キャッチボールする楽天・田中将大【写真:宮脇広久】

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「プロの世界で生きていくための基礎を全て教えていただいた」

 南海(現ソフトバンク)、ヤクルト、阪神、楽天で監督を務めた野村克也氏が虚血性心不全で死去してから11日でちょうど1年。教え子の1人である楽天・田中将大投手は沖縄・金武キャンプで報道陣の取材に応じ、亡きノムさんへの思いを語った。

 恩師・野村監督の死去から1年。田中将はいまだにその事実を信じられないようだ。

「僕にとってプロのキャリアを始めたときの最初の監督。プロの世界で生きていくための基礎を全て教えていただいた。自分の中では特別です。チームの監督という立場を離れられてもテレビでのインタビュー、対談の企画でお話をさせてもらったり。不定期ではありましたけど、自分の中では楽しみにしていた」

「(死去は)突然のような気がして。あまり実感がないというか、そういう気持ちですね。毎年オフに克則コーチとも会って、一緒にゴルフしている時に『監督は元気ですか?』と、いつもお話はしていたんですけど、なんか……。繰り返しになりますが、信じられない気持ちですね」

 野村監督から受けた数々の教えは今も胸に刻まれているようだ。

「投球に関して言えば、原点の外角低めにいつでも投げられるように練習しておけ、投球は力じゃないバランスだ、コントロールが大事だ、といつも教えていただいた。最初の頃は力任せに投げていた部分はあったんですけど、コントロール、バランスを意識するようになって、そこから一皮むけたというか良くなった実感があった。そこはずっと大事にやってますね」

 14年からヤンキースでプレーし、今季8年ぶりに楽天に復帰した。「こういうタイミングで戻ってきて、(野村監督は)なんて言ってくれるんだろうなと思ってました」と話し、ノムさんへの誓いの言葉を口にした。

「とにかく恥ずかしくない姿を。結果のいい悪いは運とかもあって、そこはコントロールすることは出来ないが、自分のやることをやって。最後までチームのために戦い続ける姿勢は自分自身でコントロールできることだと思う。そういう姿を見ていただけたらと思います」

 9日にキャンプ合流後2度目のブルペン入り。変化球を交えて54球を投げ込み、翌10日は休日。これまで別メニューで調整していたが、この日から全体練習に参加した。亡き恩人への思いを胸に、日本球界復帰イヤーに力を注ぐ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)