ヤンキース・田中将大【写真:Getty Images】

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6年連続2桁勝利は日本人初、6度目は野茂の7度に次ぐ2位

 ヤンキース田中将大投手は27日(日本時間28日)、敵地のマリナーズ戦で7回無失点と好投し、10勝目を挙げた。日米通じて初となった菊池雄星との投げ合いにも勝利。これでメジャーデビュー以来、6年連続の2けた勝利。これは、黒田博樹の5年連続(2010-14年)を上回る日本人最長となった。

〇日本人投手のMLBでの2桁勝利回数。
7回 野茂英雄(1995-97年、1999年、2001-03年)
6回 田中将大(2014-19年)
5回 黒田博樹(2010-14年)
4回 ダルビッシュ有(2012-14年、2017年)
3回 岩隈久志(2013-14年、2016年)
大家友和(2002-03年、2005年)
2回 伊良部秀樹(1998-99年)
石井一久(2002年、2004年)
松坂大輔(2007-08年)
前田健太(2016-17年)
1回 吉井理人(1999年)
長谷川滋利(2000年)
高橋尚成(2010年)

 野茂英雄はメジャー12シーズンで2桁勝利を7回記録しているが、最長は3年連続。田中はデビュー以来6年連続で、2桁勝利回数でも1位の野茂に迫っている。

 田中は渡米後、右ひじ靭帯の損傷が見つかった。トミー・ジョン手術も検討されたが、2014年7月に保存療法のPRP療法を受けて2か月で復帰した。また2015年オフには右ひじの骨片を取り除く手術を受けている。それでも、シーズンを棒に振るような大きな怪我なく投げ続けていることが、この偉業に繋がったと言えるだろう。

〇2014年から19年までのMLBでの通算勝利数
1 マックス・シャーザー(タイガース、ナショナルズ)95勝42敗 防御率2.75
1 ザック・グリンキー(ドジャース、Dバックス、アストロズ)95勝40敗 防御率2.93
3 クレイトン・カーショー(ドジャース)89勝26敗 防御率2.21
4 ジョン・レスター(Rソックス、カブス)87勝51敗 防御率3.30
5 リック・ポーセロ(タイガース、レッドソックス)86勝66敗 防御率4.22
6 コーリー・クルーバー(インディアンス)85勝48敗 防御率2.94
7 ジャスティン・バーランダー(タイガース、アストロズ)83勝51敗 防御率3.25
8 ジェイク・アリエッタ(カブス、フィリーズ)82勝48敗 防御率3.13
9 スティーブン・ストラスバーグ(ナショナルズ)80勝38敗 防御率3.31
9 J.A.ハップ(ブルージェイズ、マリナーズ、ヤンキース)80勝48敗 防御率3.89
11 ゲリット・コール(パイレーツ、アストロズ)79勝45敗 防御率3.29
11 デビッド・プライス(レイズ、レッドソックス)79勝41敗 防御率3.42
13 クリス・セール(ホワイトソックス、レッドソックス)77勝48敗 防御率3.05
14 田中将大ヤンキース)74勝41敗 防御率3.73
 
 並み居るメジャーの大投手に混じり田中は14位に入る。主要な投手タイトルには縁がないが、ア・リーグだけなら6位に相当する。こうしてみると、田中のように1つのチームでずっと投げ続ける先発投手は少数派であることもわかる。
ヤンキースではもちろんこの期間の勝利数は1位である。

〇2014年から19年までのヤンキース、通算勝利数5傑
1 田中将大 74勝41敗 防御率3.73
2 C.C.サバシア 46勝46敗 防御率4.20
3 ルイス・セベリーノ 41勝25敗 防御率3.51
4 マイケル・ピネダ 31勝31敗 防御率4.16
5 ネイサン・イオバルディ 23勝11敗 防御率4.45

 通算251勝の大投手、サバシアは今季限りでの引退を表明している。今季のヤンキースでは17勝のヘルマン、11勝のハップ、パクストンに続き、田中は10勝。エース級の成績とは言えないが、チームにとっては常に計算できる田中のような投手は何よりありがたい存在といえるだろう。(広尾晃 / Koh Hiroo)