コロナで海外旅行に行けない今、旅行ジャーナリスト小野アムスデン道子さんが、世界を旅するなかで出合ったユニークなお茶時間の過ごし方と、家でも海外旅行気分に浸れるお菓子などを紹介します。今回は、香港で出合った、奥深い中国茶の楽しみ方をお届けします。


香港で出会った奥深い中国茶の楽しみ方

香港式・中国茶の楽しみ方



日本で中国茶を飲むといえば、中華料理店での食事の際にウーロン(烏龍)茶やジャスミン茶をオーダーすることが多いと思います。


でもじつは、中国茶には非常にたくさんの種類があり、味や成分も異なります。お茶を目的に合わせて選び、一煎ではなく何煎も入れて、その味の変化を楽しむなんてことも!

●何度も味わえる中国茶の魅力




以前に香港大学の大学美術博物館の中にあったティーハウス(博寮茶座)で、お茶の種類に合わせての楽しみ方を知りました。中国茶は、発酵の度合いで緑茶、白茶、黄茶、青茶、紅茶、黒茶と6色に大別されます。緑茶は不発酵ですが、日本では蒸気で蒸して発酵を止めるのに対して、中国では炒って止めます。


ここでは、まず緑茶の西湖瀧井を飲みましたが、日本茶よりシャープで、カフェインを多く含み、飲むと気分もすっきりとします。1、2煎目は1〜2分、3煎目は3分間でフタをせずに味わいます。花の香りがとてもいいジャスミン(茉莉花)茶も緑茶を用いることが多いのですが、5煎入れて、香りの変化を楽しむのがなんとも優雅でした。


次に試したのは黒茶の雲南普洱(プーアル)茶で、加熱で酸化発酵を止めたあとに麹菌によって再発酵させたもの。ミネラルが多く含まれていて、整腸作用や脂肪の分解を促進することでダイエット茶として知られています。食事のあとに飲むとすっきりした感じがします。これはなんと7煎も楽しめて、どんどん味や香りが変っていくのですが、一杯の量は少ないので、お茶を味わうことに集中できます。

このティーハウスは残念ながら閉店してしまったのですが、このような中国茶をいろいろ味わう茶芸館は、香港公園にある「楽茶軒 LockCha」など香港のあちこちにあります。日本でも中国茶は手に入りますし、お茶に合わせた飲み方で、一煎だけでなくじっくり楽しんでみてください。

●茶瞑想も流行中



また、今、香港ではこのお茶の深い味わい方にフォーカスする茶瞑想も流行中なのだとか。定期的に瞑想茶会を開いているSpiral Spacesというコミュニティもあるそう。確かに身体によいだけでなく、気持ちも落ち着いてよさそうです。


摩天楼を一望するビクトリアハーバーの眺めがきらびやかな香港のイメージですが、毎日飲むお茶や食べ物に対する医食同源のウェルネスへの考え方も香港らしい魅力。ぜひ、取り入れたいですね。

<取材協力/香港政府観光局 取材・撮影・文/小野アムスデン道子>