ゲイリー・ペイトン2世【写真:AP】

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昨季最優秀新人賞候補トレイ・ヤングを“完封”

 米プロバスケットボール(NBA)のウィザーズ・八村塁は10日(日本時間11日)の本拠地ホークス戦を鼠径部打撲により13戦連続欠場。主力の多くを負傷で欠くウィザーズだが、この日はデイビス・ベルターンズが復帰。勝率リーグ最下位に沈む相手を111-101で下し、大敗(89-123)を喫した8日のマジック戦からの立て直しに成功。13勝目を挙げた。

 ホークスのエース、トレイ・ヤングを止めたのは、ゲイリー・ペイトン2世だった。スティールやディフレクションをマークするなど、序盤からエンジン全開だったペイトン。第1クォーター(Q)だけで2つの豪快なダンクを含む9得点、2リバウンド、1アシスト、1スティールと大車輪の活躍を見せた。

 この試合でペイトンが与えられたミッションは、ヤングをガードすること。ヤングは昨季、ルカ・ドンチッチと最優秀新人賞を最後まで争った逸材で、今季はここまで1試合平均得点数でリーグ4位につける、リーグ屈指のスコアラーだ。ペイトンはその役割をほぼ完ぺきに遂行。ヤングは第3Q終了時点までで、ペイトンがコートにいない、合計1分53秒間で5点を決めたのに対し、ペイトンがコートにいた、合計19分42秒間で10点しか決められなかった。

 ホークスのロイド・ピアースHCもこの守備力を手放しで称賛。「ディフェンス面で素晴らしかった。とても活発だったし、第1Qではとんでもないパフォーマンスを見せた」とヤングに自由を与えず、ウィザーズが一時15点のリードを奪った第1Qで、ペイトンの存在感が際立っていたと語った。

“完封”されたヤング本人もペイトンを評価「素晴らしいディフェンダー」

 この試合前の時点で1試合平均29.2点をマークしていたヤングだが、この試合では本来のプレーをさせてもらえず。7本放った3Pは全て失敗に終わった。試合後にペイトンのディフェンスについて聞かれたヤングは「ゲイリー(・ペイトン)は非常に優れたディフェンダー」と評価しながらも、「多くのショットは自分のミスだ」と決めるべきところで決められなかった自らのパフォーマンスを反省した。

 ヤングを相手に1スティールを記録したペイトンは、ディフレクションもチームトップの3をマーク。これで今季ここまで1試合平均4.5ディフレクションとし、10試合以上出場した選手の中では、ペリカンズのドリュー・ホリデーと並んでリーグトップに立った。

 ペイトンの父親は、主に90年代にスーパーソニックス(現サンダー)で一時代を築いたPGのゲイリー・ペイトン。相手選手を、グローブが野球ボールを持っているように抑えたことから“ザ・グローブ”の異名持ち、最優秀守備選手賞やスティール王をはじめ、数々の栄誉を手にした“守備の達人”だった。この試合のパフォーマンスからもわかるように、現在ウィザーズの守備を支えるペイトンに、そのDNAはしっかりと受け継がれているようだ。

 トレイ・ヤング対策について「みんなが素晴らしい働きをした」と話したペイトン。トラッシュトークは父親から受け継いでいないようだが、2020年を3勝3敗でスタートさせたウィザーズにおいて、その存在感は日に日に増してきている。(THE ANSWER編集部・土屋 一平 / Ippei Tsuchiya)