「うっかり壁に穴」も補償対象に。火災保険に入るべき理由と選び方
春という節目もあり、見直したいのが保険。今回、住まいにおける重要な「火災保険」の仕組みについて、ファイナンシャルプランナーの佐藤忍さんに教えてもらいます。
じつはとても使える保険で、知っておくと味方になってくれるかもしれませんよ。
知っておくといざというときに味方に? 火災保険って?(※写真はイメージです。以下同)
わが国における火災保険の加入率は、統計により差はあるものの、おおむね70〜82%と高い水準です。しかし、自分が加入している火災保険の補償内容をしっかり把握しているという方はあまり多くないのではないでしょうか。火災保険は頼れる「暮らしの保険」、とくに“うっかりさん”には心強い味方です。見直しでさらにお得と安心をゲットしましょう。
「火災保険」というネーミングから、もしかすると“火災で発生した損害しか補償してもらえない”と思っている方がいるかもしれません。
火災保険は火災だけでなく、落雷、破裂・爆発、風災・雹災・雪災、水漏れ、水災、盗難、騒擾(そうじょう)・集団行為などにともなう暴力行為、建物外部からの物体の落下・飛来・衝突による損害も補償されます(※)。
たとえば、台風で屋根瓦が破損した、雪の重みで雨どいが壊れた、窓ガラスを割られて空き巣に入られた、給水管が破裂して室内が水浸しになったというようなケースです。ただし、地震を原因とする火災や津波の被害については、火災保険と一緒に地震保険に加入していないと補償されないので注意が必要です。
※契約内容により補償範囲は異なります
火災保険の対象は、建物と家財の2つです。持ち家の場合、火災保険に「暮らしの保険」としての力をフルに発揮してもらうためには、建物・家財の両方が保険対象になっている必要があります。賃貸住宅の場合は、家財だけを対象とした保険で問題ありません。
持ち家に住んでいる方は、まず加入している火災保険が建物・家財の両方とも保険対象になっているかどうかを確認しましょう。もし一方しか対象になっていない場合、もう一方も対象に加える必要がないか検討することをお勧めします。
住宅購入や賃貸契約をきっかけに火災保険に加入した方は多いと思います。不動産業者や銀行に勧められるがままに加入した保険をそのままにしていませんか? 少し面倒ですが、補償内容を見直すことで保険料がぐっとお得になる場合があります。
たとえば高台の家やマンションの高層階に住んでいる場合、水災補償は不要かもしれません。また、個人賠償責任特約は、自動車保険やペット保険などほかの傷害保険に付帯していることがあります。家族のだれか一人が入っていれば家族全員が補償されるので、重複して入っていた場合、補償額が大きい方を残してほかは外すといったことを行うと保険料の節約になります。
当然ですが、補償を増やせば保険料は高くなり、補償を減らせば保険料は安くなります。ご自分の住まいや暮らし方に応じて補償内容を見直してみましょう。
先述のとおり、補償を減らせば保険料は下がります、しかし保険料を安くしたいがために必要な補償まで外してしまうことはおすすめしません。数ある保険のなかでも、火災保険は加入しておいた方がよい保険のナンバーワンと言っても過言ではありません。ご自分の暮らしに合った補償内容を選んで加入しておけば、とても頼りになる“使える保険”です。
火災保険が“使える保険”である理由の一つは、「使っても保険料が上がらない」ことです。自動車保険は一度使うと次の年の保険料が上がってしまいますが、火災保険はそのようなことはありません。建物・家財が全焼して保険金額の上限が支払われた場合を除き、保険期間内であれば何度使っても保険料は上がりません。つまり、上手に使えば使うほどお得な保険であると言えるでしょう。
“使える保険”であるもう一つの理由は、日常の「うっかり」も補償してくれること。
掃除中にものをぶつけて壁に穴があいた、家具の配置替えをするためにテーブルを動かしたら棚に当たって倒れ破損した、子どもが室内でボールを投げて窓ガラスが割れた等、普通の暮らしのなかで起こり得る「うっかり」による事故も、加入している火災保険に「破損・汚損」の補償がついていれば補償されます。この「うっかり」に対する補償は意外と知らなかったという方も多いので、ぜひ自分が加入している火災保険の補償内容を確認してみてください。
不測かつ突発的な事故による損害であれば、たいていのうっかりは補償されますが、損害額が自己負担額以下である場合は保険金が支払われないなど保険会社によって細かく基準が定められていますので、うっかり事故を起こして損害が発生したらすぐに保険会社に確認することをお勧めします。
自然災害による被害でも、うっかりによる破損でも、損害を長期間放置していた場合、損害の内容によっては経年劣化によるものとみなされて保険金が支払われない場合があります。また、火災保険の請求権は原則3年で時効になると考えられていますが、保険会社がそれより短い請求期限を定めていることがありますので、被害が出たらまず保険会社に連絡することが大切です。補償されるかどうか自分で判断がつかない場合も、とりあえず保険会社に連絡すればきちんと対応してくれます。その際、事故が起きた日時や状況、被害直後の写真などの記録があれば保険会社との話がスムーズに進むでしょう。
いかがでしたでしょうか? 火災保険は暮らしの頼れる保険です。ご自分の暮らしにぴったり合った補償内容に見直し、不必要な補償を外すと保険料がぐっと安くなることがあります。逆に、足りない補償があれば追加して安心をゲットできることも見直しのメリットです。自治体が提供しているハザードマップ等を参考に、現在加入している火災保険の補償内容に過不足がないか一度じっくり確認してみましょう。
●教えてくれた人
お金にまつわる色々を分かりやすくお伝えすることをモットーとするファイナンシャルプランナー。お金は天下の回りもの。「稼ぐ」「増やす」「貯める」「使う」チカラをバランスよく身につけて、お金と一生ハッピーな関係を続けていくための情報を発信中。
じつはとても使える保険で、知っておくと味方になってくれるかもしれませんよ。
知っておくといざというときに味方に? 火災保険って?(※写真はイメージです。以下同)
火災保険が「使える保険」の理由。暮らしの味方になる仕組みとは?
