廃墟でありながらロマンたっぷりの美しいドイツ・ハイデルベルク城を訪ねて
南ドイツ観光の定番として、日本人からの人気も高い町ハイデルベルク。歴史を称える風光明媚な町並みはまるで絵画のように美しく、多くの人を魅了してやみません。
またハイデルベルクは、ドイツ最古の大学である「ハイデルベルク大学」がある学生の町としても知られています。ドイツ国内のみならず世界中から学生が集まり、町は若者のエネルギーに満ち溢れています。
そんなハイデルベルクの旧市街を見下ろすようにそびえているのが、今回紹介するハイデルベルク城。17世紀にルイ14世率いるフランス軍に破壊されてからは一部を除いてほぼ廃墟となっていますが、それでいてどこかロマンが感じられるの場所です。
町のシンボルとして無くてはならない存在であり、昔も今も訪れる人々に感銘を与え続けています。
ハイデルベルク城が建設されたのは13世紀はじめ。プファルツ選帝侯がまだライン宮中伯だったときに居城を構えたのが始まりで、14世紀にプファルツ選帝侯となってからは数世紀にわたり増築や破壊、再建をくり返してきました。
息をのむほどの壮麗な建築群は、アルプス以北にあるルネサンス建築におけるもっとも重要な建造物のひとつ。建物にはネッカー渓谷の赤色を帯びた砂岩が使用され、独特の深みが感じられます。
城の正面に堂々と立っているのは「フリードリヒ館」。壁に誇らしげに飾られているのは、歴代プファルツ選帝侯たちの像です。
フリードリヒ館に向かって右にある建物は、16世紀後半に建設された「オットーハインリヒ館」。上階部分はファサードしか残っていませんが、それでもかなりの存在感です。
建物の1階部分には「ドイツ薬事博物館」が入っていて、薬の歴史が学べます。材料や薬の保存に使われていた美しい容器の展示も多く、薬に興味のない方でも楽しめますよ。
そしてハイデルベルク城で外せない見どころのひとつであるのが、この巨大なワイン樽。代を追うごとに大きくなり、現在の樽は容量が21万リットル以上もあるのだそうです。実際に樽の上に上ることもでき、その巨大さが肌で感じられます。
樽の正面にいるのは、道化師のペルケオ。選帝侯によりワイン樽の監視を命じられていた人物で、本人も大の酒飲みだったという伝説が残されています。
大樽を見た後は、お城のテラスからハイデルベルクの旧市街を眺めてみましょう。ネッカー川のほとりに佇む風光明媚な町並みは、いつまで見ていても飽きません。対岸の山の中腹には「哲学の道」があり、ここからは旧市街とお城をセットで見られるので覚えておくと便利ですよ。
時間に余裕があるのであれば、広い庭園を散策するのもおすすめ。緑あふれる庭園は市民の憩いの場となっていて、暖かくなるとピクニックをしている家族や学生グループの姿が見られます。
多くの詩人や芸術家を魅了してきたハイデルベルク。庭園には、そのなかの一人であるゲーテの記念碑も置かれています。
庭園の端には「シェッフェルテラス」というテラスがあり、本来はここにも城館が建てられる予定でした。ここからの眺望がまた素晴らしく、さきほどまでいたお城と旧市街をセットで楽しむ事ができます。少し歩く必要がありますが、ぜひ訪れてみてください。
ハイデルベルクのシンボルとして、時代を通じて人々に慕われ続けているハイデルベルク城。破壊や再建をくり返してきた城は、彼が辿ってきた歴史をロマンたっぷりに語りかけてくれます。
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