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 元関脇・貴闘力氏が11日に自身の公式ユーチューブチャンネルに投稿した動画に、新型コロナウイルスへの恐怖心を理由に9日に現役を引退した元序二段・琴貫鐵氏がゲスト出演。引退まで所属した佐渡ヶ嶽部屋の師匠・佐渡ヶ嶽親方からの“冷遇”を暴露した。

 10日に貴闘力氏が投稿したユーチューブ動画で初出演し、今回が2本目の登場となる琴貫鐵氏。今回の動画では入門して初土俵を踏んだ2013年3月場所から引退した9日まで約8年過ごした佐渡ヶ嶽部屋での力士生活の中で、佐渡ヶ嶽親方から数々の冷遇を受けていたことを明かした。

 9日に自身の公式ツイッターに「今日を持って引退することになりました」と、日本相撲協会に引退を申し出て、受理されたことを明かした琴貫鐵氏。同日には断髪式も行ったというが、佐渡ヶ嶽親方は「(引退が正式に)決まり次第(早く)出ていけ」、「断髪式が終わったら、早く準備して早く出ていきなさい」と要求。そのため、琴貫鐵氏は引退後の仕事や住居を決める間もないまま部屋を追われることになったという。

 約8年前に入門する際に、佐渡ヶ嶽親方からは「中卒で入っても大丈夫なようにしておくから安心して入ってこい」と引退後、路頭に迷わないよう仕事を工面すると伝えられていたという。しかし引退決断後、親方は次の仕事を見つけてくれることはなかったといい、自身より前に辞めた他の力士にも仕事を探しているような様子は全く見られなかったという。

 また、琴貫鐵氏によると入門前の親方は非常に優しい態度だったというが、いざ入門すると自身を含めた若手力士はほったらかしで、部屋の兄弟子にほとんどの指導を任せているような状況だったとのこと。さらに、怪我をした際の治療費も自己負担だったため場所ごとに7万〜10万円程度(序ノ口は7万円、序二段は8万円、三段目は10万円)の場所手当ではまかないきれず、母親に工面してもらうこともしばしばだったという。

 そんな状況の中、日本、そして世界で新型コロナの感染が拡大したことを受け、「これでコロナになって入院するってなった時に、また母親に工面してもらわなきゃいけないんじゃないか。それで母に迷惑をかけるんじゃないか」という考えに至ったことが引退決断の理由だったという琴貫鐵氏。「これからも何人も辞めると聞いています」と、自身以外にも複数の力士が佐渡ヶ嶽部屋を去る方向で動いていると語っていた。

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 今回の動画を受け、ネット上には「ここまで冷たく扱うのは酷い、親方は弟子のことをカネを運んできてくれる奴隷としか思ってないんだろうな」、「入門時と引退時で言ってることが違いすぎる、騙したと言われても仕方ないのでは」、「ニュースによると琴貫鐵さんは心臓に疾患があったらしいし、佐渡ヶ嶽親方はもう少し寄り添ってあげるべきだったのではないか」といった反応が多数寄せられている。

 一方、「自分から『コロナが怖い』ってゴネて辞めたんだから、出ていけと言われるのも当然では」、「自分のことばかり言ってるから本当に冷遇なのか分からない、他の部屋も同じような感じなら単なるわがままでしかない」、「相当な不満があったことは分かるが、こうも話題を集めると次の仕事探しにも悪影響が出てくるのではないか」といった苦言や批判のコメントも複数見受けられた。

 「今回の動画で琴貫鐵氏は自身と同じような立ち位置の同部屋力士や他の部屋との比較については語っていないので、佐渡ヶ嶽部屋の指導体制に問題があるのか、それとも琴貫鐵氏が単にわがままなだけなのかは分かりません。ただ、昨今は減少の一途をたどる新弟子を1人でも多く確保しようとサポート体制を整える部屋も増えてきており、荒汐部屋や時津風部屋などは高卒認定をはじめとした各資格・免許の取得援助や、後援会と協力した引退後の就職あっせんなどを約束すると公式サイト上に掲載しています。もしかしたら琴貫鐵氏はこうした部屋の力士と話すうちに、佐渡ヶ嶽部屋の指導体制はおかしいと判断したのかもしれません」(相撲ライター)

 琴貫鐵氏の暴露に対し現在(12日午後5時半)までに佐渡ヶ嶽親方が何らかのコメントをしたとは特に伝えられていないが、今後反論することはあるのだろうか。

文 / 柴田雅人

記事内の引用について
貴闘力氏の公式ユーチューブチャンネルより
https://www.youtube.com/channel/UCNxyWUfEIBTV4I1C9E4OyCg
琴貫鐵氏の公式ツイッターより
https://twitter.com/miyakuradaisuke