映画『すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』でナレーションをした本上まなみと井ノ原快彦

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 子ども向けのアニメ映画だと思ったら、感動して泣いているのはなんと大人たち!『すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』が、いま大躍進を遂げている。

【写真】ナレーションをしたV6・井ノ原快彦のプライベート画像

「12月2日に発表された国内映画ランキングでは、『アナと雪の女王2』に続く第2位を記録。映画を見た大人たちはSNSで《ずっと泣いてた》《優しい気持ちになれる》と絶賛しています」(映画ライター)

大人たちが泣いてしまうワケ

『すみっコぐらし』は、もともと『リラックマ』などで知られるサンエックスから生み出されたキャラクター。'19年の関連商品の売上額は、約200億円に達する大人気コンテンツだ。

「キャラクターのもとになったのは、デザイナーのよこみぞゆりさんが大学の授業中にノートの隅に描いた落書きだったそうです。寒がりの“しろくま”や自信がない“ぺんぎん?”など、ちょっとネガティブなキャラクターたちが登場します」(女性誌編集者)

『日本キャラクター大賞2019』では、NHKの人気バラエティー番組『チコちゃんに叱られる!』のチコちゃんなどを抑えてグランプリを獲得。その人気の理由は“かわいい”ということだけにはとどまらないようだ。映画の記事を多く執筆するライターの井中カエルさんによると、大人の心に刺さる映画になった理由は、キャラクターたちの個性にあるという。

「かわいい見た目でも、それぞれコンプレックスを抱えているというところが魅力なんだと思います。例えば“とんかつ”は、脂身が多すぎて食べてもらえなかったり、“にせつむり”は、カタツムリに憧れて殻をかぶって生活しているナメクジ。センターに立っていないキャラクターたちが、スポットライトを浴びながらも、やっぱり“すみっこ”が好きという点が、現代社会に生きる大人たちに刺さるのではないでしょうか」

“かわいさ”に隠されたメッセージ

 映画を配給したアスミック・エース株式会社にも聞いてみると、幅広い世代から支持されている理由に多様性が関係していることを語っている。

「すみっコたちの日常は、異なる性質を尊重して受け入れる究極のダイバーシティーが実現された世界。今の時代に提示するテーマとしても、とても有効だったのではないかと感じています。シンプルなのにいろんな表情が読み取れるキャラクターデザイン、優しさとユーモアとネガティブさの絶妙なバランスは、見る側のいろんな思いを託しやすく多くの人の心をとらえている大きな理由だと思います」

 映画はV6の井ノ原快彦と、本上まなみのナレーションのみで、キャラクターたちにセリフはいっさいない。これは製作スタッフが“すみっコぐらしらしさ”について何度も話し合った結果、決まったことだという。

「原作のスタッフさんから、“すみっコたちの声のイメージは、ファンの方それぞれがお持ちなので、特定の音声をつけたくない”という話をいただいたんです。それで男女それぞれ役割の違うナレーションでお話を進めるという本作のスタイルが生まれ、フレッシュな感動につながったのだと思います」(アスミック・エース)

 自分に自信が持てないけど仲間と一緒なら幸せ。健気な“すみっコ”たちにあなたもつい共感してしまうかも。