カトちゃんの妻・綾菜さんが考える、いつか来る別れとその後
45歳差でもラブラブで仲よし。加藤茶さん(以下カトちゃん)綾菜さんご夫婦は、10年たった今は世間からそんな認知をされつつあります。現在32歳の綾菜さんと、78歳のカトちゃん。死はだれにでも平等であるとはいえ、年上の夫が先に逝ってしまう可能性があります。
結婚から10年の間、カトちゃんは過去に大動脈解離やパーキンソン症候群など、大病を繰り返したこともあるそう。そんな夫を見て、妻はいつか来るパートナーとの別れについて、どう思うのでしょう――。
加藤綾菜さん
カトちゃんは2014年にパーキンソン症候群を発症し、当時命の危険を間近で感じたという綾菜さん。大病をしていなくとも、超年の差であればパートナーが先に逝くという現実は考えられるわけですが、ご自身はいつか来る別れについてどのように考えているのか伺いました。
――年齢が45歳離れていることで、この先どれだけ一緒にいられるか、考えたりはされますか?
綾菜さん:正直、想像はしますけど、なるべく考えないようにしています。ポジティブかもしれませんが、知人に若くしてパートナーを亡くした人がいます。歳が離れた夫だから先に死ぬかといったら、同世代にもその可能性はあるわけです。究極、どうなるかは分かりませんから、「先に死んじゃうから寂しい」みたいなことは考えたことはありません。
ただ、カトちゃんからは大病したときに「僕が死んだら再婚して欲しい」って言われました。「一生僕を想って生きてなんて言えないから、再婚して子どもをつくって幸せになってね」って。でも私はそのとき看病に必死で、「なに言ってんの!?」て返しちゃいましたが、後からジワジワと愛を感じますよね。
カトちゃんは普段愛情を言葉では表現しない方ですが、定期的に濃度の濃い言葉をくれるんです。印象に残っているのが「もし来年死ぬってなったら、早く生まれ変わって70代のあやちゃんを見つける」って言葉です。彼ってロマンチストなんですよ。だから私も、現役を少しでも長く続けたいという彼の夢を、サポートしたいって思えるんです。
加藤綾菜さんインスタグラム@katoayana0412より
――なかなか言われる機会のない愛の言葉ですが、だからこそ、カトちゃんの死は具体的に考えないものの、死というテーマについてはお互いがその立場で考え、今できる思いやりを形にしているんですね。
綾菜さん:カトちゃんとは2011年に結婚しましたが、そのきっかけは東日本大震災でした。当時私は飲食店に務めていましたが、地震があり、カトちゃんと連絡もつかないしどうすることもできなくて、アルバイトの子ととりあえずお店で待機していることしかできませんでした。そしたら夜になり、10時間くらいかけてカトちゃんが迎えにきてくれたんです。当時は道路が大渋滞だったのでそのくらい時間がかかったそうなんです。その後2人で10時間かけて帰宅できました。この出来事があり、「なにかあったときも一緒にいられるように結婚しよう」という気持ちがお互い高まり、結婚を決意しました。
――当時震災がきっかけで結婚する人たちが多くいましたが、お2人もいわゆる“絆婚”だったのですね。命を意識し一緒になり、そして今もお互い命の尊さを感じながら結婚生活を続けているんですね。
綾菜さん:そうですね。私はカトちゃんの死は考えないようにしていますが、カトちゃんは仕事でご葬儀会社のCMに出たのをきっかけに、物理的な準備はし始めたようです。私も前に「お葬式ではハゲヅラと眼鏡をつけて、ペッてやってね! 絶対皆が笑えるようなお式にしてね」って言われました(笑)。できれば舞台で死にたいと考える人らしい発想ですし、すてきですよね。
――昨年は介護の資格取得をし、今年からは司法書士の勉強を始めたという綾菜さん。新しい知識の習得は、やはりパートナーのためでしょうか? それとも、ご自身のキャリアなどを考えたりした結果なのでしょうか?
