自然豊かな甘利沢川さくら公園(山梨県韮崎市)には、ひときわ目を引く「木」がある。


神秘的(ちーたん@te755さん提供)

あらわになった木の根っこ。普段ほとんど見ることがないその部分は、神秘的ですらある。

ツイッターでは、

「これは何のために造られたものなんですか?公園を管理している公共団体?の意図は?」
「普段見えない部分を見せる、この仕組みも素敵だしこの写真も、すごく好き」
「毛細管現象をする大小様々な根っこがこんなにあれば確かに水を先っちょまで運べるわけだ うむ、勉強になる」

といった声が寄せられ、見る人を惹きつけているようだ。

Jタウンネット編集部は、この謎の根っこの正体を探ってみた。

立ち枯れていたアカマツの根

韮崎市の発行する観光パンフレットによれば、このオブジェクトは同市出身でノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智さんに関係があるという。

2015年、大村さんがノーベル賞を受賞した記念に、大村さんの自宅から韮崎中学校(現・韮崎西中学校)までの通学路は、「幸福の小径(こみち)」と名付けられた。

幸福の小径には、16年に建立式が行われた大村さんの銅像に加え、選考委員会によって選ばれた9人の作家の立体アート作品が新たに設置。18年3月31日にオープニングセレモニーが開かれたという。

この根っこも、そのうちの1つだ。制作したのは、主に木を扱った作品を制作している作家の竹腰耕平さんで、タイトルは「韮崎の木」。

根っこがあった甘利沢川さくら公園は、幸福の小径のルートに含まれている。作品は韮崎市穴山町に滞在して制作したという。作品は、韮崎市長賞(幸福の小径賞)を受賞。使用したのは韮崎市穂坂町で立ち枯れていた樹齢約50年のアカマツで、木を発見した時の様子は、

「山の斜面に生えていた一本の木の根は、しがみつくように力強く広がっていました」

とパンフレットに記されている。

大村美術館の担当者によれば、上の切り株の部分はブロンズになっているという。竹腰さんが「立ち枯れた木は、いずれ大地へと還っていくでしょう」と記しているように、根っこ部分は徐々に乾燥している...とのことだ。