早老症の病気「プロジェリア」と闘う女性(画像は『Clàudia Amaral 2020年10月21日付Instagram「Brunch Time」』のスクリーンショット)

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先天的遺伝子異常を原因とする早老症のひとつ「ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(通称プロジェリア)」の患者は、平均寿命が14歳と言われる。このたびその寿命を8歳も上回り、最近22歳を迎えたばかりのプロジェリアの女性が、『Born Different』などのインタビューに応じ、自身の病気について語った。

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早老症のひとつである「ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(通称プロジェリア)」の患者は、小さな顎や尖った鼻、皺のある顔など特徴的な容貌で知られる。また脱毛により頭髪やまつ毛がなく、背が低く、股関節脱臼や関節のこわばりなどの症状に苦しむことが多い。

ポルトガル北部ヴィゼウ県に住むクラウディア・アマラルさん(Clàudia Amaral、22)もプロジェリアを患う1人で、両親が娘の異常に気付いたのは生後4か月の時だった。

クラウディアさんは当時、体重減少や脱毛、皮膚の脱色などが見られ、病院で検査をして1週間後にはプロジェリアと診断された。プロジェリアは先天的遺伝子異常で、プロジェリンと呼ばれる変異タンパク質が細胞内に蓄積されることで起こる。アメリカの非営利団体「プロジェリア研究財団(Progeria Research Foundation)」によると、典型的なプロジェリアの患者は2歳くらいまでに発症し、約8〜10倍の速さで老化が進行するそうで、動脈硬化による心疾患や脳血管障害で死亡することが多いという。

生後4か月という早い段階で“致死的”な病気と宣告を受けた娘について、クラウディアさんの母クリスティーナさんは次のように語った。

「娘はまだ22歳ですが、診断を受けてからはどんどん老化が進んでおり、現在は150歳くらいの人と同じなのではと思います。娘自身は病気について理解し、この病気が死と隣り合わせであることを十分承知していますが、私はそんな現実を受け入れることはできません。」

「ただ娘は『どこからそんな強さが湧いてくるの?』というくらい、とても強いのです。あの子はファイターです。きっとプロジェリアという病気があの子を強くさせたのでしょうね…。」

ちなみにクラウディアさんのことを「とても強く、冷静」と語るのは母親だけではない。クラウディアさんが「私の家族のようで、いつも私をサポートしてくれる一番の理解者」と語る学生時代からの友人らも、「彼女は一瞬一瞬を大切に生きている。私たちよりもずっとしっかりとした人生観を持っていますよ」と笑う。

そんなしっかり者のクラウディアさんは、コロナ禍で家にいる機会が増えたことをきっかけにTikTokのアカウントを開設しており、フォロワー数は160万人にもなる。「最初は冗談で始めたけど、はまってしまった」というクラウディアさんは「プロジェリアという病気を抱える自分を、他の人はどう見ているのか、やはり気になるのです」と明かすと、こう続けた。

「TikTokでは踊ったりすることで自分の素の姿を晒しています。そして最近は『あなたはとっても素敵よ。プロジェリアに負けないで、輝き続けて!』などポジティブなコメントが舞い込むようになりました。それはとても嬉しいことです。」

「ただ、プロジェリアのような珍しい病気がオープンに語られることは滅多にありません。だから『こいつは、何にも食べてないんじゃないか』とか『粘土人形みたいだ』とか『エイリアンだろ』とか、そんなコメントをする人がいるのも事実です。多くの人はプロジェリアについて全くと言っていいほど知らないのです。」

「私は多くの人にこの病気について知ってもらって、プロジェリアへの偏見をなくしたいのです。私を外見で判断して欲しくはないのです。だってこの病気と闘うのは決して楽ではないのですから。」

しかしクラウディアさんにとって嬉しいニュースもあるようだ。アメリカ食品医薬品局(FDA)は今月中旬、クラウディアさんが服用している「ロナファルニブ(ゾキンビィ)」を、プロジェリアの治療薬として初承認したのだ。

クラウディアさんはこのニュースを自身のInstagramで伝えており、「ここまでの道のりは長かった。だって全ては2007年に始まったのですから。そして私のような患者で治験をし、最高の結果が得られたのです…。本当にありがとう」と綴っている。そして最後に、プロジェリアとの“闘い”についてこう語っている。

「私には重い心疾患があり、ほかにもいくつもの問題を抱えています。いつどうかなってしまっても不思議ではありませんが、私が今まで生き抜いてこられたのは老化を遅らせると言われるこの薬のおかげだと思っています。」

「私は22歳。プロジェリアの平均寿命の14歳をすでに超えています。だからこの病気とどこまでも闘って、できるだけ長生きしたいと思っています。私にできることは日々を大切に生きることです。だって私たちには明日はないかもしれないのですから。」

画像は『Clàudia Amaral 2020年10月21日付Instagram「Brunch Time」、2020年6月15日付Instagram「Prioritize your peace」、2020年6月16日付Instagram「We need to live life as if there was no tomorrow」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)