した数字は、受注台数では、事前受注開始(発売は4月23日)から2か月で約2万9500台となり、販売計画台数の月間5000台と比べると、計画の約3倍という好調な滑り出しだ。

その上で、搭載エンジンについては、93%がe:HEVとなった。

新型ヴェゼルは、新開発の1.5L直列4気筒DOHC i-VTECと、1.5LアトキンソンサイクルDOHC i-VTECと2つのモーターを組合わせた、e:HEVの2本立てだ。

ホンダ広報関係者は「当初予定では約2割が1.5Lと予測していた」という。

また開発関係者は「初期需要ではどうしても新技術系を購入するユーザーが多いので、今後販売が進めば多分、1.5Lは15%前後になるのではないか?」という私見を述べた。

筆者としては、こうしたe:HEVが大きく支持されるのは時節柄、当然の成り行きだ思う。

日本でもカーボンニュートラルに対する注目度が高まり、これに関連して世界的なEVシフトに関する報道も一気に増えたからだ。

さらに、新型ヴェゼル発売と同じ日におこなわれた、三部俊宏氏のホンダ社長就任記者会見では「2040年までにグローバルで新車販売EV/FCV 100%」を宣言している。

なぜヴェゼルは「AWD推し」なのか

後輪が大きく宙に浮いた状態の動画などを交えて走破性の高さを強調する、新型ヴェゼル。

このリアルタイムAWDは、ホンダが2018年2月に市場導入した後、リアルワールドでのさらなる研究開発を経て、最新制御技術を加えたバージョンを新型ヴェゼルに搭載している。


新型ホンダ・ヴェゼルのリアルタイムAWDシャシー(イメージ図)    ホンダ

なぜ今回あえて「AWD推し」するのか?

開発担当者は「雪道や濡れた路面での走行安定性はもちろん、ドライ路面でのフラットな走り出しに拘った」と説明する。

クルマは走り出す時に、基本的な物理現象としてリアが沈み込みノーズが上がる、ピッチング方向の動きが出る。

これをプロペラシャフトで駆動を伝える、いわゆる「ストロングAWD」ではリア駆動力をいち早く確保することで、よりフラットな走り出しが可能となるという。

他社比較のグラフも示し、ヴェゼルの競合車となるB/Cセグメントの小型ハイブリッド車の場合は後輪をモーター駆動するため、他社B(日産想定と筆者推定)は30-40km/h、他社A(トヨタと推測)では70-80km/hまでしかリア駆動力を発生させていないが、新型ヴェゼルでは時速40kmほどまで競合車と比べてかなり強いリア駆動力を加えて、時速40km以上では高速域までリア駆動力を持続させてクルマの安定感を確保しているという。

つまり、AWD推しはオフロードのみならず、ドライ路面での性能を強調するためだ。

なぜ、車内Wi-Fiは月額ではない?

別の視点で新型ヴェゼルを見ると、注目されるのはホンダコネクトの新サービスだ。

ホンダ初となるのは、自動地図更新サービス。年6回の地図更新を、ゼンリンのサーバとホンダのサーバをつなぐことで、自社位置付近や目的地付近の地図が自動更新される。

ユーザーから更新を要求する操作は不要だ。

また、EVのホンダeから採用している、デジタルキーと車載Wi-Fiも装備した。

こうしたサービスを利用について、根本的なことについてホンダの担当者に聞いた。

それによると、まずディーラーで新車や中古車を購入する際に推奨される、ホンダ・トータルケアの会員(登録は無料)になり、クレジットカード情報などを入れ込む。これはホンダコネクト搭載車以外でも加入できる。

また、ホンダ工場で装着されるホンダコネクトディスプレイと、CD/DVD機能を持つディーラーオプションの「ギャザー(ホンダコネクト対応機種)」では、基本パック(月額550円)とオプションサービスで若干の違いがある。

車内Wi-Fiはホンダコネクトディスプレイの専用オプションで、1GBあたり330円。

「週末しかクルマの使わない方もいるので、車内Wi-Fiは月額ではなく従量課金を採用した」との説明だった。

このほか、まだまだ新型ヴェゼルに対する疑問があるが、またの機会にホンダ本社に聞いてみたい。