●火災はもちろん、台風・豪雨・雪の被害など多くの災害を補償
「火災保険」というネーミングから、もしかすると“火災で発生した損害しか補償してもらえない”と思っている方がいるかもしれません。
火災保険は火災だけでなく、落雷、破裂・爆発、風災・雹災・雪災、水漏れ、水災、盗難、騒擾(そうじょう)・集団行為などにともなう暴力行為、建物外部からの物体の落下・飛来・衝突による損害も補償されます(※)。
たとえば、台風で屋根瓦が破損した、雪の重みで雨どいが壊れた、窓ガラスを割られて空き巣に入られた、給水管が破裂して室内が水浸しになったというようなケースです。ただし、地震を原因とする火災や津波の被害については、火災保険と一緒に地震保険に加入していないと補償されないので注意が必要です。
※契約内容により補償範囲は異なります
●火災保険の対象は建物と家財
火災保険の対象は、建物と家財の2つです。持ち家の場合、火災保険に「暮らしの保険」としての力をフルに発揮してもらうためには、建物・家財の両方が保険対象になっている必要があります。賃貸住宅の場合は、家財だけを対象とした保険で問題ありません。
持ち家に住んでいる方は、まず加入している火災保険が建物・家財の両方とも保険対象になっているかどうかを確認しましょう。もし一方しか対象になっていない場合、もう一方も対象に加える必要がないか検討することをお勧めします。
●補償内容の見直しでぐっとお得に!
住宅購入や賃貸契約をきっかけに火災保険に加入した方は多いと思います。不動産業者や銀行に勧められるがままに加入した保険をそのままにしていませんか? 少し面倒ですが、補償内容を見直すことで保険料がぐっとお得になる場合があります。
たとえば高台の家やマンションの高層階に住んでいる場合、水災補償は不要かもしれません。また、個人賠償責任特約は、自動車保険やペット保険などほかの傷害保険に付帯していることがあります。家族のだれか一人が入っていれば家族全員が補償されるので、重複して入っていた場合、補償額が大きい方を残してほかは外すといったことを行うと保険料の節約になります。
当然ですが、補償を増やせば保険料は高くなり、補償を減らせば保険料は安くなります。ご自分の住まいや暮らし方に応じて補償内容を見直してみましょう。
●「保険料は安ければ安いほどよい」は間違い
先述のとおり、補償を減らせば保険料は下がります、しかし保険料を安くしたいがために必要な補償まで外してしまうことはおすすめしません。数ある保険のなかでも、火災保険は加入しておいた方がよい保険のナンバーワンと言っても過言ではありません。ご自分の暮らしに合った補償内容を選んで加入しておけば、とても頼りになる“使える保険”です。
●日常の「うっかり」も補償対象に?火災保険が「使える保険」である2つの理由
火災保険が“使える保険”である理由の一つは、「使っても保険料が上がらない」ことです。自動車保険は一度使うと次の年の保険料が上がってしまいますが、火災保険はそのようなことはありません。建物・家財が全焼して保険金額の上限が支払われた場合を除き、保険期間内であれば何度使っても保険料は上がりません。つまり、上手に使えば使うほどお得な保険であると言えるでしょう。
“使える保険”であるもう一つの理由は、日常の「うっかり」も補償してくれること。
掃除中にものをぶつけて壁に穴があいた、家具の配置替えをするためにテーブルを動かしたら棚に当たって倒れ破損した、子どもが室内でボールを投げて窓ガラスが割れた等、普通の暮らしのなかで起こり得る「うっかり」による事故も、加入している火災保険に「破損・汚損」の補償がついていれば補償されます。この「うっかり」に対する補償は意外と知らなかったという方も多いので、ぜひ自分が加入している火災保険の補償内容を確認してみてください。
不測かつ突発的な事故による損害であれば、たいていのうっかりは補償されますが、損害額が自己負担額以下である場合は保険金が支払われないなど保険会社によって細かく基準が定められていますので、うっかり事故を起こして損害が発生したらすぐに保険会社に確認することをお勧めします。
●被害が出たらまず保険会社に連絡を
自然災害による被害でも、うっかりによる破損でも、損害を長期間放置していた場合、損害の内容によっては経年劣化によるものとみなされて保険金が支払われない場合があります。また、火災保険の請求権は原則3年で時効になると考えられていますが、保険会社がそれより短い請求期限を定めていることがありますので、被害が出たらまず保険会社に連絡することが大切です。補償されるかどうか自分で判断がつかない場合も、とりあえず保険会社に連絡すればきちんと対応してくれます。その際、事故が起きた日時や状況、被害直後の写真などの記録があれば保険会社との話がスムーズに進むでしょう。
いかがでしたでしょうか? 火災保険は暮らしの頼れる保険です。ご自分の暮らしにぴったり合った補償内容に見直し、不必要な補償を外すと保険料がぐっと安くなることがあります。逆に、足りない補償があれば追加して安心をゲットできることも見直しのメリットです。自治体が提供しているハザードマップ等を参考に、現在加入している火災保険の補償内容に過不足がないか一度じっくり確認してみましょう。
●教えてくれた人
【佐藤忍さん】
お金にまつわる色々を分かりやすくお伝えすることをモットーとするファイナンシャルプランナー。お金は天下の回りもの。「稼ぐ」「増やす」「貯める」「使う」チカラをバランスよく身につけて、お金と一生ハッピーな関係を続けていくための情報を発信中。