最新トレンド?「偽センターバック」で試したいJリーグの5名
先日行われたプレミアリーグ第25節のアーセナル戦で、マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督はフェルナンジーニョの“偽センターバック”起用を披露した。
ボール保有時は従来通りアンカーの位置でプレーをするが、非ボール保有時は最終ラインに下がってセンターバックの一角として振る舞うものであった。
相手の素早いプレスを無効化し、勝利を呼び寄せたこの采配の意図について聞かれたグアルディオラは、フェルナンジーニョのディフェンススキルやインテリジェンスの高さを理由に挙げている。
“偽サイドバック”が戦術の一つとしてトレンドになったように、今回の采配も一般的に認知されていく可能性は十分にある。
そこで今回は、Jリーグの中からこの“偽センターバック”の役割が務まりそうな、またこのタスクを任せたら面白そうな本職中盤の選手を紹介しよう。
橋本 拳人(FC東京)
本職のボランチに加え、その他多くのポジションでもプレーが可能なマルチロール。
石川直宏の背番号を引き継ぐFC東京の生え抜きで、トップチーム昇格後はセンターバックでのプレーが主だった。現在は中盤のボール奪取に長けたボックストゥボックス型としてチームで主力を張る。
しかし、攻撃面での貢献は物足りない部分があり、東京の最大の懸念である得点力不足を解消させられるかの鍵を握っている存在でもある。これらの特徴を総合すると、偽センターバックでの起用はかなり有効ではないだろうか。
【関連記事】Jリーグ、2019年の「最高にかっこいいユニフォーム」はこれだ!トップ10発表
東京には森重真人とチャン・ヒョンスというリーグトップクラスのセンターバックコンビが揃うためポジション奪取は難しいが、オプションの一つとしては面白そうだ。
三竿 健斗(鹿島アントラーズ)
危機察知能力の高さとデュエルの強さが魅力で、プレースタイルはフェルナンジーニョというよりカゼミロに近い。
大岩体制になってから徐々に出場機会を増やしていき、昨シーズンはチームの核としてACL優勝に貢献した。アジアカップこそ怪我の影響もありメンバーから外れたが、今後も森保ジャパンに招集され続けるだろう。
カタールとの決勝で露呈した遠藤航のバックアッパー不在問題に悩まされる心配はない。東京ヴェルディのユース時代からセンターバックとしてプレーすることもでき、プレーの幅は広い。
本人もセルヒオ・ブスケツのプレーを参考にしているように、サッカーIQの高さも特長の一つ。どのようなタスクもこなすことができる。
高橋 秀人(サガン鳥栖)
クレバーな職人肌のボランチで、頭の良さはピッチ内にとどまらず、複数の資格を有するなどオフザピッチでも発揮する。
アルベルト・ザッケローニ監督時代には日本代表にも継続して招集され、高いレベルで持ち合わせる攻守のバランス感覚や戦術理解度は重宝された。また、ボランチだけではなく、東京学芸大学時代やプロ入り当初は主にセンターバックを務め、ヴィッセル神戸在籍時はネルシーニョ監督に3バックの真ん中で起用されることもあった。
その類稀なインテリジェンスは難解なタスクを与えた状況でこそ最大限に発揮され、最終ラインで起用すれば持ち前のリーダーシップもより輝くだろう。
FCバルセロナでセンターバックを務めた実績のあるルイス・カレーラスに大抜擢される可能性は無きにしも非ずだ。
米本 拓司(名古屋グランパス)
ボール奪取や危機管理能力の高さに定評があり、リーグ屈指のボールハンターとして名を馳せているが、今冬に10年在籍したFC東京を離れて名古屋グランパスに加入した。
この移籍はオフシーズンの話題の一つ。未だに名古屋のユニフォームを着ていることに違和感を覚えてしまうが、ボールを大事にする風間サッカーの中で自身の弱点を克服して成長するために決断した。
その背景は、ジョゼップ・グアルディオラ監督就任後にプレースタイルをがらりと変えたフェルナンジーニョと重なる。
近年は度重なる大怪我に苦しんだが、キャリア初となる移籍が転機となり、新たな才能を開花させて再ブレイクを果たす可能性もある。
扇原 貴宏(横浜F・マリノス)
扇原は昨シーズン、超攻撃的なスタイルを貫いた横浜F・マリノスにおいて、アンカーのポジションでチームを攻守にコントロールしていた印象が強い。
広い視野を生かした左足のロングフィードに加え、細かいパスをつなぐ際には起点としても機能する。ボールの出し入れの判断が的確で、それらは足元の技術の高さが土台となっている。
セレッソ大阪のユースではセンターバックとしてプレーしていたが、トップチーム昇格後は当時のレヴィー・クルピ監督によってボランチにコンバートされた。よって、最終ラインでの起用も十分に可能である。
同じシティグループということもあり、チームでの役割はフェルナンジーニョのそれとほとんど同じである。今年は“偽センターバック”と同じようなタスクを担うゲームがあるかもしれない。