クロアチアに広がるダルマチア地方にある町ザダル。アドリア海に面した旧市街にはローマ時代の遺跡や中世の教会が数多く残され、まさに古都と呼ぶにふさわしい美しさで訪れる者を魅了します。

その美しさは、2016年にニューヨークタイムズ紙が発表した「訪れるべきヨーロッパの都市」で1位に輝くほど。また町の海岸から見られる夕日は、サスペンス映画の巨匠ヒッチコックが「世界一美しい」と称えたことで一躍有名になりました。

旧市街になっているのは町から突き出した半島の部分。城壁に囲まれた全長600mほどのエリアに見どころがぎゅっと凝縮され、次々に新しい出会いが訪れます。

町の中心にあるのは、古代ローマ時代の広場「フォーラム」。ローマ帝国のフォーラムとしてはアドリア海東海岸において最大級を誇り、建物の断片が広場いっぱいに並んでいます。かつてはここが市民生活の中心であり、政治や宗教、娯楽といった様々な役割を果たす場所でした。

フォーラムのわきで目を引くのは、聖ストシャ大聖堂の大きな塔と、その左にある聖ドナット教会。聖ストシャ大聖堂は12世紀〜13世紀、聖ドナット教会は9世紀に建造されました。大聖堂の塔は上まで上ることができ、ザダルの町を一望できるスポットとして人気です。夜10時まで開いているので、夕暮れ時に上れば町越しに美しい夕日が沈む様子も楽しめます。

フォーラムから町の目抜き通りであるシロカ通りを東へ歩いてみましょう。太陽の光を受け、白い石で作られた街並みが美しく輝きます。また至るところで町の外へ出るための門を見かけるのも、城壁に囲まれたザダルならでは。

さらに目抜き通りを進むと、やがて大きな時計塔が立つナロドゥニ広場にたどり着きます。広場にはカフェやレストランのテーブルが並び、お昼時や夜になると食事にやってきた人々の楽しそうな声が周囲に響きわたります。

ナロドゥニ広場周辺では、路地裏散策も楽しみのひとつ。旅情ある狭い路地がいくつも張り巡らされ、奥へ奥へと進みたくなってしまいます。

広場をさらに東へ進むと、たどり着くのは5つの井戸広場。広場に並んでいる5つの井戸は16世紀、オスマントルコ軍に包囲された際に水源を確保する目的で掘られたものです。

広場の背後にある公園からみえるのは、町の入り口だった城門。ヴェネチア統治時代の16世紀に、オスマントルコの侵入を防ぐ目的で建設されました。ザダルは「ザダルを制する者はダルマチアを制する」と言われるほど古くから重要視され、それ故敵からの攻撃も多かったのだといいます。

のどかな港からは、かつてはここが激しい攻防戦の舞台になったなんてとても信じられませんね。

旧市街の散策を終えたら、海岸線をのんびり歩くのもおすすめ。夕暮れ時には「世界一美しい」と称えられている夕日を楽しんでみてください。

美しい街並みと世界一の夕日を目にすれば、この町が「ヨーロッパで訪れたい都市1位に」に輝いた理由が分かるはずです。

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