綾菜さん:介護の勉強のきっかけは、カトちゃんが倒れたときになにもできない自分を見て、もっとどっしり構えたいなと思ったからです。まずは『介護職員初任者研修』を受け、せっかくなら自分のお金で学び続けたいと思い、タレントのお仕事でお給料もいただけるようになったので、そのお金で『介護福祉士実務者研修』を取得しました。実習に出た際、私はもともと「カトちゃんのために」という気持ちが強くて動いているんだと思っていましたが、そもそも「人のためになにかする」ということが好きな性格だということに気づけました。
介護を学び、ご近所のおばあちゃんとかとも交流を持つようになり、そのなかで今は法律についても、興味を持つようになりました。
――司法書士はかなり難関資格と言われています。法律について興味を持つところから、なぜゴールを司法書士にしたのでしょう。
綾菜さん:法律に興味を持ったとき、そう言えば中学生時代、弁護士の大平光代さんの本にすごく感化された自分を思い出したんです。
大平光代さんは、もともとひどいいじめにあい、その後16歳で結婚して極道の妻になるのですが、離婚して宅建や司法書士に合格し、その後弁護士になった方です。いじめの描写が「私と境遇が同じだ!」って当時思い、著書をとっていたのを思い出したんです。
それもあり、私も司法書士を勉強してみようかなと思いました。だから司法書士を学ぶとはいえ、資格を取ってこうなりたいとかはなく、まだ自分がなにに向いているか、いろいろ勉強するなかで見い出していこうという段階です。
――20代の結婚からのバッシング。そして30代は夫を支えながら勉強や自分らしさを見いだそうと向き合う綾菜さん。カトちゃんの妻として注目されることも多いですが、40代はどんな女性になっていたいでしょうか。
綾菜さん:今も十分幸せなんですが、40代は「やってきたことが間違いじゃなかったなー」って思える人生だったらいいですね。そのためには、30代はめっちゃ苦労してもよいと思っています。人は年齢を重ねるごとに真価が問われると思うんです。40代からは結果が出てくる頃だと思うので、そのとき胸を張れるような自分でいられたらいいですね。
司法書士を目指していると宣言したとき、「無理だろう」って声もあったのですが、知識をつけたら、自分のなかでまた興味が変わる可能性も十分あると思いつつ取り組んでいます。受かりたいというより、知識をつけ、より自分らしさを見つけられたらいいなと思っています。
<撮影/石川高央 取材・文/おおしまりえ>
1988年生まれ、広島県出身。O型。’11年に加藤茶さんと結婚し、45歳の年の差婚として話題を集め、今年結婚10年目を迎える。「介護食アドバイザー」「介護職員初任者研修」(旧ヘルパー2級)、「生活習慣病予防アドバイザー資格」など、数々の資格を取得、献身的に夫を支える妻として注目を集めている。『加トちゃん・綾菜の笑ってすごせる日めくりカレンダー
』(KADOKAWA)が発売中
結婚から10年の間、カトちゃんは過去に大動脈解離やパーキンソン症候群など、大病を繰り返したこともあるそう。そんな夫を見て、妻はいつか来るパートナーとの別れについて、どう思うのでしょう――。
加藤綾菜さん
加藤綾菜さんが語る、年の差夫婦なら考える、パートナーとのいつか来る別れへの覚悟
カトちゃんは2014年にパーキンソン症候群を発症し、当時命の危険を間近で感じたという綾菜さん。大病をしていなくとも、超年の差であればパートナーが先に逝くという現実は考えられるわけですが、ご自身はいつか来る別れについてどのように考えているのか伺いました。
●年の差があっても、人の死は平等
――年齢が45歳離れていることで、この先どれだけ一緒にいられるか、考えたりはされますか?
綾菜さん:正直、想像はしますけど、なるべく考えないようにしています。ポジティブかもしれませんが、知人に若くしてパートナーを亡くした人がいます。歳が離れた夫だから先に死ぬかといったら、同世代にもその可能性はあるわけです。究極、どうなるかは分かりませんから、「先に死んじゃうから寂しい」みたいなことは考えたことはありません。
ただ、カトちゃんからは大病したときに「僕が死んだら再婚して欲しい」って言われました。「一生僕を想って生きてなんて言えないから、再婚して子どもをつくって幸せになってね」って。でも私はそのとき看病に必死で、「なに言ってんの!?」て返しちゃいましたが、後からジワジワと愛を感じますよね。
カトちゃんは普段愛情を言葉では表現しない方ですが、定期的に濃度の濃い言葉をくれるんです。印象に残っているのが「もし来年死ぬってなったら、早く生まれ変わって70代のあやちゃんを見つける」って言葉です。彼ってロマンチストなんですよ。だから私も、現役を少しでも長く続けたいという彼の夢を、サポートしたいって思えるんです。
加藤綾菜さんインスタグラム@katoayana0412より
