コロナ時代を生き抜くヒント。40・50代が武器にすべき技術/山本一郎

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新型コロナウイルスの影響で働き方は一変。職を失えば当然、多くの人は転職を考えなければならない。しかし、良くも悪くもコロナ禍で極端に需要が左右されてしまう現在、過酷な状況に陥ってしまった40・50代の会社員たちが生き残りのために必要な心構えとは何か。経済事情に詳しい作家で投資家の山本一郎氏に話を聞いた。

◆これから転職活動をする人は長期戦を覚悟すべし

「農業系作業員や介護職などもそうですが、コロナ前は『未経験者でもいいから』となり手を探していた業界にも求職者が続出しています。1.6倍だった求人倍率が1.1倍以下に下がったような状況もあるので、これから転職活動をする人は本当に長期戦を覚悟しなければなりません。

 コロナ禍によって需要が急増した業界では、手に職がある経験者で引く手あまたということも確かにありますが、まったくの未経験者が新たに資格やスキルの取得などを目指すのはあまり現実的ではないでしょう。それよりはむしろ、健康に気を使って、支出を抑える生活防衛策をとりながら、タイミングを待つ。そして、自分がこれまでどんな仕事に貢献してきて、どういったスキルや経験を身につけてきたのか、棚卸しをして次の職場で売りになる力を見繕っていくことが大切です」

◆活躍するには“段取り力”が必須

 需要が激しく変化し、多くの企業や業界で、新しいビジネスへの対応と模索が現在進行形で続いている。そのなかで、特に山本氏が活躍しやすい人の必須能力として挙げるのが、着実に仕事を期限までに仕上げる“段取り力”だ。

「部下にきちんとタスクを分配し、さまざまな状況を先回りしながら、進捗を管理して目標を達成する。その力は、どんな業界でも応用が利きます。結局、本来の管理職に求められる力なのですが、部署や職種ごとの縦割りで特定の業務でしかワークできない人に比べ、入り口から出口まで一気通貫でマネジメントできる人は常に求められるんです。そういう意味ではコロナ禍の影響が大きい小売業界でも、仕入れから販売まで全て経験してきたような人は転職でも強く、異業種に移ってもハマりやすいと言えるでしょう」

 リモートワークなど働き方も変化し、40・50代のマネジメント能力が何かとやり玉に挙げられがちだ。だが管理職の基本的な素質として応用の利く段取り力が認められれば、勝ち組企業やその周辺に横滑りできる可能性もある。

「『リモートワークで部下が少しサボっていたとしても、与えられた仕事でしっかり成果を上げてくれればいい』と割り切る。いろんな働き方をしている人たちと一緒になって仕事を進められる人でなければ、これからの管理職は務まらないかもしれません。

 自分のいる業界が全体的に落ち込む中でも、トップ企業は引き続きトップであり続け、今後は多くの業界でそうした上位企業への集約が進んでいくことも考えられる。実際にリモートワークで伸びた企業はそうしたマネジメントを徹底し、成果をきちんと認めるような文化を持つ企業が多いんです」

 将来の見通しを立てにくいからこそ、特定のスキルや資格に飛びついてはいけない。段取り力などこれまでの仕事で培った経験や能力を見つめ直すことが大切だ。

【山本一郎氏】
情報法制研究所事務局長および上席研究員として、さまざまな社会調査を行う。舌鋒鋭いコラムやブログも人気。投資家としての肩書も持ち、『ズレずに生き抜く』(文藝春秋)など著書多数。

<取材・文/週刊SPA!編集部>

―[生き残れない仕事]―