「誰でもサンタに」千葉市の企画が大成功 養護施設のプレゼント「Amazonリスト」で募集...実施の狙いを聞いた
児童養護施設や乳児院の子どもたちにクリスマスプレゼントを――
千葉市が始めたこんな取り組みがツイッターで話題になっている。
注目されているのは、そのプレゼントの方法。市が提示する「Amazonほしい物リスト」から、各施設が欲しい品物を選択して寄付する流れになっている。その名も「サンタクロース大作戦」だ。
施設ごとに欲しいものが書いてある(千葉市公式サイトより)
千葉市の公式サイトにはアマゾンへのリンクと、欲しい物に関する施設からのコメントが掲載されている。例えば「図鑑」であれば、
「児童の興味関心を図鑑で深めてあげたいと思っています」
というような具合だ。
必要数が購入されたものはリストから消え、予定より多すぎる量が施設に届くことはない。本当に欲しいものを必要な分だけあげることができる画期的なシステムだ。
千葉市の取り組みは2019年12月15日、あるユーザーがツイッターで投稿したことで話題になった。ほかのユーザーからは、
「これは良いアイデア。手間が無いので寄付のハードルを下げてくれるし、必要なものだけを過不足なく寄付できるし」
「千葉県縁もゆかりもないけれど、少しずつ子供達や地域や、社会に貢献していきたいなあときっかけいただきました◎」
「買おうと思ったら終わってたみたいで残念 他の行政もやってほしいな」
との声が寄せられている。公式サイトによれば、「サンタクロース大作戦」を開始して短時間のうちに、すべての品物がプレゼントされたという。
Jタウンネットは12月17日、千葉市こども家庭支援課の担当者に詳しい話を聞いた。
わずか3日で受付終了!
千葉市の公式サイトによると、千葉市内の児童養護施設や乳児院、母子生活支援施設では、約200人の子どもたちが暮らしている。
市からも社会福祉基金から生活用品等を寄贈しているが、運動用品や娯楽用品まで行き届かないのが実情であるため、クリスマスプレゼントとして寄付を募った。プレゼント方法については、千葉市動物公園や災害時に「Amazonほしい物リスト」を活用して物品の寄付を募るという先例を参考にしたと、担当者は話している。
寄付は12月13日に公式サイトなどで公表。14日には熊谷俊人市長も自身のツイッターで該当ページを紹介している。担当者によれば、15日午後にはすべての品物がプレゼントされたことが確認された。
児童養護施設などには、これまでにも市から物品を贈ることや、ふるさと応援寄附金のメニューの1つとして金銭の寄付を募ることはあった。しかしクリスマスプレゼントとしての寄付や、物品の寄付を市民から募るのは今回が初めてだという。
一般的に、こういった寄付は金銭の方が使い道を自由に決められるという声もあるが、「ほしい物リスト」のメリットとしては何があるだろうか。
「何が欲しいのかというのが明確ですし、公式サイトでは各施設のPRを載せており、こういった事情で物品が必要ですというのを示してもらっています。寄付する側としても、目に見えて分かりやすいという効果があるのかなと思います」(こども家庭支援課担当者)
プレゼントは玩具だけではない(千葉市公式サイトより)
公式サイトでは、欲しい品物、それを使って遊ぶ子どもの様子、なぜそれが必要なのかが掲載され、寄付した品物がどのように使われるのかが想像しやすくなっている。
品物は玩具に限らず、災害時用の「液体ミルク」、ゆりかごの役目をしてくれる「バウンサー」など、子育て経験者でなければ想像しがたいようなアイテムも入っている。
リストでは「価格」を考慮
児童養護施設などへのクリスマスプレゼントとして「Amazonほしい物リスト」を使用するのは今回が初めてだったが、リストを作る際にはこんなことを考慮したようだ。
「寄付する側の立場になって物品等を選択しなきゃいけないというのは難しい所だと思いました。ちょっと高価なものをお願いするという選択肢もあったんですけど、それだと寄付していただけるか分からないので、その辺りの調整が必要なのかなと思いました」
たしかに高価なものだけを並べるより、寄付しやすい値段のものも入れることで、いくらかハードルは下がるかもしれない。リストを作るのも簡単ではなかったようだ。
ツイッターでの拡散もあってか、わずか3日で終了した今回の取り組み。担当者はこの結果を受けて、
「想定以上の短期間ですべてはけてしまったということで、それについてはご支援に感謝しているという所です。こんなに早く寄付していただけると思っていなかったものですから...。注目していただいているんだなというのを、改めて実感しました」
としている。
今後については、「施設の希望を聞きながら、クリスマスにこだわらず同様の企画を実施していければと思います」とのこと。熊谷市長も12月15日、自身のツイッターで、
「サンタクロース大作戦はあっという間に各施設が必要としているものがプレゼントされました。多くの皆さまのご支援に感謝します!『ギフト券とかを用意しておけば出遅れた人もプレゼントできる』等、様々なご意見を頂いたので今後に生かしていきます」
と投稿している。
千葉市の「サンタクロース大作戦」は終了したが、喜ばしいことに善意の連鎖はこれで終わりではない。この企画が話題になったことで、ネット上では今回と同様、「Amazonほしい物リスト」を活用した他施設の取り組みに注目が集まっているようだ。