――なかなか言われる機会のない愛の言葉ですが、だからこそ、カトちゃんの死は具体的に考えないものの、死というテーマについてはお互いがその立場で考え、今できる思いやりを形にしているんですね。
綾菜さん:カトちゃんとは2011年に結婚しましたが、そのきっかけは東日本大震災でした。当時私は飲食店に務めていましたが、地震があり、カトちゃんと連絡もつかないしどうすることもできなくて、アルバイトの子ととりあえずお店で待機していることしかできませんでした。そしたら夜になり、10時間くらいかけてカトちゃんが迎えにきてくれたんです。当時は道路が大渋滞だったのでそのくらい時間がかかったそうなんです。その後2人で10時間かけて帰宅できました。この出来事があり、「なにかあったときも一緒にいられるように結婚しよう」という気持ちがお互い高まり、結婚を決意しました。
――当時震災がきっかけで結婚する人たちが多くいましたが、お2人もいわゆる“絆婚”だったのですね。命を意識し一緒になり、そして今もお互い命の尊さを感じながら結婚生活を続けているんですね。
綾菜さん:そうですね。私はカトちゃんの死は考えないようにしていますが、カトちゃんは仕事でご葬儀会社のCMに出たのをきっかけに、物理的な準備はし始めたようです。私も前に「お葬式ではハゲヅラと眼鏡をつけて、ペッてやってね! 絶対皆が笑えるようなお式にしてね」って言われました(笑)。できれば舞台で死にたいと考える人らしい発想ですし、すてきですよね。
●介護に法律、勉強は自分らしさを見いだすため
――昨年は介護の資格取得をし、今年からは司法書士の勉強を始めたという綾菜さん。新しい知識の習得は、やはりパートナーのためでしょうか? それとも、ご自身のキャリアなどを考えたりした結果なのでしょうか?
綾菜さん:介護の勉強のきっかけは、カトちゃんが倒れたときになにもできない自分を見て、もっとどっしり構えたいなと思ったからです。まずは『介護職員初任者研修』を受け、せっかくなら自分のお金で学び続けたいと思い、タレントのお仕事でお給料もいただけるようになったので、そのお金で『介護福祉士実務者研修』を取得しました。実習に出た際、私はもともと「カトちゃんのために」という気持ちが強くて動いているんだと思っていましたが、そもそも「人のためになにかする」ということが好きな性格だということに気づけました。
介護を学び、ご近所のおばあちゃんとかとも交流を持つようになり、そのなかで今は法律についても、興味を持つようになりました。
――司法書士はかなり難関資格と言われています。法律について興味を持つところから、なぜゴールを司法書士にしたのでしょう。
綾菜さん:法律に興味を持ったとき、そう言えば中学生時代、弁護士の大平光代さんの本にすごく感化された自分を思い出したんです。
大平光代さんは、もともとひどいいじめにあい、その後16歳で結婚して極道の妻になるのですが、離婚して宅建や司法書士に合格し、その後弁護士になった方です。いじめの描写が「私と境遇が同じだ!」って当時思い、著書をとっていたのを思い出したんです。
それもあり、私も司法書士を勉強してみようかなと思いました。だから司法書士を学ぶとはいえ、資格を取ってこうなりたいとかはなく、まだ自分がなにに向いているか、いろいろ勉強するなかで見い出していこうという段階です。
●やってきたことを誇れる40代になるのが目標
――20代の結婚からのバッシング。そして30代は夫を支えながら勉強や自分らしさを見いだそうと向き合う綾菜さん。カトちゃんの妻として注目されることも多いですが、40代はどんな女性になっていたいでしょうか。
綾菜さん:今も十分幸せなんですが、40代は「やってきたことが間違いじゃなかったなー」って思える人生だったらいいですね。そのためには、30代はめっちゃ苦労してもよいと思っています。人は年齢を重ねるごとに真価が問われると思うんです。40代からは結果が出てくる頃だと思うので、そのとき胸を張れるような自分でいられたらいいですね。
司法書士を目指していると宣言したとき、「無理だろう」って声もあったのですが、知識をつけたら、自分のなかでまた興味が変わる可能性も十分あると思いつつ取り組んでいます。受かりたいというより、知識をつけ、より自分らしさを見つけられたらいいなと思っています。
<撮影/石川高央 取材・文/おおしまりえ>
【加藤綾菜さん】
1988年生まれ、広島県出身。O型。’11年に加藤茶さんと結婚し、45歳の年の差婚として話題を集め、今年結婚10年目を迎える。「介護食アドバイザー」「介護職員初任者研修」(旧ヘルパー2級)、「生活習慣病予防アドバイザー資格」など、数々の資格を取得、献身的に夫を支える妻として注目を集めている。『加トちゃん・綾菜の笑ってすごせる日めくりカレンダー
』(KADOKAWA)が発売中