リモートワークや動画配信サービスの発展に伴い、国際インターネット接続は現代社会において欠かせないものとなっています。そんな国際インターネット接続の状況を視覚的にまとめたインフォグラフィック「Global Internet Map Map」を、電気通信調査会社のTelegeographyが公開しています。

Global Internet Map Map 2021

https://global-internet-map-2021.telegeography.com/

インフォグラフィックの上部に表示されているのは、大都市間の国際インターネット接続における帯域幅を示した地図です。



地図は地域ごとに分けられており、左上の緑色がアジア、その下にある青色がオセアニア、中央にあるオレンジ色がヨーロッパで……



水色が北米、赤色が中南米、ピンク色が中東、黄色がアフリカを示しています。円の大きさは、その地域の国際インターネット接続の帯域幅を表しており、国境を越えて各都市を結ぶ線は少なくとも5Gbps以上の帯域幅があるルートを表しています。なお、このデータは2020年半ばのものであり、国際インターネット接続サービスを提供するプロバイダーの情報に基づいているため、プライベートなネットワークが所有するルートは含まれていません。



アジアにおける国際インターネット接続の帯域幅は14万8214Gbpsであり、シンガポール・ジャカルタ・チェンナイ・ムンバイ・ハノイ・香港・北京・ソウル・東京といった都市が大きな帯域幅を有しています。アジアの帯域幅は56%がアジア内の通信で接続されており、残りの44%がその他の地域と接続されているとのこと。



オセアニアの帯域幅は7681Gbpsであり、同じオセアニアの国々と接続されているのは22%。残りは北米やアジアと接続されています。最も大きな帯域幅のルートを有しているのはシドニーです。



北米(アメリカ・カナダ)の帯域幅は13万703Gbpsであり、そのうちアメリカ・カナダ間で接続されている帯域幅は9%ほど。残りは中南米やヨーロッパ、アジア、オセアニアなど他の地域と接続されています。ニューヨーク・ロサンゼルス・サンフランシスコ・マイアミといった都市が特に大きな帯域幅のルートを有しています。



中南米の帯域幅は6万9358Gbpsであり、20%が地域内で接続されています。インフォグラフィックによると、中南米が接続しているルートはほぼ全てが北米であり、特にマイアミとのルートが太いことがわかります。中南米で大きな帯域幅のルートを有するのは、メキシコシティ・サンティエゴ・ブエノスアイレス・サンパウロ・リオデジャネイロといった都市です。



最も大きな円を持つのがヨーロッパであり、帯域幅は40万216Gbps。そのうち75%がヨーロッパ内で接続されており、残りの25%が北米・アフリカ・中東・アジアなどと接続されています。特に大きな帯域幅のルートを持つのが、フランクフルト・パリ・ロンドン・アムステルダムです。



アフリカの帯域幅は1万7729Gbpsであり、地域内での接続が占める割合は16%。ヨーロッパとの通信ルートが大半を占めており、わずかに中東との通信ルートも存在しています。主要なルートを持つのはラバト・アルジェ・アレクサンドリア・ラゴス・ヨハネスブルク・ケープタウンなど。



中東の帯域幅は4万6008Gbpsですが、地域内の接続はわずか8%しかありません。アフリカからは主にイスタンブールを起点としてヨーロッパに接続しているほか、ドバイ・リビア・ジッダなどがアジアや北米とのルートを有しています。



地域ごとにデータ通信可能な帯域幅が2016〜2020年でどれほど増加したのかを示したグラフがこれ。ヨーロッパ(オレンジ色)が急速に増加しているほか、アジア(緑色)や北米(水色)でも2016年と比較すると帯域幅が2倍近くに増強されていることがわかります。



実際のデータ通信量も2016〜2020年にかけて年間30%の割合で増加し続けており、2016年と比較すると2020年は2倍以上になっているとのこと。



また、10ギガビット・イーサネットにおけるIPトランジット料金を1Mbps当たりの平均で示した地図がこれ。北米やヨーロッパでは0.25ドル(約26円)〜0.42ドル(約45円)であるのに対し、日本では1.44ドル(約153円)、ヨハネスブルクでは2.5ドル(約266円)、シドニーでは3.5ドル(約372円)、ムンバイでは5ドル(約532円)となっています。



2017〜2020年にかけて、10ギガビット・イーサネットにおける1Mbps当たりのIPトランジット料金がどう変化したのかを示したグラフがこれ。いずれの地域でも価格は減少あるいは横ばい傾向であり、ヨハネスブルクやシドニー、サンパウロでは特に急激な価格低下が起きていることがわかります。特にヨハネスブルクでは、2017年には14ドル(約1490円)近かったにもかかわらず、2020年には2.5ドルになっています。



国家間の通信を交換する相互接続ポイントであるインターネットエクスチェンジの数を国ごとに示した地図を見ると、アメリカの120個が際だって多く、続いてブラジル・アルゼンチン・ロシア・オーストラリア・インド・ドイツ・カナダ・フランスと続いていました。