「HKT48」の豊永阿紀さんが語るサッカーとアイドルの共通点とは?【写真:荒川祐史】

写真拡大 (全2枚)

【豊永阿紀インタビュー|Part 3】アイドルとしてファンに支えられて感じた“声援の力”

 ピッチ上の11人、監督、スタッフ、ベンチメンバー、そしてサポーターが一丸となって戦うサッカーは、チームスポーツの代表格と言ってもいいだろう。

 グループ活動を行うアイドルもまた、メンバー同士、熱い声援を送るファンと同様の関係性が育まれている。

 福岡で生まれ育ち、福岡・博多を拠点とするアイドルグループ「HKT48」で活動する豊永阿紀さんは、熱狂的なアビスパ福岡サポーターであり、2018年からはクラブの公式アンバサダーに就任。スタジアム来場やイベント参加だけでなく、SNSを活用したクラブの情報発信など幅広く広報活動を行っている。双方を知る彼女が見た、サッカーとアイドルの共通点とは――。

 ◇   ◇   ◇

――サッカー選手とサポーターの関係性は、アイドルとファンのそれと似ているとも言われます。両方の立場を経験されている豊永さんは、実際どのように感じますか?

「私がサポーターだった時は、『届け!』と思って声を出しているけど、それがどれだけ選手の皆さんの力になっているのか、スポーツの経験がなかったのであまり実感が湧きませんでした。でも、アイドルになってコールや声援を受けるなかで、そのボリュームが大きければ大きいほど自分のテンションが上がるんです。『こういうことだったんだ!』と、腑に落ちました。先日、レベスタのゴール裏で応援した時には、それこそ今までで一番と言っていいくらい声を出したと思います。サポーターの皆さんの声が、選手を熱く、優しく包んでいる感覚が今は分かります」

――サッカーを介することで、アイドル観も変わった?

「はい。サッカーから学んだことを、人生に置き換えたりもします。世の中のたくさんの方々の活力になる一つが、スポーツやエンターテインメントだと思うんです。まず大前提に自分が好きなことを仕事としてやっていて、さらにもらったエネルギーを何倍にもして返すのが、使命というか役割。正直、以前はアイドルとして自分のしたいようにしていた部分もありましたが、サッカーのおかげで、見てくださるファンのために自分はいるんだな、と改めて気づかされました」

「他チームを応援している方を含め、サッカーで絆が深まっていくのを実感しています」

――アビスパ福岡のオフィシャルマガジンで、「アビスパが好きということには誇りがあるし、誰がなんと言おうと好きなものは好き」とインタビューに答えていた言葉に、アビスパ福岡のサポーター、そして公式アンバサダーとしての熱意を感じました。

「その思いは絶対に揺らぎません! 今年1月に開催された『新年感謝の集い』で、川森(敬史)社長から『アイドルの方が、何か一つのものを好きと言うのはリスクも伴うかもしれません』という言葉を頂いての発言だったんですけど、アビスパへの愛が私にとっての自慢で誇りです。アビスパに出会わなかったら、今の私はいなかったかもしれない。感謝の気持ちでいっぱいなので、生涯ずっと好きです(笑)。

 もちろん、握手会には他チームのサポーターの方もいらっしゃいます。『今度レベスタに行く時は、逆サイドにいて敵同士だけどよろしく!』と宣戦布告を受けたりもしました(笑)。私としては、皆さんを尊重しつつも、アビスパが好きな自分は曲げません。J1で戦っているクラブを応援している方は、『早く上がって一緒に見ようね』と言ってくださるし、サッカーで絆が深まっていくのを実感しています」

――サッカーでつながった交友関係はありますか?

「実は、HKT48にもサッカーを好きになったら素質があるな、と思うメンバーは結構いるんです」

――ちなみに、そのメンバーはどなたでしょう?

「先輩の上野遥さん(HKT48 2期生)は、アビスパの試合でHKT48がライブをさせて頂いた時に、チャントを覚えて歌おうとしてくださったり、今どうなっているのと訊いてくださいました。同じく先輩の本村碧唯さん(HTK48 1期生)も小さい頃にサッカーをやられていたので、専門的かつ面白い視点で見ていると思います。スタジアムでライブさせて頂いた後に、試合を観戦するのが本当に楽しくて。もっとたくさんのメンバーに、アビスパを大好きになってもらえたら嬉しいです」

――今後、公式アンバサダー以外にサッカーで挑戦してみたいことは?

「アビスパへの恩返しと考えた時に、まだ自分の中で明確な答えを模索している段階です。ただ、HKT48として、プロサッカーチームと何かできたら、最高だと思います。またライブもさせて頂きたいし、コラボグッズもいいですね! 福岡を盛り上げてくださっているアビスパと一緒に、福岡を盛り上げてきたいです」

[PROFILE]
豊永阿紀(とよなが・あき)/1999年10月25日生まれ、福岡県出身。2016年、HKT48の4期研究生となり、17年11月にチームHへ昇格。中学2年生の時にアビスパ福岡の試合を観戦したのがきっかけで、スタジアムのゴール裏で応援するほどの熱狂的なアビスパサポーターとなる。18年は「ハチ祭り」公式アンバサダーを務め、アビスパ福岡公式アンバサダーにも就任した。現在は海外サッカーも勉強中。(Football ZONE web編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)