津ぎょうざ小学校とは? (画像提供は、すべて津市観光協会)

ご当地グルメの祭典「B-1グランプリ」、読者の皆様もよくご存じだろう。

2019年11月23日と24日、兵庫県明石市で、今年の「B-1グランプリ」が開催された。ゴールドグランプリ(優勝)に輝いたのは、三重県津市民有志でつくる「津ぎょうざ小学校(津ぎょ小)」だった。

えっ、「津ぎょうざ」? 知らないな、という人、多いかもしれない。Jタウンネット記者も知らなかった。

上の写真が、今年の「B-1グランプリ」を獲得した「津ぎょうざ小学校」。まるで学校給食みたいだが、いったいこれは何だろう?

Jタウンネット記者は三重県に電話して、詳しい話を聞いてみることにした。

津市民しか知らない、学校給食グルメ?


直径15センチ、大きな皮の揚げぎょうざ

電話で答えてくれたのは、津ぎょ小代表で「学級委員長」の西川直希さんだった。

「津ぎょうざというのは、直径15センチの皮を使った大きな揚げぎょうざのことです。
1985年ごろ、津市教育委員会の栄養士たちによって開発された、小学校給食のメニューが発祥です。津市内で小学校時代を過ごした人たちにとってはとても懐かしい料理ですが、津以外では、まったく知られていないかもしれません。
現在も給食メニューの人気ナンバーワンで、現在までに約6万人以上の津市民に食べられています」

普通サイズの餃子だと、一人分のメニューで、たくさん作らないといけない。大きな皮に包んで、油で揚げれば、栄養もあるし、子どもにも喜ばれる。直径15センチという大きな皮を使うことになったのは、給食調理員がぎょうざを包む手間を軽減することにもつながったという。


油で揚げれば、子どもにも喜ばれる

「2008年、市民のまつり『津まつり』で、何かおもしろいことをやろうという有志の集まりである市民団体『津市げんき大学』が、津ぎょうざを試験販売したのです。小学校を卒業すると食べられないことから、実際に食べていた世代からは『懐かしい!』、給食で食べていない世代からは『新しい!』と大きな話題となり、2日間で400個を完売しました」

予想を超える大好評で、津ぎょうざは学校給食の世界から飛び出して、津のご当地グルメとしてスタートしたと言える。

津市内の飲食店にも声をかけたところ、ラーメン店、ちゃんこ鍋店、居酒屋など約20店舗が手を挙げて、賛同する店の数は続々と増えてきたそうだ。現在は30店舗以上にも拡大した。


現在も、給食メニューの人気ナンバーワン!

2010年(平成22年)2月2日、「津ぎょうざ宣言」が発表された。

「津市の学校給食のメニューを発祥とする『津ぎょうざ』を、津市民共通の財産として、これからの世代にも伝えていくとともに、『津ぎょうざ』に関する活動を通して、津市に貢献していくことが私たちの願いです。
 この願いを実現するため『津市を元気にしたい』という理念のもと、『津ぎょうざ』を活かして、津市を盛り上げていくことを宣言します」

来年、令和2年2月2日には、10周年を迎えるそうだ。2(ツー)にこだわるのは、津市民ならではの心意気だ。


やった! 「B-1グランプリ」優勝の瞬間

2014年には、市民活動団体「津ぎょうざ小学校」が創立された。

津ぎょうざを活用した「まちおこし・まちづくり」が目的だという。「学級委員長」の西川さんの主な役目は、津市民の誇りづくり・しあわせづくりということらしい。「協賛してくださる飲食店さんたちとは、車の両輪のような関係だと思っています」と西川さん。

今年の「B-1グランプリ」優勝は、西川さんたちにとってどうやら通過点の一つと言えそうだ。

...とはいえ、津ぎょうざを食べたくなった方(Jタウンネット記者もそうだが)は、津市に立ち寄るしかない。

津には、うなぎ、天むす、味噌カツなど美味しいものがあるらしい。また津藩の初代藩主・藤堂高虎は、築城の名手として知られ、津城下の整備など偉大な業績を残した。津城跡には巨大な銅像も残されている。

お伊勢参りの後は、津ぎょうざでビール、これで行きたい!